本日午後、本校会議室にて、同窓会理事会が開催されました。
私も冒頭でご挨拶を申し上げました。
先の火災について、報告しました。また、学校の近況について資料を用意しました。最近、この「校長日記」で記している『天つ野』から、話題も提供しました。
主な議題は、10月4日(日)のロビーコンサートだったかと思います。理事のみなさん、よろしくお願いします。
会議の様子です。
今日は、9時30分から野球部の夏の大会1回戦がありました。相手は、松本県ヶ丘高校です。私も応援に行ってきました。試合が予定通りに終了し、同窓会理事会に間に合いました。
松本市野球場
本校野球部の保護者の皆さん
試合前の練習
先発メンバー
試合開始
一回裏守り
3回裏に3点取られました。
4回表ワンアウト1、2塁のチャンスを生かせず、この時点で0対3
5回表、ツウアウト1、3塁から、代打塩沢の左中間2塁打で、1点返す。
結局、1対4でした。選手諸君、マネージョーのみんな、そしてスタンドで応援していた野球部のみんな、海沼部長、名取監督、西澤先生の顧問の先生方、野球部の保護者の皆さん、お疲れ様でした。
冒頭の写真は、事務室前の掲示板です。生徒諸君が、よく見ていきます。本校生の活躍の様子を掲示しています。教務係の高見澤先生と武田先生が、毎朝、事務室で、新聞を確認してくれています。そして、掲示してくださっています。ありがとうございます。
今日の『天つ野』は、第7号についてです。昭和22年(1947年)7月15日発行とあります。
ここに大変興味深い調査結果が掲載されています。
家庭における勉強時間の調べ(昭和22年6月8日現在) とあります。
時 間 実 数 百分率
30分 11 1.5
1時間 68 9.8
2時間 202 29.3
3時間 223 32.4
4時間 120 17.4
5時間 64 9.3
この調査結果、皆さんどのように思われますか。
少なくとも、現在の二葉生より、学習時間は多いと思いますね。
新聞についての調 もあります。
2 年 3 年 4 年 5 年
新聞を読んでいる生徒 73.5% 85.5% 82.0% 91.0%
政治経済面の記事 29.2 41.9 32.1 33.6
社会面の記事 31.4 39.1 28.6 14.4
文化面の記事 17.9 4.0 14.3 13.6
外国の記事 1.6 2.0 1.0 2.4
マンガ 3.4 - 0.6 0.8
その他 16.3 13.0 14.3 35.2
この時代は、まだ、テレビがなかったんですよ。
新聞を読んでいる生徒が多いですよね。新聞をとっている家庭も多いということですよね。新聞をとるだけの財力がある。それに、高等女学校に子供を入学させるだけの財力があったことも、我々は背景知識として知っておく必要があります。
愛読書の調 というものの記載もあります。
2年 小説集、少女雑誌、藤村のもの、漱石のもの、啄木のもの、歴史の本、伝記のもの、科学の本など
3年 藤村のもの、鴎外のもの、岩波文庫、探偵小説、漱石のもの、日本文学全集、小説集など
4年 藤村のもの、漱石のもの、岩波文庫、ヘッセ・トルストイのもの、一葉のもの、伝記のもの、詩集・聖書・ゲーテのものなど
5年 藤村のもの、啄木のもの、文学全集、岩波文庫、漱石のもの、ヘッセ・ジイドのもの、明治大正文学集など
島崎藤村、森鴎外、夏目漱石、樋口一葉、石川啄木といった作家の作品が読まれていますね。当時の旧制の女学校生徒たちは、こうした作家の本を読んでいたんですね。
崇拝人物の調 というものもあります。これなどは、現在では、個人のプライバシーに属する問題として、新聞調査、愛読書調査と並び、軽々しく調査などできない項目です。
2年 父母、藤村、啄木、山本有三、二宮金次郎、野口英世、天皇陛下、マッカーサー
3年 父母、天皇陛下、野口英世、レオナルド・ダ・ビンチ、藤村、尾崎行雄
4年 藤村、キリスト、父母、ヘッセ、啄木、吉田松陰、ゲーテ、メンデル、二宮金次郎、静御前
5年 キリスト、藤村、天皇陛下、キュリー夫人、宮城たまよ
このほか、こんな作品もあります。
父帰る
母と姉妹で
ホームに足を急いだのは
暑い七月のことだった
汽車がすべるように
ホームに入った
私達は飛び出した
汽車から降りるのは誰だろう
我が父 なつかしき父である
幼き妹はなにもしらない
お父さん……
私は泣き声でそばへ行った
母の目 私の目は涙が光っていた
御苦労様すら云えなかった
故郷の土を踏む第一歩
ああ 何と淳朴な姿
お父さんは、戦地から戻られたんですよね。待っていた家族の心情がよくわかる文章でしたので、全文取り上げました。
諏訪高等女学校時代の最後の『天つ野』第8号は、昭和23年(1948年)3月20日に発行されています。
その中に、以下の短歌が収められています。
北満の地に在りてう姉を偲びて
帰りこぬ姉の行方を思いつつ 仰ぐ夜空に北斗の光れり
幾千里はなれし姉の身の上を 今日も妹と神に祈りぬ
紅葉せしうるしの色はよき色と 愛でにし姉の姿偲ばる
満州移民でしょうか、満州に渡ったお姉さんの安否がわからないことへの心配の情、お姉さんに対する深い慕情が、この歌にはあふれていますね。
先の戦争にかかわる、一般民衆レベルの話題を、『天つ野』から拾い出してみました。