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NGC****って何だ?

2009-05-16 17:26:18 | 夜空のコラム

4/27付の記事でM**で表記される「メシエ天体」について解説しました。

今回はNGC****と表記される天体の話です。

このアルファベットと番号の組合せは一体何なんでしょう?

 

答えを先に言うと、NGCは "New General Catalogue" の略なんです。

直訳すると「新一般目録」となりますが、これも天体リストの一つで、

星雲、星団、銀河など、太陽系外の天体が多数登録されています。

これは19世紀の終わり頃にドレイヤーという人が作成したもので、

登録天体数は7840個にも上ります。メシエ天体の110個とは桁違いですネ。

これの元になったのは、18~19世紀にウィリアム・ハーシェルと

その息子のジョン・ハーシェルが作成した星雲・星団リストである

"General Catalogue" でした。

 

ちなみに、ウィリアム・ハーシェルは天王星の発見や、赤外線の発見で

有名な天文学者です。そういえば先日、ヨーロッパ宇宙機関が打ち上げに

成功した宇宙望遠鏡は「ハーシェル」という名称になってましたネ。

おそらく、赤外線観測を行うことにちなんで名付けられたのでしょう。

 

さて、メシエ天体は、彗星探しをしていたメシエさんが、長年の観測の過程で

彗星と紛らわしい天体を見つけては番号登録していったということで、

概ね発見順で番号が付けられていますが(M45=「すばる」などの例外あり)、

NGC天体の番号は赤経順に付けられています。

 

赤経とは、簡単に言うと地球の経度線を空(天球)に投影したようなものです。

単位は度ではなく、時間と同じ時(h)・分(m)・秒(s)が使われます。

春分点が基準で、そこを0時として東回りに数値が上がっていき、24時で一周します。

赤経で1時間は角度の15度に相当します。これは360度/24時=15度で求まりますネ。

ついでですが、赤緯というのもあり、これは地球の緯度線を天球に投影したものです。

こちらの単位は角度と同じ度(゚)・分(')・秒(")が使われ、

天の赤道(地球上の赤道を天球に投影した線)が赤緯0度、

天の北極(地球の自転軸を北へ延ばしていって天球に投影した点)が+90度、

天の南極(地球の自転軸を南へ延ばしていって天球に投影した点)が-90度

と定まっています。

これらを使うと、例えば北極星の位置は赤経2h32m/赤緯+89゚16'と表記されます。

 

ところで、NGCカタログの発表後、さらにマイナー(?)な天体を補うために

"Index Catalogue" というのも作成されました。こちらの略称はICで、

やはりその後に番号を付けて "IC****" という表記が使われます。

 

メシエ天体にもNGCやICのナンバーが付いてたりします。

同じ天体なのに複数のカタログ名称があったりする訳ですが、

そういう天体の表記においてはメシエ・カタログ上の名称 "M**" が優先的に

使われるケースが多い感じがします。

例えば、いて座にある比較的有名な「三裂星雲」はM20と表記されることが多く、

単独でNGC6514と表記されることはほとんどありません。

いて座の三裂星雲 M20(NGC6514)
 2005年5月撮影(口径20cm反射望遠鏡使用)

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