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 7/16未明~明け方 天王星と火星が大接近

期待の紫金山・アトラス彗星を撮ってみた(2024/02/13)

2024-02-17 12:06:11 | ほうき星

昨年の1月に発見され、今年の秋に肉眼で見える明るさになると期待されている紫金山・アトラス彗星が
自分の撮影機材で捉えられるレベルの光度になってきたようなので、13日の明け方に狙ってみました。


【紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)2/13】
 キヤノンEOS Ra+タカハシε-180EDC,F2.8,ISO1600,STARRY NIGHTフィルター,1.6倍クロップ,
 総露出時間30分(3分×10コマ,加算メトカーフコンポジット),タカハシEM-200Temma2M赤道儀,
 口径25mmガイド鏡にて恒星オートガイド,等倍トリミング,静岡県東伊豆町にて

中央で右斜め上に僅かに尾が伸びたイメージの星がターゲットの彗星です。まだ遠方にいるのでショボイ姿だなぁ。
この日の予報光度は約13等でしたので、1等星の約63100分の1という暗さです。と言ってもピンと来ませんけどねぇ・・・
ちなみに発見時の光度は18.7等ということなので、1年ちょっとで約190倍しか明るくなってません。
それが今年10月には最大光度0.4等に達すると予想されているので、現在の光度の約110000倍も明るくなる見込みです。
その光度変化を示した天体グラフを作成してみると、こんな感じになります。


 AstroArts社ステラナビゲータにて作成

グラフの横軸が時間軸(日付)になり、青い曲線が彗星の光度(等級)の変化を示したもので(上に行くほど明るい)、
夏頃から光度が急上昇し、10月5日頃に最大光度を迎えます。それとはほとんど真逆の経過を辿っている赤色の曲線は
太陽-彗星間の距離(日心距離)を天文単位AU(1AUは太陽-地球間の平均距離である約1億5千万kmに相当)で示しており、
太陽に近づくにつれて明るくなっていくことが読み取れます。なお、太陽最接近(近日点通過)の日は9月27日です。
問題は緑色の曲線で示した彗星の地平高度で、ここでは日没50分後に彗星が西の空に見える仰角の変化を表していて、
横の白い点線が高度0度に相当しますので、予想最大光度の日は残念ながら地平線下で見えないってことになります。
これは太陽接近型の彗星ではよくあるので致し方ないことです。

では、いつ頃から見えるようになるのかが気になりますが、予想最大光度の日から1週間後の10月12日前後とみてます。
その頃に日没後の薄明が残る西の超低空で、こんな風に見える可能性があります。


 AstroArts社ステラナビゲータによるシミュレーション(日時は2024/10/13 18:25)

彗星の下の添え字が光度×10ですので、0.9等の予想光度ってことになります。また、マス目は角度で10度のスケール
となってますが、彗星のイオンテイルの実長を0.1AUと仮定してシミュレーションしてみたら、見掛け上で尾の長さが
7度程度になるという推定結果になりました。ちなみに、青っぽい尾はイオンテイル、白っぽい尾はダストテイルを
示しており、長くなるのはイオンテイルで、明るく見えるダストテイルは少し折れ曲がってしまうことで短めになる
とのシミュレーション結果になってます。但し、ダストテイルについては挙動の予測が困難なので、本当にそのような
形態に見えるかどうか、その頃になるまで分かりません。
マゼンタ色の四角枠は35mm判フルサイズで135mm望遠レンズを用いた際の画角に相当し、シミュレーション通りに尾が
伸びてくれれば、ちょうどイイ感じにフレーミングできそうです。但し、これも予測が難しく、もっと伸びることも
十分に考えられ、広角レンズでないと写野に収まり切らなくなる可能性もゼロではありません。

一方、明け方の空に見える可能性はないのか、念のため調べてみました。
日出50分前基準で天体グラフを作成してみたら・・・


 AstroArts社ステラナビゲータにて作成

9月末頃に地平高度を示す緑色の線が白い点線(高度0度)の上に出ているので、東の超低空に見えそうなことが判明。
で、その頃の見え方はこんな感じ。


 AstroArts社ステラナビゲータによるシミュレーション(日時は2024/09/29 04:40)

近日点通過(太陽最接近)の僅か2日後ということで、夕方に見える時期よりも明るく観測できるかもしれません。
但し、9月末は秋の長雨の時期に相当する上に台風の多い時期でもあるので、天候面が気掛かりではあります。
いずれにしても地平高度が低いため、なるべく明るい時期に捉えるには彗星の見える方向がかなり開けている場所を
選ぶ必要がありそうです。

4年前に大きな話題となったネオワイズ彗星(C/2020 F3)を凌ぐような姿になってくれることと、好天に恵まれることを
今から祈ってます。



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