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普天間問題契機に対米隷属巡る政界再編始動へ

2010-05-29 09:07:01 | 植草一秀氏の『知られざる真実』

普天間問題契機に対米隷属巡る政界再編始動へ
後漢書耿弇列伝に光武帝の言葉、


「有志者事竟成也」


がある。「志があれば事はいつか成就する」の意だ。


 またよく知られた西郷南州翁の言葉、


「命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ人は始末に困るものだが、この始末に困る人ならでは、艱難をともにして国家の大業を成し得られぬ」


を改めて噛みしめる必要がある。


 米国に対して「言うべきを言う」ことは、生易しいことではない。


 強い意志と覚悟が求められる。


 普天間問題は旧政権とはいえ、日本政府が米国政府と合意を成立させてしまっていた問題であるだけに、もともと、多大の困難を抱えたものだった。


 当初からこの点を極めて重視して、問題への取り組みを再検討する必要があると私は判断した。


 しかし、鳩山総理が熟慮の末に、問題の転換をやり抜く意志を決めたからには、最後までやり遂げなければならなかった。


 日本国民の総意を結集すれば、克服できない問題ではないはずだ。


 鳩山総理が発言してきたように、辺野古の海岸を埋め立てて滑走路を建設することは自然への冒涜である。


 面積の10%を米軍に占領される沖縄に、新たに日本の費用負担で巨大軍事基地を建設することは、日本の主権者の意思に反する愚行である。


沖縄県民の過酷な負担の歴史を踏まえても、日本政府はこのような合意案を米国と締結するべきではなかった。 


 旧政権が米国とこのような合意を成立させてしまったことに根本的な問題があり、鳩山総理を責めることは、この意味で適切ではない。しかし、鳩山政権が政権の命運をかける取り組みに仕立ててしまった以上、強固な志で事を成し遂げる必要があった。


 「抑止力」の視点から海兵隊拠点が沖縄に必要不可欠であるかどうかの判断は、この問題を取り上げる段階で明確にしておかなければならない基本だった。


 「抑止力」の視点から必要不可欠だと主張する人も存在しないわけではないが、専門家のなかでは少数派であると見える。


 辺野古に施設を設けるなら、最小のものを、最小の期限で設けることを検討するべきである。


 米国は滑走路が長ければ長いほど良いと考えるだろうが、必要最小限の長さは1800メートルではなく、1300メートルではないか。1300メートルであれば建設手法の選択肢は飛躍的に広がるはずだ。


 しかし、対米隷属派が米国の主張を日本政府内で押し通してしまった。


 「対米隷属からの脱却」の大きな課題は、無残に打ち砕かれた。


 しかし、これで挫けてはならない。


「志あれば事必ず成る」ことを忘れてはならない。






参院選では民主党が極めて厳しい情勢に直面することになるだろう。社民党との選挙協力が困難に直面するのではないか。


仮に参院選で民主党が大敗すれば鳩山総理の責任論が浮上するだろう。鳩山総理が辞任すれば民主党の代表選が実施されることになるが、その場合には民主党が分裂する可能性が生じる。


この結果として政界大再編に向う可能性が浮上するだろう。


民主党は対米隷属派=市場原理主義者と自主独立派=セーフティネット重視派に二分されることになる可能性が高いと思われる。小沢一郎氏に近い人々と反小沢一郎氏グループで分裂が表面化するのではないか。


連動して自民党も分裂し、ミニ政党も両派に分かれる可能性があるだろう。


対米隷属=市場原理主義 対 自主独立=セーフティネット重視


の軸で政界が二分されるとき、官僚主権構造、大資本と政治の癒着、の残る二大テーマが同時に明確に色分けされることが望ましい。


 対米隷属=市場原理主義=大資本と政治の癒着=官僚利権温存


 対


 自主独立=セーフティネット重視=大資本と政治の癒着排除=官僚利権根絶


に二分されれば、主権者国民は選択しやすい。


 しかし、対米隷属派=市場原理主義者は、官僚利権根絶の看板を掲げて「改革派」の装いをこらすために、官僚利権根絶を求める主権者が引き寄せられてしまう危険がある。


 米官業が支配する日本政治構造の根幹が何であるのかを考えなければならない。


 この問題を考察するほどに、その根幹が米国であることが鮮明に浮かび上がってくる。


 日本社会に無数とも言える数の米国代理人が存在していることにも気付かされる。マスメディアはほとんど完全に米国に支配されている。


 映画「ラストサムライ」は日本が実質的に外の勢力に占領される図式を描くが、日本の独立を守ることの困難さを認識しなければならない。


 米国の強大な力を冷静に見つめ、その存在に一定の価値を認めつつ、しかし、米国の言いなりになるのではなく、日本の独立と尊厳を守り抜くことが必要なのだ。


正当な根拠を持ち、正当な手続きを踏めば、しっかりと日本の意思を貫くことができる。すべてを米国に支配される状況を打破することが、敗戦後65年を経たいま、求められている。


普天間問題で筋を通すことは大切だが、この問題がクローズアップされたことを契機に、日本政治の基本構造を再検証し、その刷新を成し遂げることが何よりも大事である。



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