原作名:オリジナル
作者:月野安積
終更新日:2012年3月13日 2013年2月5日
評価:C
サイト:小説家になろう
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[あらすじ]
帰宅途中、謎の穴に落ちてしまった社会人。なぜかそこは異世界で、身体はドラゴンになっていた。
食料を求めて穴を出、発見した遭難者と、いつの間にか身に着けていた人化の術。遭難者を村に運び、そのままその村で普通に生活を開始。
村の生活に馴染んだ頃、大事なお客の迎えに送り出されれば、いきなり向けられる剣。
この国の王族でした。確かに大事な客。
そして王族の持ってきた頼みは、間もなく孵化する竜の卵の面倒を見る事。
竜と契約し従えたい王族と、関わりたくない主人公、孵化の間近に迫った卵が、雪に閉ざされた寒村で一冬を迎える。
そこで起きるのは抗争か喜劇か悲劇か。
[文章]
主人公の一人称。番外編で三人称、別話で他者視点の一人称あり。誤字脱字は少なく、一人称の話は読み易いのだけれど、三人称の番外編は読み難い。目線があちこちに移動し、主語が誰のものなのかが分からない。
[総評]
『俺、竜!』がタイトルを変更したもの。第一章が終わったので再評価。
異世界転生物。出だしのテンションにやや抵抗感を覚えた。シリアスなのか、滑ったギャグを連発するコメディなのか、読み取れないため。
シリアス傾向にあると分かると、今度は主人公のぐるぐる回る悩みが鼻に付き始めた。葛藤描写はもう少し薄口が好みだったかも。良く言えば、モラトリアムに苦しむ主人公を良く書けている。悪く言えば、状況に流されるだけで主体性に欠ける主人公が、内心で愚痴を垂れ流しているだけ。人とは契約しないと言いながら、人を乗せる飛行訓練には同意するなど、言動がちぐはぐなのも、悪い方の印象を強調している。
以前の短評で、人化しては人外設定が台無しと書いたが、人と竜の姿を取れるからモラトリアムを起こす原因となっているので、死に設定ではない点には好感が持てた。この部分は訂正する。
第一章の最後で主人公は旅立ち、次章からは大きな街に場面は移る模様。何やらギルドに登録して仕事を斡旋してもらうとかで、『小説家になろう』クオリティのランク制度採用のなんちゃって冒険者ギルドでないのを期待するばかり。