グリーンピース、仏原発への侵入に成功
ストレステストに合格した原発の安全性は?
グリーンピースによる追加の「無料ストレステスト」/ルモンド紙(12月5日)
「原発の安全は、完全な独裁警察国家でなければ守れない」
フランスのグリーンピースによる原発内部への侵入成功は、原発の脆弱性とともに、その「安全性」の確保が独裁や暴力をもってしてしかなされない矛盾をも示しているように見えます。
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12月5日の朝、仏グリーンピースの活動家たちはノジャンシュールセーヌ原発への侵入、フランスの原発が外部からの侵入に脆弱であることを証明した。活動家たちはこの日、原発の丸い屋根によじ上り「安全な原子力など存在しない」という大弾幕をかかげて見せた。
フランス国家警察の特別部隊(注)が設置した監視カメラは、柵を乗り越えて侵入してきた活動家たちをとらえていたが、平和的な反原発活動家であると分かったので過度な暴力を使用せず職務質問をするにとどめることにしたのだと思われる。
クロード・ゲアン内務省大臣はこの日の夕刻、原発周辺の安全設備の改善を宣言しつつこう述べた。
「(グリーンピースによる行動で)我々が設置した安全装置の無能さが歴然となった。安全体制が今日ある状態より堅固になるよう、今回の件から全ての教訓を引き出さなければならない。」
福島原発事故が起きた翌日にフランス政府とEU政府がフランスの原発に課したストレステスト(追加の安全性評価)の結果について、フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)は既にノジャンシュールセーヌ原発を含むフランス国内の58箇所全ての原発について安全かつ合格である旨の報告書を政府に提出している。
しかしこの「テスト」には、地震などの大規模な自然災害、冷却装置の大きな故障、人為的ミスによる事故といったものしか想定しておらず、悪意ある人物による破壊行為やサイバー攻撃、飛行機の墜落やテロリストによる破壊行為は含まれていない。グリーンピースは、IRSNの報告書が過去に見つかった問題点や福島で起きている問題から十分な教訓を引き出してないと指摘している。
EUは5月に27カ国の加盟国が合同ストレステストの内容に合意した際には、(原発を推進する)フランスやイギリスが最小限の項目についてテストを行うことを主張し、安全性の基準を増やすことを提案したドイツやオーストリアを振り切って主張を通すことに成功した。緑の党の関係者たちは、今回のストレステストが重要なリスク要因を審査の対象としていないことから、「原発という選択を正当化するためのアリバイ作りだ」と指摘してストレテストの結果受け入れを拒否している。
(注)2001年9月11日にニューヨークで起きたテロを受け、フランス国内では2009年以来18基の原発に国家警察の特別部隊が配置されている。しかし安全体制は万全とは言いがたい。フランス国内には現在58基の原発がある。国家警察によれば、外部からの攻撃の際には2時間以内に30人程の警護隊が現地にかけつけることになっていると言う。
(要約、一部編集)
(Louis Imbert, « A Nogent, Greenpeace remet en question les « stress-tests » nucléaires », Le Monde, 2011.12.05)
http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2011/12/125-1afd.html
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動画:http://www.greenpeace.org/france/fr/campagnes/nucleaire/Nucleaire--au-coeur-du-reacteur--liveblog/