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【注目の天文現象】
 7/16未明~明け方 天王星と火星が大接近

年末に期待の星? レナード彗星(C/2021 A1)

2021-08-08 14:26:32 | ほうき星

今年はあまり明るい彗星が現れず、不肖なほうき星パパラッチとして寂しい限りですが、
12月に期待できそうな彗星が1つあります。1月3日に発見されたレナード彗星(C/2021 A1)
という今年最初の新彗星です。発見時の光度は19等で、太陽からは木星とほぼ同じ距離に
いるところで見つかりました。発見から半年以上経った現在、太陽系内での彗星の位置は
まだ火星軌道の外側に相当するところにいて、未だに約16等と暗い状況です。ちなみに、
昨年の夏に明るくなって注目されたネオワイズ彗星(C/2020 F3)が同じレベルの日心距離
(太陽からの実距離)にあった時は未発見でしたので、案外明るいのかもしれません。

この先、レナード彗星は太陽系中心部に向かって進んでいき、来年の1月3日に近日点通過
(太陽最接近)を迎えます。近日点距離は約0.6AU(AUは「天文単位」で、1AUは太陽-地球間
の平均距離である約1.5億km)とはじき出されているので、金星よりも太陽に近いところを
通過することになります。彗星は太陽に近づくほど明るくなる可能性が高くなりますが、
近日点距離が0.7AU以下となると、そこそこ期待できるとみてます。
太陽へ向かって突き進む途中で地球に0.3AU以内に接近し、12月に4等台まで明るくなると
予想されており、もしかすると肉眼で見えるようになるかもしれません。
日本では12月前半の観測条件が良好で、12/11明け方の東天における見え方は下のとおり。


AstroArts社ステラナビゲータによるシミュレーション(数値の1/10が予想光度)

12月後半になると夕方の西天に見えるようになり、12/19における見え方は下のとおり。


AstroArts社ステラナビゲータによるシミュレーション(数値の1/10が予想光度)

尾については、イオン,ダストともに実長を0.1AUとしてシミュレーションしていますが、
そんなに伸びないかもしれません。また、彗星本体が小さいと明るくならないばかりか、
途中で崩壊したり、消滅に向かう可能性も十分考えられます。毎度のことながら、彗星の
振る舞いというのは水物であって、予想以上に大化けすることもあり得ます。
過度な期待はせずに、その時を待ちたいと思います。

<追記>以下、実際の撮影記事へのリンクです。よろしければ、ご覧ください。

・2021/11/06 初撮影

・2021/11/28 二度目の撮影

・2021/12/4 三度目の撮影