蜘蛛網飛行日誌

夢中説夢。夢の中で夢を説く。夢が空で空が現実ならばただ現実の中で現実を語っているだけ。

横濱舊書舗

2005年07月09日 05時18分31秒 | 本屋古本屋
横浜には偶さか所用ででかけるが、そのおりかならず誠文堂書店を覗くことにしている。去年まで伊勢佐木町通りに面した三階建てビルの二階にあった店舗が今年から馬車道の県立博物館、昔の横浜商銀の隣に建った新築ビルの二階に移った。
以前の店舗より若干狭くなったようにも感じられるのだが、書架の品物はよく整理されていてとても見やすい。もっとも整理されているという点では伊勢佐木町時代と変わりない。ここも専門書しか並べない頑固な店で、伊勢佐木町の店にはひやかし客お断りの紙が入り口に貼ってあった。一見するとまったく入りづらい店なのだが、店内の雰囲気はいたってよく、レジに座っている店員(あるいは店主)も愛想がよい。馬車道に移ってからはそんな貼り紙もなくなってしまったが、愛想のよさは変わっていない。場所柄サラリーマンやOL風の客が目に付くものの、マンガしか見ない小僧どもは入ってこない様子だ。店舗が二階にあるということだけでも、場違いな客を排除する効果は高いと思う。
横浜の古書店で有名なのは野毛の天保堂苅部書店だが、ここは専門書から通俗小説まで何でも置いてある。ジャンルの幅はたしかに広いことは認めるとしても、内容的には誠文堂よりあきらかに劣る。いやそんな言い方をしてはいけないのかもしれない。内容的に劣るというのは、あくまでわたしの好みの分野についてのみの判断に過ぎないのだから。異なる分野に興味のある人ならばまた別の評価をくだすはずだ。それから大岡川沿いの通りにある某書店は男色ものを揃えている。アダルトショップなどではなくて、れっきとした古書店なのだからこれは立派だ。特殊な分野で伸びる店があってこそ、初めてこの業界全体のレベルが向上するというものである。
風俗ものといえば神保町の芳賀書店。それもビルになる前の木造店舗のころの芳賀書店はおもしろかった。左翼系出版物が並んだ棚のとなりに緊縛写真集がずらっと並んでいたりしたなあ。ビニ本(もはや死語)で儲けてビルを建てたけど、今では単なるアダルトショップになってしまった。いつだったか神保町を徘徊していたら一人の紳士が神田警察署のお巡りさんに「こがしょてんはどこでしょうか」と尋ねていた。そしたらお巡りさん「え、こがしょてん。はがしょてんじゃあないですかあ」なんて聞き返していたっけ。ポリスマンなんでしょ、多分自分もお世話になってるから芳賀書店になるんだろうけれど、もっと勉強しなさい。当然ながら古賀書店は音楽書、楽譜の有名専門店。
ところで以前はオデオンの五階に先生堂書店がフロアの半分くらいを占めて出店していたが、いまは伊勢佐木町通りでこじんまりと営業している。この店も野毛の天保堂苅部書店と似たような品揃えだ。横浜の古書店はほかにも何軒かあるのだが、そちらにはあまり足を向けない、わたしの好みの品を置く可能性が低いし、それに値段も誠文堂より明らかに高めなのだ。
ま、いろいろあるけれども自分の好むジャンルということでなく、店舗数だけ見れば関東近辺では最多の街といえるのではないかと思う。

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