ヨナの福音こばなし帳

オリジナルのショート・ストーリー。一週間で一話完結。週末には、そのストーリーから人生の知恵をまじめにウンチクります。

親切なお医者さん(2)

2008-10-07 | 親切なお医者さん/ 5つの指摘
親切なお医者さん(2)

太郎先生には、次郎先生という友だちがいます。次郎先生は次郎医院でお医者さんをしています。太郎先生は、次郎先生と会ったときに、その患者さんの話をしました。

太郎先生 「実はね、こないだ、困ったことがあったんだ」

次郎先生 「なんだい、その困ったことって」

太郎先生 「それが、ある初めての患者さんが体調が悪いって言うんで、健康診断したんだよ」

次郎先生 「で、他の人の診断結果を見せた。バカだな、おまえ」

太郎先生 「それはおまえだろ。本人の結果と平均値を見せて、いくつか異常値があることを指摘したんだ」

次郎先生 「だけど、それだけじゃ、病気を断定できないだろう。おまえの失敗だな」

太郎先生 「わかってるよ。それで、いくつかの精密検査を勧めたんだ」

次郎先生 「ちゃんとやってるな。じゃあ、何も困ってないじゃないか」

太郎先生 「話は最後まで聞けよ。そしたら、その患者さん、いきなりすごい勢いで怒り出したんだよ。

『なんだと。ひとを病人みたいに言いやがって。オレは最近調子がいいんだ。俺の体はオレが一番よく知っている。そうやって、人を心配させて、精密検査をふっかけて、高い金を踏んだくろうっていうんだろ。おまえみたいな、金儲け主義のヤブ医者の言うことなんか聞くものか。オレは、どこも悪いところなんかないんだ。オレが病気なわけないだろう』ってね。

もし俺の見立てが当たっていたら、あの患者さん、時間の問題で人工透析のお世話だな」


太郎先生と次郎先生には、その後も、楽しく話を続けました。

(つづく)