「流行言語」の回で北沢書店の改装工事についてちょっと触れた。で、十月十二日新装開店なった店舗を覗いてみた。第一印象は「なんだ、こりゃ」といったところ。
要すれば一階の新刊書売場は小学館の関連会社「昭和図書」が出店する「ブックハウス神保町」になってしまい、二階の古書売場だけが残ったわけだ。その結果「約10万冊あった在庫は一挙に3万冊を切る」と毎日新聞の記事が報じている。洋書の売り上げが落ち込んでとうとう北沢も敗北したかと、少々寂しい気分になった。以前から店売りで儲かっているようにはとても見えなかったから、早晩こういうことになるだろうとは薄々感じてはいたが、なってみるとやはり良い気分はしない。これで北沢書店は表向き洋古書専門店となってしまったわけだが、洋古書といえば小川町に崇文荘がある。しかし北沢は英語系出版物を主に取り扱っているので崇文荘とは雰囲気がまったく異なる。まあ古書部の店舗が残っただけでも慶事と思わなくてはならないのだろう。
ところで第一印象「なんだ、こりゃ」の原因は一階の「ブックハウス神保町」にある。全体に濃いブラウンの色調をベースとした重厚な雰囲気は、まるで老舗デパートの紳士用品売場と見紛うほど。そこに日本語の児童向け図書が並んでいるのだから、違和感というよりも痙攣的不快感に苛まれてしまう。わたしには「ブックハウス神保町」が客に向けてどのようなメッセージを発信しようとしているのか、よく解らなかった。それともこのような「高級感」が大好きな連中をあからさまにターゲットにしているのだろうか。まあそうしたいのならするのは勝手だが、一言申し述べるならば、わたしたち書痴は雰囲気にはごまかされない。
話は変わる。南海堂の店先にニコライ・ハルトマンの『存在論の基礎付け』が出ていた。高橋敬視訳のこの本はコンディションが良いと八千円はするが、それが千八百円の売価だった。紙は日焼けしているし函も汚い。傍線もしっかりと引かれていたりして、これほどコンディションが悪ければ普通は千円もしないところなのだけれども、それでも千八百円という値がつけられるということは、今にしてなおこの本の価値が高いことの証でもある(のだろうか)。じゃあ買ったのかって。いや買わなかった。買っても読む暇がないし、飾っておくならもっとコンディションのよいものを買う。それと気になったのだが、岩波の辻善之助著『日本仏教史』全十巻が山陽堂書店と大雲堂書店に出ていた。山陽堂書店が一万円で大雲堂書店が一万二千円。このシリーズが安値で売られているのは今まで見た記憶がない。もしかしたら近々新しい刷りで出版されるのかもしれない。
似たようなことが今までにもあったので、ふとそう思った。
要すれば一階の新刊書売場は小学館の関連会社「昭和図書」が出店する「ブックハウス神保町」になってしまい、二階の古書売場だけが残ったわけだ。その結果「約10万冊あった在庫は一挙に3万冊を切る」と毎日新聞の記事が報じている。洋書の売り上げが落ち込んでとうとう北沢も敗北したかと、少々寂しい気分になった。以前から店売りで儲かっているようにはとても見えなかったから、早晩こういうことになるだろうとは薄々感じてはいたが、なってみるとやはり良い気分はしない。これで北沢書店は表向き洋古書専門店となってしまったわけだが、洋古書といえば小川町に崇文荘がある。しかし北沢は英語系出版物を主に取り扱っているので崇文荘とは雰囲気がまったく異なる。まあ古書部の店舗が残っただけでも慶事と思わなくてはならないのだろう。
ところで第一印象「なんだ、こりゃ」の原因は一階の「ブックハウス神保町」にある。全体に濃いブラウンの色調をベースとした重厚な雰囲気は、まるで老舗デパートの紳士用品売場と見紛うほど。そこに日本語の児童向け図書が並んでいるのだから、違和感というよりも痙攣的不快感に苛まれてしまう。わたしには「ブックハウス神保町」が客に向けてどのようなメッセージを発信しようとしているのか、よく解らなかった。それともこのような「高級感」が大好きな連中をあからさまにターゲットにしているのだろうか。まあそうしたいのならするのは勝手だが、一言申し述べるならば、わたしたち書痴は雰囲気にはごまかされない。
話は変わる。南海堂の店先にニコライ・ハルトマンの『存在論の基礎付け』が出ていた。高橋敬視訳のこの本はコンディションが良いと八千円はするが、それが千八百円の売価だった。紙は日焼けしているし函も汚い。傍線もしっかりと引かれていたりして、これほどコンディションが悪ければ普通は千円もしないところなのだけれども、それでも千八百円という値がつけられるということは、今にしてなおこの本の価値が高いことの証でもある(のだろうか)。じゃあ買ったのかって。いや買わなかった。買っても読む暇がないし、飾っておくならもっとコンディションのよいものを買う。それと気になったのだが、岩波の辻善之助著『日本仏教史』全十巻が山陽堂書店と大雲堂書店に出ていた。山陽堂書店が一万円で大雲堂書店が一万二千円。このシリーズが安値で売られているのは今まで見た記憶がない。もしかしたら近々新しい刷りで出版されるのかもしれない。
似たようなことが今までにもあったので、ふとそう思った。