酋長の真珠（５）

「この真珠は、その真珠貝から取ったものです」

酋長は、その真珠に目を落とし、そして、また白い人に顔をむけて、静かに言いました。

「この真珠には、私の息子の命がかかっているのです。だから、それを何かと交換することはできません」

白い人は、自分の手の中にある、その木の箱が、ずしりと重たくなったように感じました。




しばらく沈黙が続いた後、酋長が口を開きました。


「それを、何かと交換することはできませんが、


　　 さしあげることはできます。

　　　　 あなたは、この島の私たちに新しい人生をもたらしくてださった方だから」


（週末は、このストーリーから、人生の知恵をまじめにウンチクります。）