長野県諏訪二葉高等学校校長日記 2014・2015

諏訪二葉高校の校長です。校長の視点から学校の様子をお伝えしたいと思います。登校日毎日更新を目指します。ご愛読願います。

7月13日(月)同窓会理事会、高校野球1回戦 2015-093

2015-07-13 18:07:18 | 日記

 

 本日午後、本校会議室にて、同窓会理事会が開催されました。

 私も冒頭でご挨拶を申し上げました。

 先の火災について、報告しました。また、学校の近況について資料を用意しました。最近、この「校長日記」で記している『天つ野』から、話題も提供しました。

 主な議題は、10月4日(日)のロビーコンサートだったかと思います。理事のみなさん、よろしくお願いします。

 会議の様子です。

 今日は、9時30分から野球部の夏の大会1回戦がありました。相手は、松本県ヶ丘高校です。私も応援に行ってきました。試合が予定通りに終了し、同窓会理事会に間に合いました。

  松本市野球場

  本校野球部の保護者の皆さん

 試合前の練習

   先発メンバー

    試合開始

    一回裏守り

    3回裏に3点取られました。

 4回表ワンアウト1、2塁のチャンスを生かせず、この時点で0対3

    5回表、ツウアウト1、3塁から、代打塩沢の左中間2塁打で、1点返す。

    結局、1対4でした。選手諸君、マネージョーのみんな、そしてスタンドで応援していた野球部のみんな、海沼部長、名取監督、西澤先生の顧問の先生方、野球部の保護者の皆さん、お疲れ様でした。

    冒頭の写真は、事務室前の掲示板です。生徒諸君が、よく見ていきます。本校生の活躍の様子を掲示しています。教務係の高見澤先生と武田先生が、毎朝、事務室で、新聞を確認してくれています。そして、掲示してくださっています。ありがとうございます。

 今日の『天つ野』は、第7号についてです。昭和22年(1947年)7月15日発行とあります。

 ここに大変興味深い調査結果が掲載されています。

 家庭における勉強時間の調べ(昭和22年6月8日現在) とあります。

 時 間   実 数 百分率

 30分    11  1.5

 1時間    68  9.8

 2時間   202  29.3

 3時間   223  32.4

 4時間   120  17.4

 5時間    64  9.3

 この調査結果、皆さんどのように思われますか。

 少なくとも、現在の二葉生より、学習時間は多いと思いますね。

 新聞についての調 もあります。

             2 年  3 年  4 年  5 年      

 新聞を読んでいる生徒  73.5%    85.5%     82.0%     91.0%

 政治経済面の記事            29.2       41.9        32.1        33.6

 社会面の記事                  31.4       39.1        28.6        14.4

 文化面の記事                  17.9        4.0         14.3        13.6

 外国の記事                       1.6       2.0           1.0          2.4  

 マンガ                            3.4        -              0.6          0.8

 その他                          16.3       13.0         14.3        35.2

 この時代は、まだ、テレビがなかったんですよ。

 新聞を読んでいる生徒が多いですよね。新聞をとっている家庭も多いということですよね。新聞をとるだけの財力がある。それに、高等女学校に子供を入学させるだけの財力があったことも、我々は背景知識として知っておく必要があります。

 愛読書の調 というものの記載もあります。

 2年 小説集、少女雑誌、藤村のもの、漱石のもの、啄木のもの、歴史の本、伝記のもの、科学の本など

 3年 藤村のもの、鴎外のもの、岩波文庫、探偵小説、漱石のもの、日本文学全集、小説集など

 4年 藤村のもの、漱石のもの、岩波文庫、ヘッセ・トルストイのもの、一葉のもの、伝記のもの、詩集・聖書・ゲーテのものなど

 5年 藤村のもの、啄木のもの、文学全集、岩波文庫、漱石のもの、ヘッセ・ジイドのもの、明治大正文学集など

 島崎藤村、森鴎外、夏目漱石、樋口一葉、石川啄木といった作家の作品が読まれていますね。当時の旧制の女学校生徒たちは、こうした作家の本を読んでいたんですね。

 崇拝人物の調 というものもあります。これなどは、現在では、個人のプライバシーに属する問題として、新聞調査、愛読書調査と並び、軽々しく調査などできない項目です。

 2年 父母、藤村、啄木、山本有三、二宮金次郎、野口英世、天皇陛下、マッカーサー

 3年 父母、天皇陛下、野口英世、レオナルド・ダ・ビンチ、藤村、尾崎行雄

 4年 藤村、キリスト、父母、ヘッセ、啄木、吉田松陰、ゲーテ、メンデル、二宮金次郎、静御前

 5年 キリスト、藤村、天皇陛下、キュリー夫人、宮城たまよ

 このほか、こんな作品もあります。

 父帰る

 母と姉妹で

 ホームに足を急いだのは

 暑い七月のことだった

 

 汽車がすべるように

 ホームに入った

 私達は飛び出した

 

 汽車から降りるのは誰だろう

 我が父 なつかしき父である

 幼き妹はなにもしらない

 

 お父さん……

 私は泣き声でそばへ行った

 母の目 私の目は涙が光っていた

 

 御苦労様すら云えなかった

 故郷の土を踏む第一歩

 ああ 何と淳朴な姿

 お父さんは、戦地から戻られたんですよね。待っていた家族の心情がよくわかる文章でしたので、全文取り上げました。

 諏訪高等女学校時代の最後の『天つ野』第8号は、昭和23年(1948年)3月20日に発行されています。

 その中に、以下の短歌が収められています。

 北満の地に在りてう姉を偲びて

 帰りこぬ姉の行方を思いつつ 仰ぐ夜空に北斗の光れり

 幾千里はなれし姉の身の上を 今日も妹と神に祈りぬ

 紅葉せしうるしの色はよき色と 愛でにし姉の姿偲ばる

 満州移民でしょうか、満州に渡ったお姉さんの安否がわからないことへの心配の情、お姉さんに対する深い慕情が、この歌にはあふれていますね。

 先の戦争にかかわる、一般民衆レベルの話題を、『天つ野』から拾い出してみました。