koshiのお部屋2

万年三歳児koshiの駄文のコーナーです。

ジャケ買い

2007年09月18日 20時57分57秒 | TV&エンターティメント

先日,ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」(の新訳)が売れている,という話を聞いた。
私にとっての海外文学は催眠効果以外ない代物だったが(大汗),混迷する現代の世相や家族・兄弟の在り方が,帝政ロシア末期の暗澹たる,というか絶望的な世相とマッチしているのか,と実に興味深く話を聞いた。


で,本日の朝刊によると,太宰の「人間失格」が売れているのだそうだ(間もなく削除されるであろうが,こちら参照)。
だいたい,集英社文庫から純文学が出版されていたとは迂闊極まりないことに知らずにいた。
文庫本の老舗が,岩波・新潮・角川・講談社(創元推理とかハヤカワ,潮,春陽堂,保育社カラーブックス,教養文庫なんてのもあった)とすると,昭和50年代以降に創刊となった文春・集英社・徳間・光文社あたりは 極新しい印象がある。


記憶に新しいところだと,昭和末期に角川社長となった角川春樹氏が「文庫本のカジュアル化」に取り組み,お堅い印象の角川文庫の装丁を茶系からサーモンピンクにして,若年層にアピールすると共に,内田康夫や赤川次郎といった新鋭作家を登用したことを思い出す。
私にとっても中学生の時以来,古今硬軟を問わず活字の情報源は文庫本であったから,文庫の存在とそれに伴う影響力は極めて大きいと言えると思う。


でもって,集英社文庫である。
「人間失格」がここ三ヶ月で30万部売れたというから恐れ入る。
で,どうも,理由は表紙(厳密にはカバー)のイラストを「Death Note」の作者のものにしたから,ということらしい。
所謂ジャケ買いである。


流行者に疎い,というか,敢えて背を向ける(というより拒否反応を示す)天の邪鬼の私であるから,当然「Death Note」読んでないし映画も無縁の存在であるので,上記リンクの記事にあるように「Death Note」の世界観と太宰の破滅的・絶望的なそれが合致するか否かは分からないが,面白い現象とは思う。
さらに集英社は,「銀河鉄道の夜」,「こころ」,「友情・初恋」といった名作のカバーに売り出し中の女優である蒼井優嬢を起用。
こちらも売り上げは上々とのことだ。


そういえば,昭和末期の上記角川文庫だったと思うが,名作のカバーを当時「ハート・カクテル」のヒットで売れに売れていたわたせせいぞうに描かせたことがあった。
私なんか,変な外車に乗って昔別れた女のことをうじうじと思い出している主人公(ハート・カクテルくん??)が嫌いで,違和感ありありだったのだが,今はとうなったのだろう・・・。


ジャケ買いと聞くと,ついついamazonのレビューにあるような過激なジャケットにつられて買ってしまってから後悔した,という綺麗なおねいさんのDVDの話を思い出してしまったが(私だけか・・・笑),文庫の場合買った以上読もうとするだろうから,動機やきっかけが好きな漫画家のイラストやおねいさんであれ,活字離れが叫ばれる昨今,古今の名作に触れる若者が増えるならば,それも良いことなのかもしれない・・・。


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