花との毎日 

~ときどき書き込み~

ジェンテの並木容子が綴る花との日々

リボンとはな

2005-11-30 | 花のこと
リボンと花は、切っても切れない関係です。
花の仕事をするようになってから、私のリボン好きは爆発的なものとなりました。
ちょっとしたアレンジや花束に素敵なリボンを使うと、それだけで何倍もランクアップされたように見えることがあります。

日本では、木馬のリボンが大好き。
画期的なセンスだと思います。
世界中に広まって、ヨーロッパでも素敵だなと思ってよく見ると木馬のリボンだった、ということもたびたびあります。
でも、やはりヨーロッパのリボンの歴史にはかないません。
フランスが発祥の地だといわれていますが、アンティークマーケットなどでごくまれに発見する何百年も前のリボンの繊細さや完成度の高さには驚かされます。

街を歩いていても、リボン屋さんがあると中に入らずにはいられません。
この写真は、先日のオランダ旅行の際、街を歩いている最中に発見した手芸屋さん。
タッセルがふるように並んでいて、素敵でしょう?
中には、たくさんの繊細なリボンが並んでいました。
その横で、細かなボタンをあれこれ選ぶおばあさん。
タッセルを次々と見せてもらっているマダム。
みんなが真剣なのも手芸屋さんの特徴です。

イギリスに行くとき、必ず寄るリボン屋さんがあります。
vvrouleaux

その中にいることで、つぎつぎとアイディアが沸き、発見や驚きなどの意識の改革が起こるのです。
だから、一人でそのリボン屋さんに入ると2時間は軽く過ぎてしまいます。
リボンそのものをどう使えるか、を考えていることもありますし、
花とどう組み合わせるか、を考えることもあります。
そして、自分で一工夫することで、ジェンテの店頭に並ぶ商品のアイディアも浮かんだりします。

リボンって素敵でしょう?


新しい部屋

2005-11-27 | 私的なこと
今日は、画像はありません。ごめんなさい。

昔からの生徒さんで、1年前からお教室でアシスタントをしていただいていたTさんに
赤ちゃんが生まれました。
昨日、妹さんからの知らせを受けて、今日着でアレンジが届くように手配をしました。
すると、早速今朝Tさんからお礼のお電話をいただきました。

Tさんは、明るくておしゃれさん、マイペースで、ちょっとおとぼけ。
でも、仕事はしっかりとまじめに確実にこなしてくださる素敵な女性です。
ふんわりした雰囲気に、なんだかこっちまで「ほわーん」とした気持ちにさせられます。

その彼女に赤ちゃんができて、しかも女の子です。
喜びでいっぱいの彼女が、赤ちゃんが来た日のことをこう言いました。

「カーテンを開けたら、違う世界が待っていました」

Tさんは、扉を開けて、彼女の人生の次の部屋へ進んで行ったのだな、と思いました。
その部屋には、たくさんのことが待ち受けているでしょう。
喜びも悲しみもあるように思います。
でも、せっかく次の部屋を発見し、進んだのだから、
その部屋で自分自身を満喫してほしいと思います。

人生には、自分の力で開かなければならないドアがあり、
そのドアは、重かったり、固かったり、思いがけずするりと開いたり、、いろいろなのだと思います。
でも、自分で開くからこそ見えてくる次の部屋で、自分自身を全うすることが、
さらにまた次の部屋の扉を発見することになるのかもしれません。




リース

2005-11-26 | 花のこと
クリスマスの雰囲気が近づくと、リースのご注文をいただきます。
クリスマスリースは、本来はヒバ、もみ、柊などの常緑樹を使用してオーソドックスに作るもの。
私も定番的なリースを飾ると、ほっとします。

しかしながら、花屋としては色々な展開のリースも作る必要がある訳です。
この時期よく注文いただくのは、ドライのリース。
ドライの実もの(松かさなど)を使用した,長い期間飾っておけるものです。

ただ、ドライと言っても「永遠」という訳ではなく、
3ヶ月くらいは楽しめる、と考えていただいた方がいいと思っています。
せいぜい、半年でしょうか。

日本は湿度が高いので、それによるカビは避けられません。
また、真夏の高温により、グルー(糊)がはがれやすい状態になることも考えられます。
さらに、ほこり。
壁などにかざれば、ほこりを避けることはできません。
ほこりがだんだんとつもって、あまりきれいなものではなくなってくる訳です。

集英社「LEE」12月号にリースを2点載せていただいたせいでしょうか。
全国からリースのお問い合わせをいただきます。
ありがたいことです。
でも、「永遠のものではないのです」というお話をすると、びっくりされるお客様が多くて、、。

ただ、常緑樹のリースよりも長く使っていただけるのは確実なので、
オーナメントを水引きや手ぬぐいなどに変えて,お正月のお飾りと利用する手もありますね。

永遠に形のかわらないものより、形が少しずつ変化したり、手を加えて変化させたりの方が楽しいように思います。

花を飾る

2005-11-22 | 私的なこと
またまた、オランダの話でごめんなさい。
アムステルダムのとってもおしゃれなスポットにある「ヘルダ」という花屋さんに行きました。
スパイダー咲きのガーベラがきれいだったので、
それを中心におまかせでブーケを作ってもらいました。
この写真は、ホテルに戻って飾った様子です。
花瓶を買う暇がなくて、部屋にあったアイスペールに入れています。

いろんな花を少しずつたくさん組み合わせてくれました。
グリーンをたっぷり使うのはオランダのブーケの特徴ですが、
さらに、たくさんの種類が入ったので、なんだか面白いブーケになりました。
ユーチャリスも入っているのですよ(左上の方の白い花です)。

1本1本が特徴のある花なので、滞在中、いろいろと楽しむことができました。
そして、そのままブーケを組み直して、手荷物にして飛行機に乗せて日本に持ち帰りました。
アルストロメリアなどは、まだまだ元気に咲いています。

手作りクッキー

2005-11-20 | お菓子の話し
オランダの生産者さんのご自宅にお邪魔した時、おいしいクッキーをいただきました。
奥様の手作りです。この写真はアーモンドのクッキーで、もう1種類ココナツのクッキーもいただきました。
とっても、美味しくて、あたたかい、素朴なお味でした。
でも、ほら、かわいいでしょう?
お気に入りの缶の中にはいったまま、出てくるのです。

 以前、イギリスでお庭を拝見したお家の奥様が作ってくださったウエルシュケーキもとても美味しかったのですが、やはり、古い缶の中に入っていました。
缶の中に入れておけば、湿気ることもないし安全です。
そのうえ、缶はお気に入りの年代物ですから、
かえって自慢げに缶ごと出してくださるのでしょうか。

日本だったら、一応体裁を考えて、お客様にはお皿や菓子鉢に出しますよね。
でも、お客様だからこそ、体裁を気にしない、心のこもったおもてなしをするのでしょうか。

初めてお邪魔するお家でも、まったく気を使うことなく楽しく過ごせるのは、
このラフな考え方のせいかも知れません。

白いリース

2005-11-15 | 仕事のこと
花時間」の12月号で ”ホワイトフラワークリスマス" というページを担当しました。
このリースは、その時のものです。
たくさんの白を使って、ゴージャスなイメージのリースに仕上ったと思っています。

白という色はとても多彩だと思います。
クリーム、ベージュ、ピンク、ブルー、グリーンなど、
「白」と一口に言ってもたくさんの白が存在します。

花をいける時は、暖かい白が好き。
クリーム、ベージュ、ピンク系の白をたくさん混ぜて、豊かな白に仕上げるよう心がけます。
すると、白い花たちが楽しげにおしゃべりを始めるような気がしてきます。
「フフフ」などと、笑い声もおきそうです。

このリースもまさにそう。
今までは、白いリースを見るとダイアナ妃が亡くなった時のことを思い出して、
なんだかしょんぼりしがちでしたが、
豊かな白を使ってたっぷりと作れば、こんなに楽しげになるのだと思いました。


クールな白はカッコ良く決めたいときに使います。
グリーン系の白い花を、葉っぱと組み合わせてぱきっといけるのも素敵です。


花にはたくさんの色が存在して、同じ品種の花でも、微妙に色みが違っていたり。
質感も関係しているのでしょうけれど、奥が深くて、いつまでも発見があるわけです。



オランダ 町歩き

2005-11-11 | 花のこと
オランダでは、毎日たくさん歩きました。
生産者や種苗会社行くためです。
その途中で、こんな看板を見ました。
女の子の大きさは約150センチくらい。
その大きさに、ぎょっとしますが、ここはランの生産者さんのお家の前でした。
シンビジウム1本1ユーロ、ってことは、130円くらい!
安い!
安すぎます!
きっと、市場に出荷できないいわゆる「わけあり」品なのでしょうけれど。

お肉屋さんには太めの男の子が、魚屋さんの前ではいたずら顔の男の子が、
この少女と同じ表情で立っていました。
毎日いろいろなパターンを目にしているうちに、恐いもの見たさで自ら探すようになってしまいました。
ある日、金物屋さんのようなところで、この看板が売っているのを遠目に見ましたが、
連れて帰るには背が高すぎるし、迫力あり過ぎです。

ホリティフェア

2005-11-09 | 花のこと
しばらく、更新できなくてごめんなさい。
オランダの「ホリティフェア」に行ってきました。
オランダに行くのは初めてだったので、とても楽しみでした。
そして、ホリティフェアには、全世界から花の仕事をしている人々が集まることを身をもって知り、
その規模の大きさと人出に圧倒されてしまいました。

写真は種苗会社のブースに飾ってあるガーベラとスターチスです。
天井が高いこともありますが、これだけふるように花を飾られると,圧巻です!
他にも、ブースごとにいろいろ工夫されていて、見ているだけでも飽きません。
展示の写真は少しずつこのページで紹介して行きますね。
さらに、現地の人とふれあって、カタコトでも少しだけお話しできたのが、刺激的でうれしいことでした。

オランダの通貨がギルダーからユーロに変更され、以前のようないわゆる「旨味」がなくなったことから、昔のようにオランダからの花の輸入は盛んではなくなってしまったそうですが、花大国、を誇りに思う人々の笑顔が、自信に満ちあふれていたのが、印象的でした。

フランスの花屋さん

2005-11-01 | 仕事のこと
フランスの花屋さん
今日は、11月5日から吉祥寺のギャラリー「feve」で個展をなさる山本ゆりこさんとお会いしました。

山本さんは、もう8年もパリに住んでいらっしゃるそうです。
フランスを自然に受け入れていらっしゃる様子が、端から拝見していてもうれしいような感じです。
のんびりと、一言一言を大切にお話しなさるのは、言葉の重みを分かっていらっしゃるからでしょうか。
それがすなわち、人としての重みとしてあらわれるのでしょうか。

ギャラリーのオーナー引田さんが、レピキュリアンのタルトタタンをごちそうしてくださいました。
リンゴが詰まった甘さとタルト生地のぱりぱり感が絶妙で、山本さんがうれしそうに語るタルトタタン発祥のお話を聞きながら、静かな時が流れていきました。
こんなにゆっくりと、時間を過ごすのは本当に久しぶり。
パリ時間を体感することができました。

山本さんは、先日「パリの小さな店案内(六耀社)」を上梓されたばかり。
とってもかわいい、足で歩くパリの町案内の本です。
食べ物や雑貨などがたくさん紹介されているだけでもうれしいのに、店の間取り図なんて載っていて、
そのうえ、そのお店でのやり取りに必要なフランス語も書いてありました。
写真も山本さんがすべて撮られたそうですが、店の雰囲気や特徴がよく出ています。
文章もしっかりと説明がはいっているあたり、とても分かりやすいです。

その本の出版を記念して、フェブの会場に小さなパリのお店を開くそうです。
そこで、ジェンテは花屋の部分をお手伝いすることになりました。
まるでパリの花屋がそこにあるように、というご注文ですが、うまくいくでしょうか。
当日は、残念ながらほかの仕事が既に入っていたため、私は立ち会うことができませんが、
仕入れはばっちり!の予定です(汗)。
スタッフがきっと迅速に対応してくれるでしょう(希望)。

ちなみにここだけの話ですが、今日会場裏を拝見してきた所によると、山本さん買い付けのかわいいパリの小物たちがいっぱい!でした。
すべて、販売なさるそうです。
初日に行くことができないのが、悔しくてなりません。



ギャラリーfeve HP
「パリの小さな店案内」六耀社HP

※ちなみに、「レピキュリアン」は、ジェンテ斜め前のケーキ屋さん。
大人のパリ味のケーキは一度体験したら、ほかのケーキでは物足りなくなってしまいそう。本当に美味しい!