いま、日本への移住を望む中国人が急増しているという。
「ゼロコロナのときに味わった痛み、苦しみは、一生忘れることができない」「この国にいたら、苦労して築いた資産が、ある日突然、没収されるかもしれない」という気持ちがくすぶっており、「日本に移住したい」「中国から脱出したい」と考える中国人が、水面下で増えているのだ。
「移民」の隠語は「潤」(run=ルン)で、英語の「run(ラン)」と同じスペルであることから、中国では「ずらかる」「逃げる」などの意味で使われている。SNSでも「移民」というワードを避け、「あなたは“潤”する予定ですか」などと使うことが流行った。 ロックダウンの厳しさに耐えられず、もうこの国に見切りをつけようと考えた人が、ほぼ同時期に、大量にこのワードを検索したのだが、当時は物理的に身動きが取れず、検索するだけで終わった人もいた。また、早急に事を進めようとした結果、移民仲介会社にお金をだまし取られたり、所有していたマンションが希望価格で売れず、移住資金を確保できなかったりして、失敗したケースも多いと聞いた。 だが、日本の中国系不動産会社、行政書士などに話を聞くと、コロナ禍が一段落し、個人ビザの発給が再開された今年の春ごろから、再びじわじわと問い合わせが増えているという。 問い合わせの内容で多いのは、日本に滞在するためのビザの問題、そして不動産購入の話だ。冒頭の男性はまずビジネスビザで入国し、しばらくして就労ビザに切り替えたと言っていたが、最近、日本に移住する富裕層は「経営管理ビザ」を取得することが多い。経営管理ビザとは、日本で貿易、その他の事業の経営、またはその管理に従事する活動のための在留資格のことだ。 経営管理ビザの取得者は、約10年前の2012年と比較して約3倍に増加し、2021年までのデータで約1万4000人にまで増加している。
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