浮気 9

2022-06-27 10:04:44 | 日記
『もっと、柴犬の話をしましょう!』

結局、笑子さんは田辺くんと会うことになった。

二人で食事をして、3時間ほどを過ごした。

思った以上に気をつかわない、気楽な時間だった。

この人とならお付き合いしてみたい。

笑子さんは、田辺くんの魅力にスイッチが入ってしまったようだった。



「先輩、田辺さんとマッチングしたんですか?」

合コンに一緒に参加した後輩のひとり、莉沙が興味津々で聞いてきた。

「ううん、マッチングなんてしてないよ」

「二人で食事したそうですよね。」

「え?どうしてそれを知ってるの?」

「先日、合コンしたメンバーは知ってますよ。その中の誰かが、二人を見たんだと思います。」

「…そうなんだ…。マッチングじゃないの。彼と犬の話しで盛り上がっちゃって…」

「それを、マッチングって言うんですよ!」

笑子さんは、ハキハキと物を言う莉沙が少し苦手だった。