ゴジラのいる新宿東宝で「シェイプオブウォーター」を見た。ウィークデイの午後だったが、劇場はほぼ満員で、普通は空いている最前列までびっしり埋まっていた。
やはりアカデミー賞受賞が影響しているのだろう。しかし昨年の作品賞「ムーンライト」がちょっと期待外れだったので、さて今年はどんな映画だろうかと見始めた。?
1963年ごろのアメリカの田舎にある軍の秘密基地が舞台で、当時のTV番組やオールドカーなどとともに、黒人差別 女性差別 がリアルに描かれる。主人公はろうあ者の中年女性で、黒人女性の友人と基地の掃除婦をしている。ここに実に嫌なキャラクターの白人の軍高官が秘密の使命を帯びてやってくる。
もうこの先は映画を見てもらったほうがよいと思うが、ストーリーに意外性があり、まさかまさかという方向に話は進んでいくが、しかしこの先どうなるのかという不安は、途中からやはりこうなるだろうなという確信になってくる。そしてそのようにラストを迎える。
この映画は、ちょっと以前だったら賞の候補にはなっても、とても作品賞や監督賞を取ることはなかったろう。しかし去年の「ムーンライト」は黒人のゲイという とてもアカデミー賞らしからぬテーマだったし、今年はさらに常識を飛び越えたテーマになっている。これは白人至上主義者のような言動ふるまいを見せる、現大統領に対抗する西海岸の映画人たちのアンチテーゼなのかもしれないと考えてしまう。
とはいいつつストーリーに意外性があり映画としては面白いこと、全体的にテンポがよく映像も半世紀昔の雰囲気をよく表していること、主役の女性が何とも魅力的なこと、敵役の白人の高官がよくはまっていることなど 見どころはいっぱいです。
何とか賞を取ったとかいうことを気にしないでご覧いただくことをお勧めします。