goo blog サービス終了のお知らせ 

彷徨者のネット小説レビュー

ネット小説サイト「Arcadia」や「ハーメルン」をメインに、あちこちで見かけたネット小説をレビューするブログです。

ようこそ

 このブログの管理人、彷徨人です。名前の通り、あちこちのサイトをさ迷っています。ネット小説に限れば『Arcadia』と『小説家になろう』がメインになります。
 初めての人は、まずこちらを一読下さい。→はじめに
 これまでレビューした作品のリストです。→五十音順リスト

異世界食堂

2013-01-25 18:00:00 | オリジナル作品

原作名:オリジナル
作者:犬派店主
終更新日:2013年1月22日
評価:C
サイト:小説家になろう
    http://ncode.syosetu.com/n1701bm/

[あらすじ]
 新規気鋭のトレジャーハンターのサラは、ひょんな偶然から入手したある富豪の日記を頼りに、人の立ち寄らぬ廃鉱へと足を踏み入れていた。往年、その富豪が邸宅のある王都を離れ、人里離れた廃鉱に移り住んだ謎を解くために。
 キーワードは週に一度の『ドヨウの日』。
 そして今日は『ドヨウの日』。
 廃鉱の奥、隠し扉に隠された通路のさらに先。サラの目の前には、前日にはなかった木製のドアが。
 意を決してドアを開けてみれば、見た事もない装飾を施された店……料理屋だった。
 週に一度、地球と異世界を繋ぐ魔法のドアを通じ、異世界から常連客の訪れる個人経営のレストランの話。

[文章]
 三人称。誤字脱字は少なめ。時々前後の繋がりがおかしく感じる箇所があるのを除けば、全体的には癖がなく読み易い。一話平均約5千6百文字と手頃な長さなのだけれど、もう少し長くしても良い印象を持った。

[総評]
 異世界トリップ物。各話の主人公の異世界人が地球の洋食屋に来て、食事をして、帰って行く話。
 各話のメインとなる人物達が、それぞれにユニークなのが読んでいて楽しい。絶賛売出し中のトレジャーハンターに、放浪の侍、王国の騎士、etc。ストーリーも食べてさようなら、ではなく、店に来るまでの簡単ないきさつ、出てからのエピローグもしっかり書かれていて、尻切れトンボな感じはしない。勿論、話の中心となるのは料理を食べるシーンで、それぞれの嗜好へのこだわりが丁寧に描写されているのが、見どころの一つ。実においしそうに食べている。メインではない端役のキャラ達も良い色を出している。
 出てくる料理は珍しいものではない。ちょっと大きめのオフィス街でなら、普通に昼食で頼める物ばかり。しかし異世界人達の目からすれば、氷水の入ったガラスのコップすら珍しく、出てくる料理は見た事も聞いた事もない調理法のもの。見て驚き、食べて驚き、週に一度の『ドヨウの日』を待ち侘びる常連へと化していく。
 今のところ5話。仕込みをようやく終えたところ、だろうか。作者氏がこの作品をおいしく料理してくれると期待している。


風呂場女神

2013-01-21 18:00:00 | オリジナル作品

原作名:オリジナル
作者:小声早田
終更新日:2012年12月27日
評価:C
サイト:小説家になろう
    http://ncode.syosetu.com/n7285bi/

[あらすじ]
 今日一日の仕事の疲れを、大好きな風呂に浸かって癒していた会社員(女)。
 と、突如、ガラリと大きく開けられた窓。そこには頭の天辺からつま先まで、青い衣装を纏った妙齢の男が。窓から吹き込むは砂塵混じりの熱い風。
「水を一杯くれないか」
 真剣な口調で語る男の視線は、女体の浸かっているお湯に固定され。
 のぞきか痴漢か、はたまた特殊な性癖持ちの変態か。それでも追い払わなかった主人公はわりかし呑気者?
 それが、浴室が異世界につながってしまった主人公の、異世界とのファーストコンタクトだった。

[文章]
 三人称。誤字脱字の類は気が付かない程度で読み易い。一話辺り6千文字近い文量も、程良い手頃感。

[総評]
 異世界トリップ物。ただし主人公は浴室から異世界には出ないし、脱衣所の方は元の世界。窓だけが異世界と繋がっている設定。また、異世界の物品も浴室の外に出ると消えてしまうので、そこから出す事のできない制限がある。
 浴室の窓が異世界に繋がっていると言っても、繋がっているのは同じ世界(大陸?)なだけで、その先はランダム。規則性があるとすれば、その話で入手したアイテムが、次の話で必要になる事と、元の持ち主と受取人に何らかの接点がある点。アイテムが色々と変わっていくところに、わらしべ長者的な楽しみがある。
 全体的なストーリーは繋がっていて、さらにその中で、二話で一部の構成にもなっているのも良い。前編(?)の登場人物Aは、後編(?)の人物Bの視点では実は……。なオチが楽しい。その関係を主人公が知る事になるかどうかは、また別の話。
 浴室が異世界に繋がっているからには、主人公は大抵入浴中かその準備中。当然、裸かそれに近い恰好な訳で……R-18的な展開にならないのは、異世界人が切羽詰まった状況にあるからか、主人公の人徳によるものか……。他の可能性を考えると、主人公が不憫すぎる。
 今日も今日とて浴室の窓を開ければ、異世界人達が何やら修羅場っている現場に接近遭遇。
 はてさて、前回持ち込んだアイテムが、今回どう役立つのやら……。


姉ちゃんは中二病

2012-06-05 18:00:00 | オリジナル作品

原作名:オリジナル
作者:はぐれっち はぐれっち/藤孝剛志
終更新日:2012年5月31日 2013年12月23日
評価:C
サイト:小説家になろう
    http://ncode.syosetu.com/n2412bd/

[あらすじ]
 間もなく高校生活初日を迎える春休み最終日、人の頭の上に文字が浮かんで見えるようになった主人公。両親は『父』『母』、姉妹は『姉』『妹』、隣家のおじさんは『隣のおじさん』。
 見えても別に害になるようでもないものの、念のため一歳上の姉に相談したところ、なぜか狂喜乱舞。
 「この能力の事は他人に話してはいけない。どこかの『組織』に狙われる」
 そう警告しつつ、親に話すのは構わないらしい姉は、主人公からすれば、逆らうだけ無駄な中二病を変な方向にこじらせた変人。
 結局まともな対策を講じられないまま、高校デビューを果たそうとすれば、クラスメートの頭上に浮かぶ文字は『死者』『魔女』『偽物』『殺人鬼』に『吸血鬼』etc.と、なかなかにユニーク……否、物騒。
 そんな文字群を凝視していたら、早速『殺人鬼』に目を付けられ。高校生活は初日から前途多難。
 中二病の姉に、あれやこれやと珍妙奇妙な道具を渡され、奇天烈なマンガ技やらを仕込まれ、おかしな方向に強化されている主人公が、身内含め変人奇人に振り回され、右往左往する物語。

[文章]
 三人称。目立つ誤字脱字は少ない。「~た」「~だ」で終わる文章のテンポが悪く、読んでいて躓いてしまう印象。

[総評]
 学園物? 主人公はかなりの強キャラ、シスコンの気が強い。姉は暴走列車、「こんなこともあろうかと」と、何の役に立つのか不明な道具を自室や部室で収集し、サバイバルのためにとおかしな知識の収集に余念がない。それが意外にもお役立ち。出てくるネタはアニメや漫画なので、それなりにネタ元を知っているとニヤリとできる。
 何となく『不死王の息子』に似た世界観を感じた。あちらは人外も人権を得て生活しているので、実際は全くの別物なのだけれど、なぜか既視感を覚えてしまう。一部の登場人物が被っているからと思われる。この部分が残念。
 ヒロイン枠(?)に吸血鬼と、バトルマニアともヤンデレともつかない二人のクラスメートを加え、主人公の多難な高校生活に期待したい作品。


  


メニューをどうぞ

2012-05-13 18:00:00 | オリジナル作品

原作名:オリジナル
作者:雛
終更新日:2012年5月10日 2013年3月31日
評価:B
サイト:小説家になろう
    http://ncode.syosetu.com/n7072bd/

[あらすじ]
 父の残した多額の借金の返済に、家も保険金も僅かな貯蓄も全て失った主人公。人生どん底なところで目にしたのは、高級リゾートホテルのシェフの求人広告。
 次の職も住み家も当てがないからと申し込み、行き着いた先は異世界だった。
 この異世界のとある小国には、有史以前からの巨大迷宮が存在し、そこに潜む魔物目当ての冒険者が多く集う。ならばそれを観光事業として成り立たせようと、3年ごとに開くゲートを通じ、異世界(なぜか日本)から技術者を雇用していた次第。
 3年周期とは言え確実に往復できる異世界の高級リゾートホテルで、料理人として腕を振るう主人公の奮闘記。

[文章]
 三人称。たまに誤字。一話平均2千8百字程なので、物足りない感がある。描写の薄さが気にしなければ読める文章。

[総評]
 異世界漂着物の料理物。漂着と言っても3年間の労働契約なので、契約が切れれば元の世界に帰れる設定。しかも国家事業として、国が異世界(日本)から技術者(料理人)を招致しているので、本人は気づいていないながら国賓待遇。警護体制も万全。そんな訳で、異世界に漂着したので、身元を得るために『冒険者ギルド』に入会、というありがちな流れはない。
 タイトル通り、物語のメインは料理。食材は異世界の、それも地下迷宮で狩った魔物ばかりなので、異世界(日本)の料理人としては毎回試行錯誤の連続。やってきた当時は散々失敗作を作りまくったそうだけれど、渡来1年後の設定なので、そういう失敗は早々ない模様。失敗の話こそ読みたい心境。
 肝心の食材調達はどうしているかと言えば……経営者の第三王子が視察ついでに狩ってきたものか、ギルドを通じての購入。ここでのギルド入会には、筆記と実技試験の他、紹介状が必要という事で、身元不明の異世界人が身元確保のため、などと簡単に入れる仕組みになっていないのが好印象。勿論、料理人の主人公が、食材を得るために迷宮に潜るなんてことは……ない。
 グルメツアーは開催されるわ、住んでいた巨大な魔物が老衰で死ぬわ、そのせいで迷宮の生態系が狂うわ、何とも愉快な設定も楽しい。
 厨房を自らの城とし、虫(型の魔物)であれば容赦なく叩き潰す料理人な主人公に期待。


神様、ご褒美をください

2012-05-03 18:00:00 | オリジナル作品

原作名:オリジナル
作者:さくらちゃ
最終更新日:2012年5月2日 2014年1月27日
評価:C
サイト:小説家になろう
    http://ncode.syosetu.com/n4172ba/

[あらすじ]
 女子の出生率が原因不明の理由で著しく低下している世界。
 絡んできたゴロツキを、独学の魔術で消し去った孤児のミュー。疲れたので昼寝でもしようと横になった所へ、声をかけてくる赤髪の偉丈夫。白鷹騎士団の団長様。
 「騎士にならない?」
 なぜか騎士団への勧誘。しかも、これまで同じ手口で小悪党を消してきたのを把握されており、逃げ道なし。
 しかし騎士団に入るには貴族出でなくてはならず、孤児にそのような血縁関係のあるはずもなく。
 「なら、うちの養子になれば良い」
 あっさりと覆され、連行されるミュー。
 元孤児の主人公が貴族の家に引き取られ、騒ぎに巻き込まれたり首を突っ込んだりして、頼もしく育っていく成長物語?

[文章]
 主人公の一人称。たまに別キャラの一人称が入ってくる。誤字脱字少なめ。文章に変な癖はなく、テンポも良い方なので読み易い。

[総評]
 主人公、実は少女。加えて魔力もあるため、希少価値が高い。女の子姿だと色々と危険なので、性別を偽って路地裏生活をしていた次第。
 クロイツ公爵家に目を付けられたのは高い魔力が理由でも、そこに女性とくれば、なおさらに興味を持たれるのは必然。血縁的に王家から疎遠になりつつあるクロイツ家復権のため、本人の知らぬところで王子に売り込むための算段がつけられ、令嬢教育開始。
 貴族のドロドロ劇がメインかと思いきや、その気配はかなり希薄。クロイツ家のみならず、他の貴族や騎士達も基本お人好しばかり、良い意味で。主人公の三人の義兄もシスコン化し、『愛され系主人公』の雰囲気は漂っているものの、戦闘あり冒険ありなので気になる程でない。少なくとも主人公は自分で努力し、成果を出しての周囲の評価なので、好感が持てる。
 主人公が首を突っ込んで救出した要人絡みの事件をきっかけに、そろそろ大きな捕り物が始まる模様。シスコン三兄弟も下準備に忙殺されていたようで、どんな獲物が網にかかるのか期待。王子? ロックオンされていますよ、勿論。