ヨナの福音こばなし帳

オリジナルのショート・ストーリー。一週間で一話完結。週末には、そのストーリーから人生の知恵をまじめにウンチクります。

続・放蕩息子(3)

2008-10-22 | 欲しがり屋のヒヨコ/ 続・放蕩息子 
ふたりは、豚の飼育小屋の中で、朝から晩まで、働きました。水を運び、餌を運び、豚の排泄物を運び、また水を運び、餌を運び、そして豚の排泄物を運び、それを一日続けるのです。豚たちは、いつも餌を食べています。でも、ふたりは、仕事が終わった夜に、その日稼いだわずかのお金で、ほんの少し貧相なものを一口二口食べることができるだけでした。


ある日、あまりにもおなかがすいた次男は、ついに、豚の餌を食べてみました。けれども、一口、口に入れると、それはとても食べられる味ではありません。

彼は、力尽きて、そこにしゃがみこんでしまいました。


そして、彼は、我に返りました。

「お父さんのところには、雇い人たちでさえ、食べきれないほど食事があるというのに。僕は、ここで、豚の餌を食べるまでに落ちぶれて、そして、飢えて死んでしまいそうになっている。
そうだ、お父さんのところに帰ろう。
そして、お父さんにこれまでのことを謝って、雇い人の一人として、置いてもらおう」

彼は、豚の餌の入ったバケツを両手から放し、弟のところに近づいて、その決心を伝えました。そして、弟も一緒に、お父さんのところに帰ろうと、誘いました。


ところが、三男は、お父さんのところに帰ろうとしないのです。この三男、次男の話には、いっこうに耳を傾けようとしません。次男がどれほど話しても、三男の気持ちは変わりませんでした。

ついに、次男は、ひとりで、お父さんのところに帰ることにしました。

(つづく)