2年ぐらい前でしたでしょうか、「神の目」チェーンメールっていうのが出まわりました。
NASAのHST(ハッブル宇宙望遠鏡)が撮影した天体画像とともに次のようなメッセージ内容
のメールが送られてきました。
---------------------------------------------------------------
この写真はナサの天体望遠鏡で撮影されたもので、
3000年に一度と言われている大変珍しい現象です。
これは「神の目」と呼ばれています。
この目を見つめる者には多くの奇跡が訪れるといわれており、
見るものがこれを信じる信じないは関係なく、
7つの願いが聞き届けられると言われています。
とにかく試してみて、どのような変化があるか、見てみてください。
この知らせを「そのかたの願いが叶いますように」と思いを込めて、
たくさんの方にシェアして下さい☆
自分だけで独り占めはしないこと。
今日から七日までが最も強いパワーだそうです。
---------------------------------------------------------------
"NASA" を「ナサ」とカナで表記しているところが、なんとも脱力系な感じでイイです。
さて、「神の目」として取り上げられた天体は、みずがめ座にある惑星状星雲NGC7293で、
通称 "Helix Nebula"、日本ではそのまま「ヘリックス星雲」または「らせん星雲」と
呼ばれているものです(一部サイトで「フェリクス星雲」との記述が見受けられたりしますが、
英語のスペルからしてヘリックスが正しいです。Felixじゃ黒猫キャラになっちゃいます。)
3000年に一度の珍しい現象などと言われると、ほんの一瞬しか見られない貴重な姿なのか
と考えてしまいますが、実際にはそんなことはなくて、少なくともこの天体が発見された
19世紀前半ごろから現在に至るまで、ほぼ同じ形態を維持しているようです。
日本ではみずがめ座が見やすい位置にやってくる丁度今の季節の宵、南天に浮かんでいる
姿を観望・撮影することができます。天球上の位置は「みなみのひとつぼし」として
知られるみなみのうお座の1等星フォーマルハウトの北西約10度(腕をいっぱいに伸ばして
見る握りこぶしの横幅に相当)のところにあり、空の暗い所であれば小型双眼鏡でも
淡い光芒として見つけ出せます。ただ、暗めの天体なので、残念ながら写真のような
イメージには見えません。
(Astroarts ステラナビゲータで作成した天体位置ガイドマップ)
ということで、眼視観望よりも写真撮影向きの天体と言えそうです。
で、fornax8が過去に撮影した写真がこちら(↓)
【NGC7293】
キヤノンEOS Kiss Digital X + 口径18cm写真撮影用反射望遠鏡
ISO800 F2.8 総露出時間48分(6分×8コマ加算合成)
[静岡県伊豆天城高原にて2008年8月撮影]
※画像をクリックすると、大きい画像が別ウィンドウで開きます。
HSTによる高解像度画像と比べれば遥かにショボイですが、一応リング形状をした姿が
ハッキリとわかります。白黒化すると目というよりタバコの煙で作った環という感じ。
リングの見かけ上の直径は満月の半分ほどといいますから、かなり大きい星雲です。
外周部分の赤色は主に水素ガスが、中心部分の青緑色は主に酸素がそれぞれ発している
とみられ、元素の量的な分布状態を反映した独特の色合いになってます。
目を凝らして環の中心部を見ると、ど真ん中に暗い星が写っているのがわかります。
その星が末期を迎えて放出したガスが広がっていき、この星雲が形成されたのでしょう。
この惑星状星雲は地球から見てたまたま正面向きだったので環のように見えていますが、
横向きだったら以前に紹介した「亜鈴星雲」のような姿をしていたと思われます。
ところで、実際に画像を見つめてご利益のあった方はいらっしゃいますでしょうか?
fornax8はHSTの撮影画像はもちろん、実際の夜空で生の姿も拝みながらBIGで1等が当選
するよう願掛けしてますが、未だに叶ってません。