せかいのうらがわ

君と巡り合えた事を人はキセキと呼ぶのだろう
それでも僕らのこの恋は「運命」と呼ばせてくれよ

'Twas on My Birthday Night

2007-04-19 22:42:23 | お題

薄く霞んだ視界に、ろうそくの火がゆたう。

ぼんやりとそれ見つめたままで、息を吐くこともできないような静寂が続く。風に混じって、少しだけ鉄の匂いがする。それでも、気の所為、と自分に言い聞かせ、どこかに行ったままの2人に思いを馳せた。やけに優々としていたのを覚えている。そんなに嬉しいことでもあるのだろうか、あの2人があんなに喜ぶなんて。私も連れて行ってくれればよかったのに。
お前は此処で待ってろって。肩を押してでていった銀のこころなしかニヤけた顔を思い出して、む、と無意識に頬をふくらます。銀のばかづら。そう心の中でだけ呟いて、ろうそくが小さくなっていくのを見つめる。これが無くなったら、寝ようかしら。
そして銀後ろで、やっぱり優々としながら、それでも呆れたように溜息を吐いた兄上の顔も浮かんだ。でもその表情を見ると、何も言えなくなって、大人しくするしか選択肢がない私は、やっぱりブラコンかもしれない。

そこまで考えて、襖の向こうの月を見た。仕切られているのだから、もちろん、見えるはずもないけれど。そっと襖に手をかけ、

・・ようと、した。

それより先に襖が、たん、と小気味いい音を立てて開いた。ろうそくの火が消える。さら、と、まだ冬の匂いの混じった風が頬を撫で、思わず震え上がる。すると、頭の上に何かが落ちてくる。ふわ、と、香る。

「あんま体冷やしたら駄目だぞ、蘭。それやるから、大人しくしてなさい。」
「・・銀?」

そう呟くと、だからそれやめろって、と上から聞こえた。顔を上げた拍子に、頭に掛かった何かがずるりと落ちる。ふと見れば、どうやら銀の上着のようだった。・・くさい。聞こえないように呟くと、銀は後ろ手に襖を閉めて、私の頭に手をおく。

なで。

拍子抜けしていると、それはがしがしに代わった。銀、いたい、いたいよ、銀。銀時、銀さん、または銀ちゃんと呼びなさい。・・自分で自分の名前を言うのは、痛いよ、銀。命令形はよくないよ、銀。・・何コレ嫌がらせ?ねぇ嫌がらせ?呼び方指定してるじゃないの、蘭ちゃん?・・・ぎ。・・・ぎ?・・・ぎ、ぎぎ、銀・・、銀、ぎ、銀・・・。・・泣きそう、泣いていい?ご、ごめ・・!そういうつもりじゃ・・!!・・え、何、それは、蘭なりに呼ぼうと努力したわけ?どもり?ど、どもりです・・。可愛いのな。・・・うぐ・・。
銀があまりにもやわらかく笑うものだから、そんな奇声しか漏れなかった。気恥ずかしくて羽織に顔を突っ伏すと、銀の匂いがして、余計顔が赤くなる。ばか。銀のばか。たらし。天パー。でもやっぱり悪い気がして、視線を上げないままで、悲鳴を上げる心臓を無視する。

「・・ぎ、」
「もういいってば。」
「銀、時。」

震えていたかもしれない。わからないけど、銀が息を飲む気配はした。そんなにおかしかったの、笑うなら笑え、ばか。そう思っていると、ふいに背中に手が触れた。突然のことにびくりとなったけど、その後に続いた抱き寄せられる感覚で、そんなことは忘れてしまった。私の心臓が悲鳴を上げてる。気付かれないかな。そう思いつつも、突き放す理由が見つからず、腕にすっぽりと収まった。兄上はこれを見たら絶叫して、銀にいろいろ言うんだろうな。そう夢現に考える。

「・・蘭、絶対こっち、見たら駄目だから。あれ、あの、今、銀さんとこ紅葉お化け居るから」
「・・・こっちにも居るけど、見たい?」
「そりゃ、見たいけどよ、そしたらこっちも見えるじゃねーか。駄目だ、駄目。」

そっか。そう呟いて、体重を預ける。銀の胸板が耳のすぐ横にあるらしい、やけに早い鼓動が聞こえた。けれどやっぱり、この音は落ち着くのだ。兄上も、ずっと昔、そうしてくれた。
ふと考えが浮かんで、ねえ、銀。と、そのまま上を向かずに言う。私、目、閉じてるから。絶対、絶対絶対、見ないから、見れば?見えてもいないのに、自然と笑みが毀れた。きっと眠いからだ。眠くてからだが火照っているせいだ。普段は私が銀を叩いて、それでおしまい、だから。
・・わかった。小さい声で、そう聞こえた。うん。呟いて目を閉じる。そのまま顔を上げても、やはり銀の顔は見えなかった。惜しいな、見たかった。それも心の中にだけ止めておいて、羽織をもう一度握りなおす。

「愛してる。」
「わ、私・・も?」
「傍にいてやるから。」
「じゃあ私は銀をひとりにしない、」

そう言って私はころころと笑った。冗談にしては過ぎてると思った。きっと兄上だとか、高杉にでも吹き込まれたんだ。そう言えば私が喜ぶって。こんなひどい嘘、いらないのに。背中に回していた手に力を込めて、また銀の胸に頭突きする。泣いたらバレてしまうから。泣いたら、悪い、し。そうしたらあまりに力が入りすぎて、銀の上に乗っかる形になってしまった。重いかな、そう思っていれば、髪に生温かい息が掛かった。溜息だった。あのさあ。気だるそうに銀は呟く。お前さあ。

「・・何で、泣いてんの?」
「泣いてない、眠いだけ。」
「そんなに俺のこと、嫌いだった?」
「私もって、言った。」
「疑問形だったけどな。」

銀はもう一度溜息を吐いた。どうしようもなく居た堪れなくなって、そのままぎゅっと手を握ると、頬に何かが触れた。その何か、こと、銀の手は私の頬に触れると、そのまま顔を上げさせた。思わず唇を噛んで目を開けると、銀は悲しそうに笑っていた。ごめんな。そう呟いた。

「・・・何で謝るの、嘘、だったの?」
「嘘じゃねー。・・その、・・・折角、誕生日、なのに・・泣かす、つもりは・・・。」

口篭もったかと思えば、銀は、少し黙ったあと、だーっ、もう、悪かったよ!!と叫んだ。吃驚していると、何故か視界が反転して、今度は私が銀を見上げてる。涙がぼとぼとと畳の上に落ちた。銀は涙を袖で拭いながら、泣くなよ、とか、俺悪かった、とか、何度も呟いた。

「嘘じゃあ、ないって・・・本当?」
「何度も言わせんなよ。」
「・・あの・・・銀。」

ばつが悪くて視線を彷徨わせると、銀はまた苦笑いした。困らせて、ごめんな。そう呟いたんだ。違う、違うの。そう言って首を横に振ると、銀は少し驚いたふうで、私を見た。

「私は、銀の、こと。本当に、ひとりには、しないよ。」


Long ago. I told you ile.


「・・ぎ、」
「もういい、喋んな!!」
「ご、め・・・」

それは遠い昔。私は彼方をひとりにしないと言った。
それは遠い昔。私は、彼方に、嘘を吐いた。

「死にたく、ないよ。ぎ、ん」


―――
(Fade-out in you arm)
彼方の腕の中、尽きるは永久の夢。

アルストロメリア。桂蘭(デフォルト)。


ばかづらー(スーパーミ○クちゃん


わかるひとだけわかって。古いアニメ。
結構面白いのでオススメデス。(何

本編的にはありえない話。
銀は知らないはずなので。
相思相愛じゃあないので。
この2人(死ねよ

子供のような大人。大人のような子供。
キャラ違うとか言ったら駄目だから。
だって幼少(?)期だから。いいよ(何が
名前が二文字の人なんてはじめて見たよ(待
35文字ならリアルに見たことあるけどね。
ゲームとかじゃなくて。GGGじゃなくて。

紅葉を散らすという古い言いまわしがあるんでつ(何つ
まあ・・なんていうか、赤面するって意味ですね。
「もみじおばけ」は造語なんで使わないよーに!(笑

手直しして、やさしい話に直すつもりです。
この後銀がたらし的に瞼にちゅーして(殴
本当にキスしようとしたら、桂がケーキを
持って戻ってきちゃって、貴様蘭になにを
している、みたいな展開になる。・・はず。
そして、蘭は、自分の誕生日を忘れていて、
桂(兄)が持ってきたケーキを見て気付く、
というような感じです。
でもこの曲、私も嘘を吐いたの、ですから。

妹なのは姉の権力とかを使いたくなかったから。
そして妹にかまう桂が書きたかったから(笑


ていうか。


長ッ!!!