みどりの船

絵本と絵本まわりのこと、日々の雑感を少し。

うごいちゃだめ!

2006-06-07 | ドキドキ/五感を刺激する絵本
 
エリカ・シルヴァマン/文 S.D.シンドラー/絵
  せなあいこ 訳   アスラン書房

今日はこの頑固者2人?のお話を。

頑固者・・・なぜか妙に愛着がわくんですよね~。

うちは4人とも、たぶん、かなりの頑固一徹さん。
4人が4人ともだから、方向が違うと大変です。

この表紙のお二人も、かなりなツワモノです。

ことの発端は、「あたしって、なんて泳ぐのがじょうずなの」
と悦に入っていたあひるのそばに、自分のほうが早く
泳げるというがちょうがやってきたことでした。

「それなら競争よ」 いっせいに泳いでみれば、泳ぎは
あひるの勝ち!
ほらねーと思っていると、がちょうは話の矛先をかえて、
ぼくのほうが空を高く飛べる!と言い出します。
「そんなことないわよ」 「じゃ、きょうそうだ。」と
またもやいっせいに飛び立ち、今度はがちょうの勝ち。

こういう我の張り合いというか、負けず嫌いの自慢大会って、
こどもがしょっちゅうすることですよね。

でも、次にあひるが提案してきたのが、”うごいたらまけ!
競争でした。
ここからがまさに見もの。
ハチが飛ぼうが、ウサギやカラスに遊ばれ、つつかれようが、
そんなことにはまったく動じない。
どちらもこそっとも動きません。
お互い、相手が負けを認めるまでは、少しも動かないゾ
という固い決意なのです。
風がふいても、置物のように固まったまま。
そのままごろごろ吹き飛ばされた先で、きつねに
出くわしてしまいます。

きつねにしたら、ごちそうがおとなしくころがっているのだから
たまりません。

ほんとにほんとに、いつまでそうやって意地をはっているのー?


きつねがスープを仕込んで、どちらから入れるか算段している
ときでさえ、まだどちらも動く気配なし。
生きるか死ぬかの瀬戸際だというのに・・・。
うぅ、、、この緊迫感がたまりません。

あひるの心には、微妙な変化があらわれていて、
いくらなんでも、もうがちょうさんは動くだろう、
動いてくれなくちゃという気持ちが、ムクムクと。

この”うごいたらまけ競争”は、結局、どちらが
勝ったでしょう?


この絵本を2年生の教室で読んだことがあります。
読み終わって本をとじたら、一番前の端のほうの女の子が
ふ~と一息はいて
「あー、こわかった」と言いました。

こわばっていた体が、ゆるゆるとゆるんで、リラックス
する空気がこちらにも伝わってきていたので、
このお話にすーーっと入ってしまった子どもたちの顔を、
思わず見まわしてしまいました。
ほんとに、手に汗にぎるお話ですよ。

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