森林公園でみたこのキンミズヒキはまだ咲き始めだ。夏の終わりころにはあたり一面がキンミズヒキになる。最初の頃のほうがありがたみがある。夏の山野を金色で飾ってくれる宝物のような植物だ。同じミズヒキでも、赤のミズヒキはいかにもタデ科の野草らしい雰囲気があるが、キンミズヒキはバラ科の野草ではっきりと雰囲気が異なる。どちらも同じころに花を開いて、競争しているかのようだ。
(2019-09 川崎市 森林公園)
キンミズヒキ(金水引、学名:Agrimonia pilosa var. japonica )は、バラ科キンミズヒキ属の多年草。
特徴
地下の根茎は肥厚する。茎は直立し毛が多く、高さは50-100cmになる。よく分枝し、葉は等間隔に互生する。葉は奇数羽状複葉で5-9個の大小不ぞろいの小葉からなる。頂小葉は菱状長楕円形から菱状倒卵形で長さ3-6cm、幅2cmほどになり、先端がとがり、縁にはとがった粗い歯牙状の鋸歯がある。葉の裏面には白色または帯黄色の腺点が多数ある。葉柄の基部に托葉が合着し、ふつう半卵形で内側に曲がり、縁に粗くとがった鋸歯がある。
花期は8-10月。分枝した茎先に総状花序を作り、小さい花をやや密につける。花柄が短いので穂状にみえる。1個の苞と2個の小苞がある。花床筒は倒円錐形で、萼片は5個。花の径は7-10mm、花弁は黄色で5個あり、倒卵形から狭倒卵形で、長さ3-6mm、幅1.5-2mmになる。雄蕊は8-14個あり、花弁より短い。果時の花床筒は長さ5-6mm、径4-5mm、上縁に副萼片が変化したものといわれる、長さ3mmの鉤状の刺があり、動物体に付着して運ばれ、種子が散布される。
分布と生育環境
日本では、北海道、本州、四国、九州に分布し、低山、山地の道ばたや原野にふつうにみられる。国外では、南千島、サハリン、ウスリー、朝鮮半島、中国大陸、インドシナ半島に分布する。
基本種(基準変種)のシベリアキンミズヒキ var. pilosa は、ヨーロッパ東部からシベリア、中国大陸(北部)に分布する。
名前の由来
和名のキンミズヒキは「金水引」の意で、細長い黄色の花穂を「金色のミズヒキ(タデ科)」にたとえたもの。なお、ミズヒキはその花穂を水引にたとえたものである。