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koshiのお部屋2

万年三歳児koshiの駄文のコーナーです。

「チェコ組曲」

2006年12月11日 21時00分00秒 | 音楽

久々に,特濃エントリ行きます・・・


「のだめカンタービレ」TV版第一回目冒頭。
WWIIの戦火に遭わず,中世の町並みがそっくり残る古都プラハ。
上空から俯瞰したであろうブルダヴァ(モルダウ)川の悠然たる流れと旧市街地に向けて架かるカレル橋,という私にとっては堪らない風景が映し出される。
王宮をバックに遊覧船が走り,やがて世界遺産に指定され映画「アマデウス」のロケ地ともなった旧市街がバースを効かせて画面に現れる。
次いで登場するのはモーツァルトとベートーヴェンの銅像。
プラハがウィーン,ベルリン,ミュンヘン,ドレスデン,パリ,ロンドン,アムステルダムと並ぶ国際的音楽都市であることが改めて認識される。
バックに流れるのは弦楽合奏による哀愁に満ちた旋律。
最後に登場した銅像のせいもあって,咄嗟にドヴォルザークと分かるメロディアスで愁いに満ちた楽曲だ。
そして,芸術家の家ドヴォルザークホールで演奏するオーケストラの全景。
ドヴォルザークやマルティヌーも指揮したであろう名門チェコフィルハーモニー管弦楽団かプラハ交響楽団,或いはチェコ放送交響楽団であろうか・・・。
指揮するのはセバスティアーノ・ヴィエラことズデニェック・マーカル。
「親愛なるヴィエラ先生。先生の指揮するプラハ・ドヴォルザークホールでの公演,今年こそまた 見に行きたかった・・・」
という千秋のモノローグが被る・・・。


やがて曲は,突如として6/8拍子のチェコの民族舞曲であるフリアントに変わる。
スピード感溢れる二つ振りと重厚なブラスの響き。
コーダ(終結部)に挿入された度重なるゲネラルパウゼ(全休止)が緊張感をいやが上にも高める。
クライマックスのコラールはあたかもバッハの宗教作品の「アーメン」を思わせる荘厳な響き。
そしてマルカート(一音一音はっきり)の痛烈な追い込み。
紛れもなくドヴォルザークの作品であることを確信した。


はて,交響曲何番だろう。
後期の4曲である第6番から有名な第9番「新世界より」は知っているので,第1~第5の5曲のいずれかではないか,と予想し夜中に交響曲全集のCDケースを何年ぶりかで開く。
ところが,全く無い。
ドヴォルザークの管弦楽作品だと,16曲からなる有名な「スラブ舞曲集」以外だと,序曲「我が家」,交響的変奏曲,スケルツォ・カプリチオーソ,ノットゥルノ,序曲「自然の王国で」,同「謝肉祭」,同「オテロ」(以上3つの序曲を人生三部作と呼ぶらしい),交響詩「水の精」,同「真昼の魔女」,同「金の紡ぎ車」,同「野鳩」,同「英雄の歌」といったところがさほど有名ではないが(「謝肉祭」のみ有名か)一応後期の作品として知られているわけだが,そのいずれでもない。
他には,弦楽と管楽の為の二つのセレナーデがあるがそれも違うし,「伝説曲」でもなかった。
残るは「チェコ組曲」と「アメリカ組曲」ぐらいか・・・と思い,それでもなかったら,ドヴォルザークの後輩に当たるマルティヌーとかスークといった20世紀チェコの作曲家の作品か・・・,と考えて10/16のエントリに記したところ,実に有難いことに寄せられたコメントにより「チェコ組曲」の第2曲ポルカと終曲のフリアントだと判明。
すぐにCD探しが始まった。


いやー,意外にあるものである。
大物どころだとチェコフィルハーモニーの音楽監督を務めたヴァーツラフ・ノイマン(1920-1995)を筆頭に結構な数の演奏がCD化されていた(個人的にチェコフィルとの演奏には好印象が無い)。
残念ながら20世紀最高のドヴォルザークのエキスパートであったラファエル・クーベリック(1914-96)や,セバスティアーノ・ヴィエラことズデニェック・マーカルの指揮する録音がないのは残念だったが,私が選んだのはこちらである。
何と言っても3枚で1,200円ちょっとという価格もさながら上記の曲目が「スラブ舞曲集」,「伝説曲」とセレナーデ以外全てが収録されている。
殆どドヴォルザーク/序曲・交響詩全集の様相を呈している。
録音も2004年と新しく,何とチェコではなくスロヴェニアのオストラヴァなる都市での収録であるから音質も良いし オケも上手い。
これで追補するとしたら,どなたかが書かれていたように「アメリカ組曲」ぐらいだろう。(これと「新世界」,弦楽四重奏曲「アメリカ」,チェロ協奏曲の4つを「新大陸四部作」と命名した・・・笑)


「チェコ組曲」以下の5曲から構成される。
 1.前奏曲(田園詩曲)
 2.ポルカ
 3.ソウセツカ(メヌエット)
 4.ロマンツェ
 5.終曲(フリアント)


結論から言えば,これは名曲である。
作品番号が39と若書きであることが分かるが(有名な「新世界」は95),初期の交響曲に見られるような構成感の希薄さが感じられず,オーケストレーションも弦楽とホルンを中心に冴えた手法を見せる。
上述の通り,哀切な旋律が郷愁をかきたてる第2曲ポルカと,激しいスラブの血を感じさせる終曲のフリアントは絶品である。
すっかり気に入ってしまい,先週CDを手に入れてから,殆ど毎日のように聴いている。よくよく聴いて見ると,1曲目ものどかなチェコやボヘミアの田園風景(見たこと無いが・・・) が眼前に浮かぶようだし,フリアント同様チェコの民族舞曲たるソウセツカで書かれた第3曲も人懐こいメロディが魅力的で,ロマンツェなど後年のチェロ協奏曲の第2楽章そっくりの美しいフルート独奏が出てくる・・・といった具合に,他の3曲もなかなかである。


音楽を聴くようになって早いもので今年で30年になるが,新しく魅力的な曲を発見することはこの上ない喜びだ。
現代のクラシック音楽に魅力的な新曲を見出すことがほぼ不可能になっている現在,もしかするとまだまだ良い曲が埋もれている可能性は大である。
今度は「アメリカ組曲」を探してみよう。
何せ,アメリカはドヴォルザークの創作の霊元ともいうべき土地であったのだから,魅力的な曲である可能性大である。


・・・と書いているうちに,「のだめ」の時間だ。
(やっぱりこの手の根多だと長くなる。殆ど病気だ。処置無し・・・・・)


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