彷徨者のネット小説レビュー

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不死王の息子

2012-04-13 18:00:00 | オリジナル作品

原作名:オリジナル
作者:うりぼう 日向夏
最終更新日:2012年4月10日 完結済
評価:C
サイト:小説家になろう
    http://ncode.syosetu.com/n2023bc/

[あらすじ]
 吸血鬼や獣人(ライカンスロープ)他、C級ホラーやファンタジーな妖怪・魔物・人外が人権を得、普通に社会に溶け込んでいる現代。
 主人公のいる学級崩壊気味の某小学校六年某組に、一人の少年が転校してきた。父親が不死王(ノーライフ・キング)。苛めとも不幸とも言える偶然か、校門前でトラックに轢かれてスプラッタ。しかしそこは不死王の血族。何事もなかったかのように復活。
 しかし服までは復活できず、見かねた主人公が体育着を投げ渡し……それが彼女の不遇の始まり。体育着の代金を払うからと、少年の家に招かれ、ついでに食事もご相伴に預かり。その食材が不死王の身体の一部だったから、さあ大変。主人公は不死王の眷族に。
 事故で不死身体質になった主人公が、天然スプラッタ体質な不死王のクラスメートに懐かれ、巻き込まれ、平穏な小学生とかけ離れた生活をしていく話。

[文章]
 三人称。目立つ誤字脱字はなく、癖のない文章なので読み易い。一話平均約4千2百字程度なので、2話を一本にまとめても良さそうな印象。気になる点が文字数の少なさだけと、質は高い。

[総評]
 吸血鬼やら何やらが人と混じって普通に暮らす現代物ホラーコメディー。血肉飛び散るスプラッタと、食人描写があるので、苦手な人には回避推奨。
 不死身と言っても、完全な不老不死ではない設定がなかなかに良い感じ。不死王から与えられた血肉を食せば、それは祝福となって自らも不死となり、奪った血肉を食らえば呪いとなり、食人鬼(グール)と化して常に飢餓に苛まれる。食人鬼化したモブも登場し、主人公との対比として映えている。この点も好評価。
 ただ、奪われた肉を取り返せば呪いは解けるし、不死となっても生きるのが辛くなれば、祝福を返して死ぬ事も可能。なぜ事故で不死身になってしまった主人公から、祝福を消さないのか、その辺の理由が今のところ不明瞭。不死王家族の会話から測るに、何やら色々画策しているものがある模様。
 不死王の家族だけでなく、復縁を狙う長男の元嫁の暗躍や、吸血鬼の元締めの意に従わない一派もあるようで、ただのコメディーで済みそうにないきな臭さも。長男から肉を奪った食人鬼もまだ大量に行方不明だし、こちらにも色々と動きのある気配。
 小学生編が終わり、中学生編でどんな事件が起きるのか、期待させられる。



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