日々是好日日記

心にうつりゆくよしなしごとを<思う存分>書きつくればあやしうこそものぐるほしけれ

まだ有った真っ当な裁判

2024年07月03日 07時19分25秒 | 政治
 「東京高等検察庁の黒川弘務元検事長について、(安倍内閣が)法律の解釈を変更し定年を延長した閣議決定をめぐり、大学教授が国に対し経緯を検証できる文書を開示するよう求めた裁判で、大阪地方裁判所は一部の文書の開示を命じました。判決は『法解釈の変更は、退官を間近に控えた黒川氏の定年延長を目的としたものと考えるほかない』などと指摘しました。」(2024/06/29 NHK)。
ここに大学教授とは神戸学院大学の上脇博之 教授。今や同氏はこの国の「ミズスマシか?、鞍馬天狗か?、月光仮面か?」という人物だ。先の国会の自民党衆参両院議員らによる政治資金不正問題の端緒を発見したのも同氏であった。そして、ついに4年前、世間を騒がせた安倍晋三首相による「検察官定年延長問題」という法治国家の基盤を揺るがす犯罪的政治の根源を掘り出す快挙をここに遂げることと相なった!
2020年5月、件の黒川弘務東京高検検事長は、時の宰相安倍晋三氏と入魂とされ、当時政権を揺るがす森友事件との関連が安倍首相夫妻両人共々に疑われ、コトと次第によっては事件化への可能性が疑われていた。また、公文書改ざんという不当労働を強いられ自殺に追いやられた赤木俊夫さんに、過酷な業務を命じた財務本省幹部の「非行」の問題もあった。こういう政治的背景の中で黒川氏をもって法務検察の最高ポジションに置きたかった安倍氏は、突如検察官の定年年齢の延長を図り、そのタイミングで黒川氏を検察最高の地位につけようと画策したのではないかとの詮議が国民の間で交わされていた。本来、法の下で万人に平等であるべき検察司法が政治的に偏るは論外のことだが、口さの無い国民の間ではそのように囁かれていたのである。
しかし、当時、黒川氏は間もなく定年で退任年齢が近づいていたので内閣は急遽検察官の定年年齢を引き上げるという、言うところの「暴挙」に出て、黒川氏の誕生日直前に閣議決定という伝家の宝刀を抜いてしまった。しかしこんな矢先も矢先、コロナ感染症騒動の真っ只中に、あろうことか法治国家の番人のポストに居ながら黒川氏は「賭けマージャン」をして検察官失格として辞職に追い込まれてしまった。この偶然には蛇の道とヘビの動きとが微妙・巧妙に交錯したのであろうが。
この一連の政治に関して神戸学院大学の上脇 教授は、国に対してその経緯を検証できる公文書を開示するよう求める訴訟を起こした。これに対する27日の大阪地裁の判決は「開示を求められた行政文書は、元検事長の定年延長を目的として行われた協議の文書だと理解すべきで、これは元検事長(黒川氏)の定年退官に間に合うように短期間で進められるなど同人の定年延長を目的としたものと考えるほかない」として。国に対して教授が求めた文書のうち、元検事長の定年延長に係る法務省内の協議や検討文書すべての開示を命じる判決を出した、というのが冒頭のニュース断片である。今後この判決によってどういう「文書」が出てくるのか? はたまた上級裁判所に上訴されて例によって切れの悪い結論と忘却が重なって曖昧模糊の世界に安住するのかは分からないが、差し当たって上脇教授の「快挙」に賛辞を贈り、大阪地裁裁判長の決然たる多度にも賞賛したい。