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日々是好日日記

心にうつりゆくよしなしごとを<思う存分>書きつくればあやしうこそものぐるほしけれ

どこまで堕ちていくミャンマーの治安?

2025年02月28日 07時47分54秒 | 政治
 「ミャンマー東部を拠点とする大規模な国際詐欺をめぐり、監禁状態でオンライン詐欺などに加担させられていた外国人約1万人のうち、最多の約3700人を占める中国人の送還が20日始まった。日本人(少年2人と成人10人ほど聞く:筆者注)も保護されるなど、事態は急展開。背景には大国としてのメンツをかけた中国の強力な働きかけがある」(2025/02/20朝日新聞)
 記事の拠点現場はミャンマーの南端部ミャワディー、針のように南に長くながく伸びるマレー半島の付け根のような場所、半島を南に流れる大川を挟んでタイ国と接する地域。全国に無数と言っても良い程に群雄(軍閥)が割拠するおよそ国家の体を為していないミャンマーのこと。この辺りはかつて1980年代その勇名を轟かせたボー=ミヤ将軍率いるカレン解放軍の存在が日本人にもよく知られていたが、その後それがどうなったのか、所詮カオス国家ミャンマーのこと杳としてその後の帰趨の報道も無ければ、筆者も知らない。
 ただ、筆者の友人で印鑑製造を仕事にしていたMさんが、この地域に生える印材のツゲの樹を求めて、そのローカル将軍の許可を得て一時交流を試みた冒険譚、それが成功したのか失敗したのかも知らないのだが、手に汗しながら聞いたことだけを今頃になって思い出したのである。それは、まさしく上のニュースに刺激されたからなのだが・・・
 ミャンマーはその過去の植民地国家=イギリス領「ビルマ」が、旧日本軍によって奪還されその挙句にはインパール作戦という絶望的な作戦の失敗によって敗戦に陥っていった日本史上因縁浅からぬ国である。その中で、旧ビルマの植民宗主国であった英国への反抗の勢力として、東京でアウンサンを棟梁とするビルマ軍を育て、それが戦後ビルマに返り咲きを狙う英国の野望を封殺し、国造りを果たし、歴史の奇跡としてその娘アウンサン=スーチー氏が、多民族統合の役割を果たして近代国家の仲間入りができるかと期待された矢先に、国軍のクーデタによって元の木阿弥、混乱のるつぼとなって今日に至る。そのルツボの端っこで中国マフィヤによる冒頭記事の徒花が見事に開花していたということらしい。
 「貧すれば鈍する」、この悪循環を質す責任と義務は日本人と日本政府にも有るのだが、今や自分の頭の蠅も負えないこの国=にっぽんに何ができるのか? 今もまた「埴生の宿」を唄うぐらいの方法しか見つからないという末路の歴史!!




暴走する「愛国心」 アメリカ第一主義

2025年02月26日 08時41分52秒 | 政治
 1774年、サミュエル・ジョンソンは彼の著作<愛国者>の中で「愛国心とは卑怯者の最後の逃げ場である」と喝破した。もとよりこれは警句の一種であって、普通名詞としての「愛国」はごく自然の発露であって、サミュエル・ジョンソンが言う「愛国者」とは、「愛国心」を持つ人の謂いではなくて、「愛国」を盾(たて)ともし矛(ほこ)ともして己の主張を押し通そうとする者の謂いではないか?
 こんなことを思ったのは、アメリカのトランプ大統領の掲げる「アメリカ第一主義」が今世界を混乱の渦の中に巻き込んでいて、その矛先に突かれた国は混乱に陥っているのではないか。こういう「状況」について、少なくとも当のアメリカで理解されている評価は「愛国」であって、全米の民の「愛国心」を刺激しながら圧倒的な国内支持率を確保しているようである。トランプ氏のこの「愛国者」ぶりこそ<無能者の政治的拠り所>であって、それが人々の素朴な「愛国心」を刺激して高い支持率の源泉となっているのであるらしい。
 「トランプ米大統領の2期目就任から20日で1カ月となった。『米国第一』を先鋭化させ、これまでに出した大統領令は約70本で、内政、外交、通商の各分野で政策を転換、米国の姿は一変した。貿易赤字解消へ日本を含む同盟国にも関税を課す方針。ガザ『所有』構想をぶち上げ、ウクライナ抜きの米ロ和平交渉に着手した。連邦政府機関解体や人員削減、不法移民対策を強行し、内外で混乱を巻き起こしている」(2025/02/21共同)。
 この人、ホワイトハウスで独特の筆致で署名している姿をテレビに映させる。根拠の怪しい情報を洪水のように発信することでメディアを翻弄し主導権を固める。資質の怪しい人物たちを上下院で承認させ、彼らに己の企みを分担させつつ世論を強引に捏造する。平和な世界が有無相通じてそれぞれの国や地域で余っているモノやコトを有無相通用し合うことを主意とする「貿易」を、自国の経済優位性を確保した上で高額の「関税」をかけると威嚇する。
 「昨日の友は今日の敵」とでもいうように、ウクライナのゼレンスキー大統領を名指して「勝てる見込みのない戦争にアメリカを説き伏せて3500億ドルもの費用を投じさせた『独裁者』」と論じたという。
 「愛国心とは卑怯者の最後の逃げ場である」というサミュエル・ジョンソンの「言説」は21世紀の政治でも十分に成立している。国連まで巻き込んで。




「愛国」という言葉がとんでもなくねじれた時代

2025年02月21日 07時52分48秒 | 政治
 「トランプ米大統領は2月6日、自身の運営するソーシャルメディアに<数十億ドルがUSAIDなどから盗まれ、フェイクニュースメディアに渡っている>と投稿した。歳出・人員削減を担う政府効率化省(DOGE=ドージ)のトップで、Xで2億超のフォロワーがいるイーロン・マスク氏によっても拡散された」(2025/02/18毎日新聞)。
 こういう「悪口」や「雑言」を発する人がなんといまその国の最高権力者=大統領であり、直近4年の空白があったとは言え、その以前は自身の大統領就任期間を含む一貫した歴史的時間が連続していたというのに。そういう事実を忘れて、有ること・無いことを当の大統領閣下がフレームアップしている。
 USAID( United States Agency for International Development アメリカ合衆国国際開発庁)という米国政府組織の世界的な貧困救済活動は、第二次世界大戦の世界唯一の戦勝国家アメリカゆえにできたフィランソロピィ事業活動であって、戦勝国家としての矜持の表現でもあったろう。これに対して言わずもがなだが、もちろんその活動が神の面前で正真正銘、純正に美しいばかりの心ゆえの活動であったかと言えばそうは言えないかもしれないが、同じ戦勝国家で一方の雄たる「ソビエト連邦」が戦後世界で同種の活動をしたとは聞いていないところから、古き良きアメリカの「時代精神」の為せる業であったと見ることは十分に根拠があったのではなかったか!
 つまり第二次世界大戦終了後80年の米国の歴史年表を開いて、それを細部までよく見れば、すでに十分に腐った鯛の死体を探すこともできようが、それでもアメリカ合衆国は「腐っても鯛」の色をした稀有な国家ではあったと、敗戦直後にアメリカを理想国家としてその歴史を文部省検定教科書で学んだ日本人の一人として、筆者は今でも戦後アメリカ合衆国の「フィランソロピィ精神」を信じてやまないのである。
 18世紀の建国以来、20世紀に至るまで内気に引きこもり、一独立国家として世界的問題に「無関心」を貫いていたアメリカが、第一次・二次大戦の戦勝国となった後、戦争に明け暮れる戦争国家へと変身する半面で、それでもUSAIDは人道主義の旗手であり続けた。世界中の貧困国家の民から見れば、USAIDあってのアメリカといっても言い過ぎではなかった、と筆者などは今もそう思っている。こういう思いに対して神経を逆なでしてくれるのがトランプ大統領。そしてその側用人イーロン・マスク氏にあっては論外の人物。およそフィランソロピィ精神など持ち合わせているようには見えない人士である。 「とうとう」と言うか?、「ついに」と言うか??、必要以上に「アメリカ第一(America First)」を叫び、「愛国」という言葉がとんでもなくねじ曲がった時代がやって来たようである。
 無能な指導者が最後に駆け込む場所、それが「愛国」である。世界はこれに要注意!




政府は「2馬力選挙」の非合法制化を急げ!

2025年02月19日 08時36分30秒 | 政治
 「政治団体<NHKから国民を守る党>の立花孝志党首(57)は14日、任期満了に伴う千葉県知事選を巡り、再選を期す熊谷俊人知事(46)の応援を目的に<2馬力>の選挙運動を展開するとした方針を撤回すると表明した。立候補自体は取りやめないとした。自身のユーチューブチャンネルに投稿した記者会見の動画で明らかにした。7日には自身への投票を求めず、熊谷氏の演説の前後に同じ場所で応援演説を実施すると語っていた。撤回理由について『ある人物にやめてくれと強く言われた』と説明。熊谷氏が『迷惑だ』とけん制した点に触れ『逆らって行うのはよろしくない』とも述べた」(2025/02/15 毎日新聞)
 「ア・プリオリ(a priori)」という言葉がある。「議論や知識の前提があらゆる経験に依存しないことを表す言葉である」(Wikipedia)。公職選挙の候補者らはすべからくその全員が、自分が最も適任であると主張し、その選挙会が求める人物として自分が最適であると主張することが「ア・プリオリ」に前提されていた。だから、そう思えない人物は選挙会に参加しないこともまた「原則」で、これこそが公的選挙制度の{ア・プリオリの前提}であった。
 この大前提が「崩壊」という事態が、筆者の知る限りでは歴史上初めて昨年の兵庫県知事選挙で出来した。これが歴史上初であればこれを表す言葉もなく、誰言うともなくこれを「二馬力選挙」などという<愚かしい>造語(新語)が与えられ使われるところとなった。実に居座りの悪い「新語(流行語?)」ではある。国語辞書に追加されることは無いまま近いうちに消滅するであろうが、上の記事のように、斎藤元彦兵庫県知事とNHK党党首立花某なる男に対して、当面時事用語として使わざるを得ない状況にあるようである。
 本来あり得べくもない「二馬力選挙」なるものが出現したのは、他でもない、ネット空間の投稿サイトサービスなるビジネスが為である。そこでは、衆人環視を喚起できるコンテンツを造らせ、一定量以上の収益を得られる仕組みにして射幸心を煽る、アメリカ生まれのビジネスシステム(YouTube)が出現したことによる。
 一定の集票力を持つ候補者と「二馬力」を組み彼(彼女)に加勢することを通じて自己の投稿コンテンツにアクセスする読み手が増えることで収入になる。この場合、集票力の無い候補者では大量の訪問者を期待できないので、頼りにするのは話題性のある大衆動員力のある有力候補ということになる。上記記事の当事者立花孝志氏は先の兵庫県知事選挙で当時現職候補であった斎藤元彦氏に標的を定めて話題を造り、この原則を見事に当てた成功例を創った。冒頭新聞記事は、この成功例を今度は千葉県知事選挙に適用して、二匹目のドジョウを狙おうという画策のことであった。
 政府は、こういう民主主義の衆愚化行為を不法と断罪できる厳正な立法化を急ぐべきである。 



昨日の日曜日は、・・・

2025年02月17日 07時52分38秒 | 政治
 「奥山に紅葉踏みわけ鳴く鹿の声きく時ぞ秋は悲しき」(猿丸太夫「古今集」秋上・215)。古来、百人一首でもおなじみ、人気の一首だ。しかし、この歌、歌人の生活圏からは遠く隔絶した自然の景物として「鹿」を詠み込んでいるように見受けられる。
 秋が深まって、奥山から雄鹿の鳴く「キューン」とお尻の方を伸ばした大きな声は発情期のオスがメスに訴える恋の呼び声だ。これに応えるメスの声は、「ぴいと啼く 尻声悲し 夜の鹿」(芭蕉)とあるように、控え目な応答である。作者の猿丸太夫はオスの呼び声を詠んだものであろう。実情は図りかねるが、のん気にオス鹿の声を和歌の中に読み込んだ古今集の時代、京の都に鹿の被害は未だ無かったものと見える。
 しかし、今では日本国中中山間地の集落に行けば、農地はすべて網や柵で囲われていて、中には「接触注意」と電気柵になっている田畑も珍しくは無い。秋の深まりの中で聞こえる「鳴く鹿の声」は裏口に聴く足跡の音と一緒なのである。かくて、「落葉ふみわけ鳴く鹿」は今では「獣害動物」に分類され、年老いた農家の人々にとってイノシシと並んで最高の外敵にノミネートされている。
 その獣害動物たちを苦しめずに無傷でやさしく捕獲して「ジビエ」として流通に接続していこうと、県庁技官職の定年後の20年を懸命に生きたAさんの告別式が昨日16日に行われ、筆者も参列して焼香してきた。我が家の冷蔵庫の中には、Aさんから昨年末に沢山頂いたシカ肉加工品が少しだけだがまだ残っている。
 告別式にはAさんから、捕獲・屠畜・解体・商品化などの指導を受けた大勢の人々が参列して、別れを惜しんでいた。
 帰り道、ローカル線の駅のホームでただ一人列車を待っていると、駅裏の山からなにやら「鹿声」が聞こえてきたような気がしたが、あれは本物だったか?幻想であったか? Aさんと鹿たちに、<南無阿弥陀仏>と合掌しながら電車に乗って帰路についた。