Entrance for Studies in Finance

伊藤邦雄編著『企業価値を経営する』東洋経済, 1999

伊藤邦雄編著『企業価値を経営する』東洋経済, 1999

国を超えた競争・・・国を超えるM&Aが頻発・・・いきおい資本主義のタイプの違いは打ち消され、資本主義の本質的・普遍的なコアな部分が露出し、拡大してゆく 

あなたの会社の利益率・・・日本企業のミドルマネージャーの9割以上・・・売上高利益率と答える・・・シェア至上主義の行動パターン・・・バランスイシートの視点の欠如・・・日米の企業のROE格差の一因

(1990年代に入ってからのレバレッジの低下をエクイティファイナンスの結果だという伊藤氏の説明には違和感あり) 

(伊藤氏は増大した株主資本のコストを日本企業は経営に反映させなかったと指摘する)

1994年に自社株の消却が解禁されたことは大きい

(自己資本という言い方は会社に帰属する資本をいう捉え方だと批判する)

(期待されるリターン・・・機会費用が資本コストなのであると続ける)

(会計上の利益であるROEには、会計政策の影響がある、資本コストを控除していない、比率指標である、などの問題がるとして、資本コストを考慮に入れることを主張する。その方向は2つあり、将来のFCFを資本コストで割り引いた現在価値をもって企業評価とする手法、そして、NOPATから加重平均コストを差し引いて求めるEVAの2つだとしている。)

(なおエクイティスプレッドequity spreadという指標がある。これは自己資本利益率ROEー資本コスト というもの。この数値も資本コストとの対比で資本効率を見ている。日本ではPBR(p/b)の低さが問題になる。簿価と株価の対比だが、PBR=(p/r)×(R/bq)=PER×ROE でもあり PBRの低さはROEの低さでもある。PBRの1からのかい離については、非財務情報の影響の大きさという解釈もあるが、ROEが資本コスト対比で乖離することの反映という解釈もある。ROEが資本コストを下回るとPBRは1を割るというのである)

(なお株価収益率のが逆数を益回りという。1株当たり利益割る株価である。この益回りと長期利回り、つまり国債利回りとの差がイールドスプレッドyield spreadである。このイールドスプレッドについては、以下を参照。株券の割安、割高について

 

このように資本コストを考慮に入れた場合、資本コストの引き下げという財務上の課題が視野に入ってくる。借入金利引き下げ 債務の拡大 株主資本の縮小。

さまざまなグループガバナンスがありうる

大規模組織  ➡ 様々な非効率 収穫逓減 コスト 効率 スピードの低下 官僚制 大企業病  ➡ 官僚制の罠buraeucratic trap 

規模の不経済 ➡ 分社化 カンパニー制 権限の付与 ⇔ グル―プ(全体制)がバラバラ 脆弱化のリスク   ➡ 混沌性の罠chaotic trap

こかれからは直接金融 株主もモノをいう株主に次第に変わってゆく 各事業部門の収益性を測る上で、資本コストの導入は避けられない さもないその事業のがんばりがわからず経営者の責任もはっきりしない

まず株主価値重視の経営を基本とし、そのうえで何が問題かをかんがえてみることである(さまざまなステークホルダーの違うベクトルをばらばらんみても整合性がとれない)

会計制度の違いがあるのでROEは国際比較では使いにくい

資本コストを用いた企業評価方法にはEVA、そしてFCFを資本コストで割り引く割引現在価値法DCF法とがある

(資本コストのとらえ方としては CAPMがあるが、もう一つの現れ方としては、配当と株式値上がり益でとらえられる総合利回りがある。この総合利回りは、実際に株主が受け取れた利回りだといえる。株価指数が長年にわたってあがっていないとすると、株主が受け取れたのは、配当利回りだけ。日本の株式市場から、外国人投資家が離散するのは、当然だとの意見がある。2016年12月で計算してみる 東証一部の単純配当利回りは1.68% 単純平均株価は2744.44円 2015年12月の単純平均株価は3088.77円だから1年間では11.15%の値下がり総合利回りはマイナス9.47%だ。これは日本人投資家にとってはその通り。しかし円ドル相場をみると2016年12月は107.6277円 2015年12月は122.5329円。つまりドル評価では2015年12月25.2077ドル 2016年12月28.6987ドル。13.85%の上昇である。つまり円高効果で日本株式という円資産は、円で見た株価が下がっていても十分に利益が出ていることがわかる。つまり外国人投資家からみた収益はこの円ドル換算をしたうえでなければ即断できないところである)



 

 

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