Entrance for Studies in Finance

リスクのコントロールとファイナンス

概論 CFM論とFCF論では主張は正反対 どちらが正しい仮説か
企業金融をどう理解するか。リスクをどのようにコントロールするかという観点から、企業金融を整理することが可能ではないか。企業が外部金融に依存せず内部金融で日常的な資金調達は済ませるように変化して、企業金融の中心的役割はリスクへの対応に変化しているのではないか。
近年、フリーキャッシュフローに関する議論はゆれている。近年のcash flow management(CFM)の考え方をみると、free cash flowを最大化し、新規投資をこのfree cash flowの範囲にとどめることで、外部資金に依存しないことが理想として語られている。これはこれまで主流だったFCF仮説(企業に対して、有効な投資先がなく過剰なFCFを自社株取得や増配で株主に返すことを求める考え方)という学説的命題と衝突する主張となっている。
 CFM(日本のキャノンがモデルとされる)とFCFでは外部資金・内部資金の受け止め方が逆になっている。まず、CFMでは外部資金に依存することで安易な研究開発投資が行われているから、自己資金の範囲内で投資することで規律の回復が必要と説く。またCFMでは内部資金は大事なもので、その使い方を経営者は真剣に考えるとする。これに対してFCFでは経営者は内部資金を安易に使い勝ちだと考える。経営者がどのように行動するかについても、想定がかなり違っている(参照 新原浩朗『日本の優秀企業研究』日本経済新聞社, 2003年, pp,192-195, 298-200)。

 仮にFCFではなくてCFMが経営のあり方として正しいとすると、外部資金調達の必要性は、まさに想定していなかったほどのCFが必要な事態(あるいはリスク)が表面化したときに現れるのではないか。
 これまでの企業金融論ではFCF不足を常態として、外部資金の日常的依存を前提としてさまざまな議論が組まれていたのではないか。成熟した資本主義国家において、企業は本来日常的には外部資金への依存を必要としていないというのがここでの思考の枠組みである。
最近、リスクファイナンスの議論が盛んであるが、これはファイナンスの役割が、経営上の様々なリスクへの対応に移行していることをあらわしているのではないか。
 従来、金融といえば、資金をどのように調達するか、あるいは余裕資金をどのように運用するかといった問題であった。確かにそうした問題は今日もあるわけだが、内部資金の範囲で投資を行うということが原則なら、資金調達の問題はなくなるわけではないが、企業経営の問題として比重は小さい。残るのが、経営上の様々なリスクに対応するお話。つまリスクファイナンスになる。
 昔から指摘されてきたことだが、研究開発投資など直接収益の改善に直結しない項目は、従来のファイナンス論では、どうしても付随的で節約の対象になりがちであった。しかし経営上のリスク、現在保有している商品・サービスへの需要が減少・衰退するリスクという視点を頭に置ければ、研究開発投資はリスク管理という視点からも重要だという視点がでてくる。
 ここでは企業が抱えるリスクを最小化するという視点をまず問題にする。それは結果としてその企業の資金調達コストを下げ最小化し、その企業の価値を最大化することになろう。ただこのようにリスクの役割を中心に置いた財務管理論は従来の財務管理論とは大きくかわってくる。
背景には、「内部統制ルールの導入」によりリスクマネジメントが普及強化された側面がある。
 なおすでにリスクマネジメントのところで、信用リスク、市場リスク、オペレーショナルリスクなどのリスクの分類と、リスクの管理手法(保険、自家保険など)については議論している。

 必要なリスク管理
   いかにリスクそのものを減らすか
   リスクは発生時の対応 
 発生確率 発生した場合の被害額
   確率は高いが被害額は小さい 利益の積立から減損処理
   確率は低いが被害額は大きい 保険で処理 
 金融の機能として、従来は資金調達・資金運用という側面がとらえられていた。しかし近年は金融の機能として、リスクへの対応ということが重視されるようになった。

 需給の変動
 需要予測精度の向上。見込み生産(計画生産)から受注生産へ。
 
1.資金のリスク管理
 取引をして行く中で発生する債権の管理は、リスク管理の大きなテーマである。信用取引開始にあたっての信用調査、回収遅延時の督促などの対応が一般に議論される中身である。この場合のリスクは信用リスクであって、金融機関同様に事業会社にあっても信用リスクの管理が重要であることが浮かびあがる。
 
2.資金へのコントロール能力controllability
 外部資金への依存をへらしてゆくか。そのために企業はいかに努力しているか。まずは高い利益を上げて内部留保を積み上げ、外部資金に依存しないで経営できる状態を理想形として置いてみる。そこにいかにして近付くか。
 というのは外部資金に依存している間は、その資金コストの変化や、調達可能性の変化というリスクに経営は常にさらされる。
 運転資金を節約するさまざまな技術、あるいは資産から資金を生み出す様々な技術は、資金についての外部制約を減らす意味がある。在庫の管理圧縮は、在庫自体の圧縮であるとともに、運転資金の圧縮(在庫スペースの圧縮 保管コスト・運送コストの圧縮)につながることは従来から議論されてきた。
 最近の注目はCMSや資産証券化である。これらは資金の内製化として注目されている。
 CMS:大手企業はグループ内で必要な通貨資金をやりとりするようになった。グループ内の余剰資金を集めることで、グループ外からの借り入れを減らすということである。

融資枠契約commitment line コミラインは、融資枠の極度額の限度内で、金銭消費貸借を成立させる権利を付与されたことに対して、顧客が手数料を支払うことを約束した契約で、この手数料はオプション代のよう理解できる。借入ごとに審査がいらないので企業にすればリスク対策になる。機動的な短期資金の借り入れに適切。2007年3月末で26兆3290億円 約1万社強 前年同月比10.5%増(日銀調べ)。
 借入にあたり審査がいらないという点で当座貸越と似ている。申込手続が必要、返済期限があるといった点で当座貸越と差異がある。顧客は融資枠極度額(あるい極度額の空き枠)に対して手数料支払い義務があるが、金利は当座貸越より低い(参照 階猛・渡邊雅之『銀行の法律知識 第2版』2009年, p.128)。
金融機関はコミットメントフィーを融資枠の利用実績にかかわりなく受け取ることができる(当座貸越契約は利用実績に応じて利息を受け取るのみ)。企業とすれば、資金が必要になるたびに借入手続を経る手間が省け、・・・資金繰りが安定する。ただし特定融資枠契約に関する法律(1999平成11)で手数料は利息制限法の適用除外となった。ただしその対象は大会社や資本金3億円以上の株式会社等に限定されている。金融機関としては、対象企業は信用格付けが上位であり、原則として資本金が3億円以上の無担保融資に耐えられる企業に絞られる。高橋俊樹『融資の常識2版』きんざい, 2011, pp.100-101.

 なお以下も参照。企業買収資金の調達について

資産証券化:資産を証券化して現金化することは、そのコストの問題を置くと、企業にとっては資金調達の可能性を広げる意味がある。資産を切り離して証券化することは資産を圧縮して、資産利益率を改善を狙うことができる。あるいは新たな事業展開で本来負債が膨らむはずが、負債を増やさずに資金調達ができる。
 CMSに比べて証券化は、外部の投資家に依存している点で、内製化は不十分かもしれない。しかし証券化の技術をみると、従来、外部の投資家をひきつけなかったものをひきつけるようになった。そこが注目される。

 しかし証券化によって、従来は売却できなかったものが売却可能になるのはなぜだろうか。プーリングによる資産の集合により債権のリスクを大数の法則でつかめるものになる。本来の所有者から資産のキャッシュフローを切り離すオフバランスが実施される。純粋に対象資産を抜き出す技術=「倒産隔離」がなされている。さらに信用補完*、支払方法などでキャッシュフローの流れを組み替えて行く。
 *たとえば優先劣後構造(senior-subordinated structure)が使われる。通常、債権は債権者間は平等である。残った資産を債権者は債権額に応じて分け合うことが普通である。これをプロラタ(ラテン語で同じ割合という意味)方式とか、あるいはプロラタパリパス(パリパスはラテン語で等しい足並みという意味)という。返済順位が同位ということである。これに対して優先するものをシニア(senior)といい劣後するものをsubodinatedという。シニアより順位は落ちるがsubordinatedほどではないものは、メザニン(mezzanine中二階)と呼ばれる。優先劣後構造を使うということは、支払に優先順位付けを付けることで、優先順位の高い債券を作り出す意味がある。

 企業が資産を売却するスキームの場合、それは資産証券化商品を機関投資家に売ることで資金を調達し、それで負債を削減できれば財務構造の立て直しにもなる。
中小企業が売掛債権を流動化することで資金を入手できるスキームの場合、これまでの仕方では入手困難な資金が入手できたなら、これは資金調達の可能性を広げたことになる。
 証券化商品はどのような資産が対象になっているかで名称が異なっている。住宅ローン担保証券RMBS 商業用不動産ローン担保証券CMBS 社債やローンを集めた債務担保証券CDO ローン担保証券CLO リース料など金銭債権を担保にした資産担保証券ABS さらに最近では「事業の証券化」という手法も注目されている。
 ABS 364銘柄残高1兆5461億円(2003年3月末)
 ABCP 64件 発行枠20兆2394億円(実際の発行額は5兆円程度 ともに2003年3月末現在 03年内に発行残高6兆円超す 銀行はリスク資産かかえずに資金需要にこたえられる)2005年度は約9兆円。RMBSが5兆円超え。普通社債6兆9000億円。社債米国は1兆1500億ドル。06年度の発行額は05年度より18%増の10兆7000億円。RMBSが5兆円超え。CMBSが1兆7000億円。ボーダフォンやUSENの事業証券化。普通社債は7兆円弱。米国は1兆2231億ドル
 資産担保証券 買い手は生命保険など一部大手証券にかたより流動性は乏しい
 事例 2004/01 泉ガ-デンタワーの証券化 オフィス部分 740億円 2002年10月オープン時は空き室あり その後稼働率9割以上 この時点でオフィスビル証券化国内最大規模 住友不動産設立のSPCの借入資金の返済
 2005年度 品川三菱ビルの証券化(1250億円)
 1993年特定債権法(リース クレジットなどABS) 1998年SPC法施行(最低資本金 取締役 対象として不動産加えMBS可能に 不動産取得税・登録免許税軽減など) 2000年に証券化できる対象資産拡大
 資産担保融資を三井住友銀行が始めた 売掛金 貸付債権など営業資産を担保とするもの 営業資産を評価して一定額を差し引いて融資上限額を決める。融資と証券化の中間的手法。A04/05/07

3.リスクマネンジメントについてはデリバティブなどの代替的金融手段の活用がつぎの注目点である。

 企業戦略による対応もある 例 商品価格の変動に対して
 原材料価格の変動 先物を利用してリスクヘッジする。水平に拡大して価格交渉力を高める。素材生産部門を買収する(垂直的統合)。より単価の低い材料にシフトする

 資金コストの変動など市場価格の変動への対応
 金利の変化
   金利が上昇する 長期固定に乗り換える 長期固定を増やす
           市場金利連動型減らす
           借入そのものを減らす
           投資を自己資金の範囲にとどめる  
   金利が低下する 短期流動に乗り換える 短期流動を増やす
           市場金利連動型増やす
 例 為替の変動
 為替リスク回避手段 為替予約(リスクは回避できるが差益は得られない) 通貨オプション(為替波乱の局面では費用が高くなる)
 3ケ月から半年程度の実需の半分程度を為替予約する(TDK)。
 原則として輸出の半分は3-6ケ月先まで予約している(トヨタ自動車)。
 想定レート(予想の範囲で円高の進んだレート)。そこまでであれば収益に大きな影響はでない(対応が取れている)。
 輸入企業はドルで支払う。円安が進行するときは先物の円売り・ドル買い予約を入れて支払額を確定しようとする。長期予約を入れることで円安が加速される。
 円相場が下落が進行すると予約が解消する・・といった契約
 輸出企業はドルで受け取る。まだ円安が進行するとみればあわてない。しかし円高にて変わる不安があればその前にドル代金を円にする。将来の円高を心配するときは円安のうちに為替予約(先物をドル売り円買い)をいれる。予約を入れれば円での受取額は確定する。この動きにより円相場は固くなる。

 キャプティブ:企業自らが設立する、自らの保険リスクを再保険するための子会社をいう。
 代替的リスク移転(ART:alternative risk transfer):地震・気候の変化など新しいリスク、デリバテイブやキャプテイブなど新しい手法、機関投資家など新しいリスク引受先のいずれかの要素をふくむもの

 温暖化をはじめ異常気象が指摘されるなか、金融商品として天候デリバティブが企業から関心をもたれている。これは温度の上昇・下降とか、降雨量とかあらかじめ定めた事象が発生すると、が支払われる商品。
 天候デリバティブ:一定の事象で支払い 損害の有無とは無関係
 金融機関はこの環境問題にどう取り組もうとしているのか。
 環境問題に配慮した経営を行っている企業に対して、優遇金利を提供する動きがある。エクエーター原則:融資先の事業がきちんと環境に配慮しているかを点検する。世界の主要銀行がすでに採用。日本では2006年初めに三井住友銀行が採用。また、みずほとオリコは環境に配慮した企業に融資利率を引き下げる取り組み始める。みずほ銀のチェックリストに企業が回答することが条件で今後の努力目標をだせば、両社提携無担保ローン金利を通常の2-3%から1台半ば-2%台前半に引き下げる。(N05/12/20)
 なお温暖化がとまらないと2030年頃までに1度程度平均気温が上昇するとされる。熱帯夜の増加。洪水。暴風雨による損害拡大。欧州やオーストラリアで干ばつが懸念される。2050年頃までにサンゴは死滅。熱波や干ばつによる死者が増加。3割ほどの種の消滅するとされる。コストの高い風力発電、太陽光発電へのシフト、電気自動車への移行は不可避だとされ。科学者はCO2排出量の抑制ではなく削減が必要で、化石燃料からの脱却が必要だとしている。

4.想定外の事態に備える
 すでにみたように、この対応は内部統制ルールの法定義務化により促される側面がある。

 事業継続計画business continuity planning:BCPの作成 
これには、工場オフィスの耐震化、代替施設の確保、情報システムのバックアップ、社員の避難ルートや安否確認方法などの確認と表示。また災害時の中核事業の継続・早期復旧、人員・生産設備の代替手段確保などの項目がある。
 大地震のときの通信障害については、自家発電装置。予備拠点の設置 ビルを借り切り基本業務を継続させるなどの対応をしている企業もある。野村證券、日興シティG証券、モルガンスタンレーなど。N03/08/23 ゆうちょ銀行は最悪の場合に備えて人力処理の訓練も行ったとされる。07/09/13
 内閣府や経済産業省ではBCP策定指針公表。東京海上日動火災などが支援コンサルタント業務を行っている。もともとは2001年米同時テロを契機に注目されるようになった。
 この問題への金融機関の対応。BCP関連費用にBCP策定済みが今後策定予定を条件に金利優遇(京都銀行 2007/01-)。日本政策投資銀行―三菱UFJ信託―日興シティ(震災時発動型融資予約 2006/10-)。防災格付け融資制度で防災対策費用融資で優遇(日本政策投資銀行)。商工中金(防災対策に10年固定金利融資 2005-)。N07/04/02。
 つまりこのような天災については、耐震建築にするなど被害を小さくすること(そのための支出)と実際に天災が発生したときの資金の確保の2つの面で金融の役割がある。
 地震保険:保険料が高い。被害の補てん機能はある。しかし保険金査定に時間がかかり運転資金として当てにするには不安。
 なおCATボンドというものがある。これは災害発生時に受取額減額される債券で災害発生のリスクを保険会社が資本市場に転嫁する仕組みである。リスクを請け負う保険会社が発行している。
 なお2007年8月の新潟県中越沖地震でリケン(エンジン部品ピストンリングのシェア50% 計13万台の減産)の被災に際し自動車メーカ-12社を含む取引先30社以上と延べ1万人以上の支援を行ったことは、事業継続支援の企業間協力のモデルとして注目されている。

予定していなかった事態や判断に備える。金融の役割として従来考えられていたのは、以下に述べるような想定外の事態に対応して、必要となる資金をどのように調達するかという問題設定であった。こうした問題での対応は確かに企業の財務セクションの直接の問題ではない。しかし対応の仕方によっては、財務セクションが用意する資金量は全く異なった大きさになるだろう。
 つまりさまざまなビジネスリスクの問題への対応について、財務セクションはどのような対応が結果として企業のリスクを最小化するかという観点で発言する重要な役割を社内で担っているといえる。そしてそのとき様々な選択肢のコストを示すとともに、コンプライアンス=法律や社会的規範を重視した対応が最終的にはリスクを最小化するということを主張し続けることが財務セクションの役割だといえる。

 買収案件あるいは敵対的買収者の登場 戦争・天災・地震・風水害・火災・交通事故など。労働争議(ストライキ)。製品事故の発生、風評被害など。
 敵対的企業買収については、企業買収防衛策の策定などが、対応の一つになる。リスクへの対応の中で、金融的な方法は、対応のあくまで一つである。

 ネット取引における通信障害は、影響が大きいので避けるべきだが、このようなシステム部分を社内のカルチャーが違うなどの理由でアウトソース化しているとそこが社内でブラックボックスになり、実際の障害発生時に対応が遅れる。システム部分のアウトソース化とリスク管理には背反関係がある。このようなシステム系のアウトソース化には限界があり、障害発生率や復旧許容時間など品質管理目標をきめ改善をすすめるべきだ。なおこの限界をどうとらえるかの判断は、システム部分がその企業にとってどの程度コア業務であるかによっても分かれるところだ。
 みずほGは、2002年春の統合時に大規模システム障害を起こした。リストラのため行内で優秀なシステムエンジニアを育てる余裕がなかったことが一因とされ、コスト削減がシステム障害につながった事例。
 楽天証券は、通信障害の頻発に2度にわたり金融庁から業務改善命令を受けた。2度連続で受けた点が異例で、事業拡大にもかかわらず、あまりに少ないシステム担当者(わずかに30名)で行っている無理が、障害の頻発につながっているとされる。これもコスト削減が障害につながった。
 NTT東西では2007年5月23日に217万世帯に影響するIP電話障害を起こした。サーバのハードデイスクに書くコマンドを大文字で書くべきところ小文字で書いたためとされる。全日空では2007年5月27日に空前の大規模障害で130便が欠航、7万人に影響した。その原因はメモリー部品一つの故障。これは小さなミスが大きな結果を招いた事例といえる。

 製品事故 例
 2005/01 松下電器製のFF式(forced flue)石油温風暖房機 でCO2 中毒で死者 2005/04/21 松下は無償修理を決定 2005/11/21 長野で死亡事故 2005/11/29 経済産業省が回収命令 200512/02 再修理品で中毒事故 背景 古い製品(1985/10-1992/01製作)だが継続使用。松下側は要因の複合を想定し事故の再発を低く想定。全社的対応遅れる。しかし原因は吸排気管の材質と判明。全社対応に切り換える。
 2006/02 パロマ製 東京ガスへのOEM供給 ガス瞬間湯沸かし器で不完全燃焼 死者 不正改造が原因とのメーカー側主張に遺族が納得せず申し立て 調査の結果1985年以来 27件の事故20人の死者わかる 2006/08/26 経済産業省が回収命令 その後2007年2月7日にはリンナイ製でも事故 リンナイでも過去に死者を出す事故を出していることが判明
 2006/03 アイリスオーヤマ製シュレッダーで2歳女児の指欠損事故(静岡市 指9本) 2006/07 カール事務機シュレッダーで2歳男児の指欠損事故 調査の結果 過去から事故が多発 大人のケースも判明 背景:過去の事故情報が業界で共有されず
 2006/06/03 シンドラー社製エレベーターで圧死事故 メーカーと独立系保守点検業者との間の利害対立も背景とされる。ドイツ製品の事故をめぐって
 製品事故については、重大事故発生時には事実を公表し拡大防止措置をとることが必要とされる。すなわち情報の周知と、積極的な対応(製品回収・無償修理)など。あらかじめ対応マニュアルの作成も必要。同一製品については他社製品の事故についても自社製品にも生じうる事故と認識して対応(製品回収・無償修理)が必要。

リスクマネジメントの基礎

Written by Hiroshi Fukumitsu. You may not copy, reproduce or post without obtaining the prior consent of the author. Hiroshi Fukumitsu is a professor of financial management at Seijo University, Tokyo.
originally written in Feb.17, 2008.
corrected and reposted in Dec.14, 2009 and February 7, 2012.

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