せかいのうらがわ

君と巡り合えた事を人はキセキと呼ぶのだろう
それでも僕らのこの恋は「運命」と呼ばせてくれよ

そうしてその未来で振り返った先には

2009-07-26 21:41:58 | Weblog
断罪爆走命がけ!ユーリ(21)の発言が続いているのだろう。

中二病のまとめサイトを見てたがまさにこれだ…w
うちのユーリは背徳爆走命がけ!中二病!!
二次創作は堂々とこれができるのでちょう楽しい。

そんな私は中二病。人生ちょうたのしい^q^ww

今もこれを格好いいと思って書く私がいる。笑った。
でもこの先ずっとこういうのが好きだっていうのは
変わらないと思う。だって好きだものry


素で中二病なのはもうどうにもならないと思う。
私幸せな人生を送ってるよなあとつくづく思ったw






追記:本当どうしようもねーな
このどうしようもない日記で、一ページまるまるTOVの話になったがな。

更に追記:はしゃぎすぎたなあんた。そろそろ舞台からおりてくんねーかな
この前TOVでカロルのスキル変化を連発してたら母親が一言。
「噛まないの?こんな同じ名前ばっかり言ってて」うん…
「ていうかこんな事叫んでる間にやられるよね」うん…

忘れない傷跡/忘れない傷跡

2009-07-25 21:17:18 | テイルズ
「リタ、泣いてたぞ」

誰も居なくなった静寂に投げかけて、ただ一人誰に知られもせず笑った。生きていた相手にそういう顔を見せたことはないし、見せる気もなかった。どうして死人になら素直に歪んだ感情を吐き出せるのだろうか。嬉しくもないのに笑えてくる、こんな感情を覚えた事はない。人一人死んで、泣きたい代わりにどうしてか、腹の底から大笑いしてやりたかった。
リタに見られれば絶交されるような、澄んだ笑みを浮かべて、逝ってしまった馬鹿の横に腰掛ける。

「…結局我慢してたのはアンタだったな、おっさん」

情けのない声を墓前に垂れて、自分自身のつま先に視線を落とす。このつま先で幾つの屍を踏みつけて来た。いつか、いつかきっと今の様に、無慈悲な足はかつて仲間と呼んだ人間ですら踏みつけてしまうのかもしれない。
結局、先へ行けたのは俺だけだった。あの日踏み出したはずの男が逝ってしまい、そして踏み止まったはずの俺がこの世に腰を据えている。レイヴンが最期に見た世界はどんな色だったのか、今日だけは知りたいと願う。死は何を齎したのだと、問うことが叶うのなら。一度くらい、あの視線の先に在るものを共有することぐらいは、しても良かった。

「でも俺らは似たもの同士だと思ってたよ。案外歩み寄れない辺りに居たのかもしれないけどな」

もしも神なんてものが居るのだとしたら、殴りつけて舞台裏から引き摺り下ろしてやりたい。どうしてこうもあべこべなのだろう。幸せになりたいと願った人間だけが悲しみ、背を向けた人間にどうしたって幸福を押し付ける。そうして、降伏を求めて、一体何をさせたいのだと叫びたい。
誰に対してかの仄暗い怒りが、軽く握った拳の中から溢れ出して、降り始めた雨と共に地面へ吸い込まれていく。泣きも怒りもしてやらない。あんな奴の為に、感情を磨耗するのは、馬鹿らしくてたまらない。

「…アンタは俺に言ったよな。色々って何だ?リタを追い詰めて、アンタを忘れないようにさせる事だったのか?」

ぽつぽつと降り注ぐ雨音が、乾き始めていた地面をまた黒面一色に塗り替えてゆく。悔しかった。どんなに問いかけようが追い詰めようが、怒りをぶつける相手がもう居ない。居ないからこそ腹立たしく、居ればこんな事にはならなかったのに。これでは先に行ったのではなくて、先に"逃げていった"だけだ。全てを置いて、誰にも忘れられずに、最低の裏切りを遺して。

「そんな最低な事を、誇らしげに"決めた"って言ったのかよ!結局アンタは、何一つ守れてやしないくせに…!!」

正確には、あの時リタは泣いてなどいなかった。けれど今にも泣き出しそうな表情で、触った途端に崩れて無くなってしまいそうな雰囲気を纏っていたのは、後にも先にもその一瞬のみだろう。生きていればあの男は気付いただろうか――いや、気付けなかったからこそ、この結果が訪れたのかもしれない。直接の死因を作ったのは本人だと聞いた。リタがどうしたって泣けないのは、もう誰だってとっくに知っている。
結局そんな要らない気遣いが傷つける事になるのだと言ったのは、一体、誰だったというのだ。口先だけの道化だと、そう思うのはとっくに止めたはずなのに。あの男は忌々しい自分の過去ですら墓碑に刻み込んで、走り去っていくというのか。

「…俺もまだ甘かったんだな。アンタみたいな馬鹿はあの時殺しとくべきだった。どうせならリタの傷が浅い内にして欲しかったもんだ」

答えを出すだろうと思っていた自分が愚かだと思える。俺は先に行って良かったのかもしれない、けれどそんな事はもうどうでも良かった。まさかあの男は生きる人間を置いて楽になるなんて行為が、許されるとでも思ったのだろうか。リタ、それから過去の自分。想えばこそ噛み締めた奥歯が鈍い音を立てた。
凛々の明星が預かった命を身勝手に捨てるというのなら、それ相応の罰を覚悟していたはずだ。怒りに任せて立ち上がり手にしていた刀を抜き去る。この刀に鞘はもう必要ない、力任せに遠くへ投げ捨てた。

「俺はアンタを許さない。凛々の明星の名と、それからドン・ホワイトホースの遺志において、レイヴンを罰する」

そう言って、勢いをつけて墓碑の前へと刀を突き立てる。あの男は何も言わなかったんじゃない、何も言わなかったのだ。全て解っていて、全てを黙っていた。初めて心から慕った人間をこの手で罰するその瞬間、指先から冷たい痺れは全身に広がり呪いの様に体中を多い尽くした。無機質な地面を刺しただけだというのに、作り物の心臓を押さえて皮肉そうに笑う騎士の顔が浮かんだ。
何十もの部下を従えて凛と歩く背中を見て、子供心ながらに追いつきたいと思った。ああなりたいと、願った。けれど追い着こうと願った背はいつの間にか自身を下回り、その背は結局自身を追い抜くフリをして、雲隠れした。もう追い着くことは叶わない。追い着きたいとも思わない。
レイヴンが遺したのは裏切りじゃないと気付いていても、もう憎む事しかできなかった。背を押したのだ。決断するのはレイヴンだと何も言わなかった俺と同じように、俺の弱さを全て俺に委ねて、決する強さを押し付けていったのだと解っても。

「…アンタと俺は似てたよ、シュヴァーン。アンタが歩けなかった分の未来は俺が継いでやる。だから、――だから黙って地獄に落ちろ」

そうしてその未来で振り返った先には、おそらくシュヴァーンを含めて墓標が続いているはずだ。俺を地獄へと導く血濡れの墓標が、淡々と続いているに違いない。そこに立って見ているのだろう、握りつぶしてきた全ての"正義"を見据えるだけの強さを与えた、その男は。忘れはしない、殺めた人間も生きている人間も。殺めた人間から背いて生きている人間から未来を奪った男のようには、なってやらない。絶対に許さないと、冗談のような死に顔を思い返して呟いた。

罪を切り捨てた手が、初めて震えた夜のこと。ただ、本当に今も、あの背中に憧れた過去を捨てきれないその悔しさが、泣けない毒となって心の中を蝕んだ。

―――
(忘れない傷跡)


「過去に生く人、未来に逝く人」と対の話。

題名に迷った挙句この先を書くのを止めた件。
各個の繋がりとかが酷すぎるけど気にしない。

【最後の反省会】
ユーリ・ローウェル(翻る流れ星、過去に生く人)
1回目、エステルの必死の告白をスルー
2回目、優柔不断さを超絶アピール
3回目、やっと格好良くなったと思ったら死んだ元仲間に対し「黙って地獄に落ちろ」
ユーリって格好いいんだよ、と言いたくて失敗した。
エステリーゼ・シデス・ヒュラッセイン(不憫な姫様)
1回目という名の最後の出番、泣きながら告白
エステルのわりと頑張るところを書きたくて失敗した。
本当は、エステルが"愛する人と一時期でも幸せになれた"リタを羨んで、逆にリタが"幸せになれないとしても、愛する人が生きている"エステルを羨ましがる話があるはずだったけど無くなった。すんませんでした。
リタ・モルディオ(罪無きヤンデレ娘)
没1回目、まるでハルヒのノリ
新1回目、落ち着いて下さい
訂正前1回目、本当に落ち着いて下さい
2回目、よくがんばりました、でももう少し落ち着け
全体的に自重できないリタでお送りしました。すみませんでした。当たり前の感情を当たり前だと思えない少女と、当たり前の感情を当たり前に受け止められない男の話。
レイヴン/シュヴァーン(未来に逝った、焦燥を抱いて堕ちる輝星)
1回目、まるで空気が読めるかのような格好いいおっさん。略してマカオ(?)。
没2回目、へっぴり腰のまるでだめなおっさん。略してマダオ。
新2回目、くたばれロリコン
3回目4回目、死人シュヴァーン
格好よく、そして幽霊みたいなおっさん。新没どっちもの2回目以外はよく書けたかもしれない。まあ3回目と4回目の出番では死んでるけど。

忘れない傷跡/堕ちた輝星

2009-07-25 02:19:00 | テイルズ
今日の続きは何も変わらない明日だと、当たり前の様に思っていた。

知らせが届いたのは、ハルルの花が咲き終わり、全て散った先のこと。戻ってきたのは一本の短剣だけで、持ち主はもう居ない。殉職には程遠い突然死の原因を知っているのはあの仲間たちだけで、結局誰に知られるでもなく逝ってしまった。
この世界に一体どれだけの人間が、彼を知っていたというのだろう。騎士でもギルド員でもないたった一人の男が、苦しみながら生きていたという事を、誰が知っているというのだろう。最期を見届けた人間は、それを知っていただろうか?
箱の中に納まった騎士の寝姿を見て想う。これで居なくなってしまった。レイヴンはどこにも居なくなってしまった。あれほど嫌悪した姿で最期を迎える彼の顔はどうも穏やか過ぎて、眠っているのではないかと錯覚する。起き上がってくれるような、そんな甘い幻想を抱いては無意識に頬へ伸ばした。手から伝わる温度に、それはないのだとすぐに知ったけれど。
涙も落とさない乾いた目の代わりに、空が大泣きしている。出会ったあの日もひどい雨で、不埒な態度に苛立ったのを今でも鮮明に思い出せる。それでも彼は居なくなってしまった。もう居ない。だからもう、思い出す必要もない。そう思えばこそ、体の底から大笑いしたくなった。

「確かに、死んじゃえばいいなんて、何度も思ったわよ」

暗雲に手を伸ばし、昇り去っていったはずの思い出を捕まえようとしてみる。手の平には雨がしきりに降り注ぎ、もやもやとした不快感を具現化したような雲を手に取る事なんてできるわけもなかった。ただ捕まえて、それから、何をしたかっただろうか。彼が戻ってきたとして、最期に自分は何を言いたかっただろうか。
当たり前の会話を交わして当たり前の夜を迎えて、幾つかの当然の朝を過ごして、結果がこれだ。明日は当然のように来ると思っていたから、最後に言ったのは確か罵り言葉だった気がする。ばかね、そう言って笑ったはずだ。本当に仕方の無いひと、ばかね、おやすみ。もう言い直すこともできないのだ、例えば死期がわかっていたのなら、それを言われた時彼はどんな気持ちだったというのだろう。それでもにっこりと笑っておやすみと、それは誰に対して言った言葉なのか。問い詰めたい、けれどもう答えはどこにも存在しない。永遠に考えることしか、できなくなってしまった。

「でも、勝手に死んでいいなんて、許可した覚えない」

傘もささずに出てきた服はべっとりと肌に張り付いていて、それだけが妙にリアルで、その他の事は全部、夢のようだった。沈黙に沈む騎士たちの顔、それに混じって泣き崩れる下町の住民、お姫様、騎士団長代理。誰を見ているのだろう。この箱に入った騎士が誰かなんて、この中で何人の人間が知っているというのだろう。この人はシュヴァーンなんかじゃない。名前なんてどうでもよかった、けれど生前否定していた人格だなんて最期に言われて欲しくなかった。事実があれば他はどうでもいいのだ、自分以外の他人を考えた事なんかない。ただ慎ましやかな幸せさえ在れば、もう他は、どうでもいいのに。どうでも"よかった"のに。

「…まだキスもしてなかった」

レイヴンは死んでしまった。死因は心臓魔導器の不調による生命力の低下。一度落ち始めればそこからは二度と這い上がることはできない、死へのカウントダウン。それをずっと忌避してきたのに、結局、彼が黙っていたせいで、―気を使わなかった自分の所為で、笑ったまま、手を離されてしまった。
箱の中で眠る貴方から、生前叶うことの無かった口付けを奪い去る。ざまあみろ。三年前の私が指をさして、貴方を嗤っていた。

―――
(堕ちた輝星)
おちたこうせい

オチが短すぎ・酷すぎな件。いつか書き直したい。
リタにまだキスもしてなかったって言わせたかった。
ざまあみろって言わせたかった。さーせんでした。

追記
題名を唐突に変えたのは翻る流れ星と対にしたかったから。

忘れない傷跡/尚早へ、焦燥

2009-07-24 19:03:39 | テイルズ
(最初の一文を読んで気持ち悪いと思ったら読んじゃだめです)

いつだって強気で伸ばした背筋を曲げもしない、貫くような瞳を壁際まで追い詰めて、この手の中にだけ閉じ込めてしまいたい。そんな欲を幾度か抱いては、苦い感情と共に押し殺して、噛み潰した。
男ならば一度は夢見るだろう。愛する女性への独占欲なんてありふれたもので、この世にはいくらでも存在するもの。けれどそれは、自身には当て嵌まっては"いけない"感情。この手で触れたら壊してしまいそうで、いつだって怯えて及び腰なのは俺の方だ。彼女が受け入れられたとして、おそらく俺の方が受け入れられない。彼女は気にしていないという、父と子ほど離れた歳の差。それがどんなに高い壁なのか、まだ彼女は知らない。まだ彼女は、とても、幼い。

「―ただいまあ、!」

一刻前に見た朧な夢のせいで浮かんだひどい妄想を振り払うように、深夜の沈黙に溺れる部屋へと大声をかけた。完全に闇に沈んでしまった奥の部屋ではもう彼女が眠っているだろう。夜の冷気に冷やされた身体をさすって、手探りに「ランタン」をさがす。これもこの三年で彼女が作り上げた作品の一つだ。何でもソツなくこなしてしまう彼女を、純粋に凄いと思う。心の中で賞賛を贈りながら、壁に特殊な加工を施した木の枝を擦り付けて、点いた火をランタンの中に移す。
ほの明るくなった廊下の先に目線をやると、彼女に貸している部屋のドアが開いていてどきりとした。高揚感にも似た不安感を抱きながら、慎重に足を進める。ノブに手をかけると扉は音もなく開いた。

「っうお!?」

中から白くて細い腕が伸びて、ランタンを奪い去ったのち上着をひっ捕まえ部屋の中に引きずり込まれた。そのままベッドに俺を突き飛ばすと、引きずり込んだ本人はドアを背中で乱暴に閉め、こっちを恐ろしい眼光で睨みつける。思わず後ずさりした。ランタンが消えたせいで目は認識の力を失っていたが、それでも月明かりで微かに見える姿は見知ったもの。だというのに純粋な恐怖を感じる。暗闇の中、僅かに蒼い目が光っているようにも見えた。

「…リタ?」

わかっていながら、確かめるように名前を呼んだ。ぴくりと人影が身じろぎする、どうやら、間違いない。
安堵の息をこぼしたのもつかの間、彼女はフローリングで素足をぺたりぺたりと鳴らしながら大股でベッドに上がって来た。二人分の重圧に耐えかねて、ベッドがぎしりと軋む。やはり無造作に着崩した上着を引っ掴み馬乗りになった彼女に、
体が反射的に目を瞑って身構えた。
機嫌の悪い時、よくこうして殴られた。理不尽な暴力、寝ている間にもちろん抵抗できるはずもなく、かといってその意思もなく。ただ恐怖として染み付いた記憶とは恐ろしいもので、中々目を開けることができなかった。

「…何よ」

不意に呟やかれた彼女の声は、震えていた。しばらく閉じていた目を開くと景色は幾分か鮮明に見えてくる。シーツを被っているのかと思ったがそうではなく、徐々にくっきりとしてきた輪郭に思わず目を逸らした。彼女の手が首へと伸びそうになって、それにひどい殺意を覚えたから。
手探りにベッドから滑り落ちかけていたシーツを引っ掴み、彼女へと巻きつける。上から降ろしてベッドに転がし脱げないように端を握り締めた頃には既に、指先へ酷い震えが広がっていた。押さえようのない不快な感情で息が乱れ、つい彼女の胸へと頭頂部をぶつけて俯く。嫌な汗が一筋伝って、シーツを握り締める自分の手に落ちた。「どうしたのよ、」正気だと言い切る事ができないで居ると、彼女は至極鬱陶しそうに身を捩った。けれどそれどころじゃない。彼女は、何がしたいのだ。

「リタ、何で」
「何ではあんたの方よ」

顔を見れないままで居るから、表情まではわからない。ただ無機質な声色で言われたそれに、彼女は気分を害しているのだという事だけは伝わってきた。俺が身を捩られてからシーツの端を尚更強く掴んだものだから、シーツの中でもぞりと動いてからゆっくりと起き上がったきり、動こうとはしない。
例えばそれが、ちょっとしたイラつきならば仕方がない。けれどそれ以外の理由なのだとしたら、いずれの理由であったとしても受け入れ難い事は間違いない。例えば、それが、そう。

「…殺したら、手に入ると思っただけよ。そうしたら、もうどこにも行かないって思った事くらい、あるでしょ」

無邪気な残酷さだったとしても、だ。いくらなんでもそれで殺人が許されるようでは、アレクセイの恐怖政治と天秤にかけても引けを取らないだろう。可能性を考えていたにも関わらず、手が大げさに強張った。それを感じ取ったのかシーツの間をすり抜けて出てきた両の指が、俺の手を引き剥がそうとしているのか爪を立てる。鈍い痛みに顔をしかめると、突然後頭部に重みがかかった。じわりと髪に広がっていく生暖かい雫、いつもならどこで涙を拭いているんだと笑い飛ばしたはずなのに、身動きすら叶わないほど動揺した。あんなに強かった彼女が、泣いている。そう考えただけなのに、鈍器で頭を殴られたような衝撃を受ける。泣かせたのは、おそらく他でもない自分だ。

「怖いのよ、だって何もされない。そんなに魅力がない?子供なんて気持ち悪い?言ってくれないとわかんない…!」

独り言か訴えか、苦しそうに言うとリタの全身に込められていた力が抜けて、彼女はそのまま後ろに倒れこんでしまった。涙で濡れた個所が、夜の空気に当てられてひやりとする。
咄嗟に手放しそうになったシーツを、肌蹴ないよう彼女の手にしっかり握らせた。空いた手で掻き回されたようにぼさぼさの髪へ手櫛を入れる、さらりと指の間を零れ落ちていく髪が、掬うことのできない自分の感情のようで、物悲しくなる。無言で泣き続ける彼女の重圧耐えられなくなり、結局沈黙を破ったのはこちらだった。

「…おっさん、ちゃんとリタっちのこと、好きよ。好きで好きで、何かしそうになるくらいに。でもさ」

喉に詰まる息を吐き出して、上手く笑えず苦笑する。嘘を言ったつもりはない、驚きが勝って恐怖を抱いたとはいえ、そう思っていたのは事実だ。嘆息をどう受け取ったのかは知らないが、彼女は苦々しげに表情を歪めて怒ったような顔になった。その間も涙は絶え間なく零れ、漆黒に沈むシーツを濡らしていく。今はそれを拭う手すら持たないような、動けないような、そんな思い込みに駆られた。
今度はこちらから馬乗りになる。急にかかった重量に不信感を抱いたのか、ようやっと開いた彼女の目は少しばかり赤く腫れていた。小さな顔の両端に手をついて、耳元へ囁きかける。

「好きだから、なんもできないのよ。いつかおっさん以外の誰かが好きになったら、きっと、後悔するでしょうよ。だから、何もできない。なんもしない。ごめんね」

不安にさせて、ごめんね。
そこまで思いつめているなんて知らなかった。本当に申し訳ないと思っていても、口付けの一つすら贈れない自分が恨めしい。臆病なこの手は、いつも触れる一瞬前には「騎士シュヴァーン」に戻ってしまう。無感情で利他的で、臆病なくせにもう怖いものはないと嘯く最低な男に、戻ってしまう。
いつだって臆病なのは俺で、彼女は真っ直ぐ視線を逸らさずに、その気持ちをぶつけてきた。俺が答えを出すまでは待ってくれて、でも、納得できなければ駄々をこねる。鬱陶しいなんて思った事はない。ただ少し、困ってしまう。彼女と俺の価値観は違いすぎて、きっと彼女の抱いている感情と俺の持っている感情は最初から少しずつズレがあって、近い将来目を背けられない溝になる。
彼女はまだ子供で、きっといつもと同じように駄々を捏ねるだろうから、その時手を離すのは俺でなくてはいけない。その細やかな手を取った時からずっと決めていた、最悪の未来で俺が取るべき選択。それでもへらりと笑って、言って見せた。

「おっさんは、リタっちが幸せになってくれるなら、誰でもいいのよ。隣に居るのが俺じゃなくても」
「…~~っ!!」

ばしり、と乾いた音が響き渡った。今まで黙って聞いていた彼女が唐突に平手を振り上げ、力の限り打ったものだから頬に鋭い痛みが走る。「った…」じわりと熱くなっていく頬に、笑うより何より呆然となる。彼女を閉じ込めていた両の手を片方退けて打たれた頬に当てると、俄かに滑った感触。どうやら爪を立てられたらしい、猫にでも嫌われた気分になった。
彼女は泣いている。帰ってきてからほとんど泣き顔しか見ていない。まだ俺が上から退いてはいないから起き上がろうとはしないものの、泣いたままひどくこちらを睨みつけていた。襟元が破れるのではないかというくらい、強く胸倉を掴まれる。

「…好きだから何もしないってなによ、傍に居れなくてもいいってなによ?!あんたの言ってる事、全然わかんない!馬鹿じゃないの…?!」

悔しい、と、彼女の蒼い瞳の奥が、酷く訴えている。リタの痛切な思いを忘れないで居たかったから視線は決して逸らさないけれど、どこかその純粋な瞳を見つめているという実感は無く、スクリーン越しに見ているかのような、そんな心地がした。心底から無関心になるような、長らく忘れていた嫌な感情が顔を出す。
「そうね、馬鹿かもしんないわ」振り切るように首を振って、"俺"が困ったように笑う。そっと彼女の頬に手を当て親指で目元を拭ってやると、鮮明になった青の中で貫くようにねめつけられる。胸元を掴む手は脅しというよりももう、縋るのに近いほど震えていたのに、気付かないフリをして目を伏せた。気付いていても、何をしてやれるわけではないのだ。

「馬鹿な男だっただろう、実際に。"君"もその目で見たはずだ」

"いつだって強気で伸ばした背筋を曲げもしない、貫くような瞳を壁際まで追い詰めて、この手の中にだけ閉じ込めてしまいたい"。今その欲が違う形であれ叶えられているというのに、少しも満たされる事はない。彼女の強気な瞳が揺れて大きく見開かれてから、反動のように強く瞑られる。大きく跳ねた肩に、手には密やかに余韻が残り、窓辺から零れ落ちる光に照らされて唇は青白く震えていた。
「やめて、」乞うように呟かれた言葉に甘い響きを覚えたのは一瞬で、それを塗り替える黒くもやがかった感情を何と呼ぶのか。遠い昔に忘れてしまった気がする。

「…ごめーんね。もうおっさん駄目だわ、多分これ以上居たらまた変な事言うから。朝になる前に寝なさいな」

覆いかぶさっていた身体を無理に退けて、未だ離そうとしない彼女の手を、ほんの僅か力を込めて遠ざける。案の定引っ張られていた襟元はだらしなく伸びて、頭は反射的にレイヴンへと戻っていった。明日、何て言い訳をしようか。もう先程の事は考えないようにしていながらもベッドに目線をかければ、顔を背けたっきりこちらを見ない彼女が見えた。返事が無いのをいい事に上から退くと、歪曲から立ち直ったベッドが、今心が軋んだようにぎしりと音を立てた。
引き剥がしたまま掴んでいた手を離すと、失った温度に酷く冷えた心地がする。できればずっと、傍に居たい。夢を見ていいと許されるなら、何だって捨てられる。けれど彼女はまだ未来がある、そして俺には、もう、何もない。

「おやすみ、また明日」

呟いて、振り向きもせずドアを閉める。上手く笑えただろうか。閉ざされた部屋の向こう側から、また泣き声が聞こえる気がして、きりきりと胸が痛んだ。泣き出したい衝動を押さえ込んでどこまでも、奈落へと落ちて行きたくなる。少しも幸せになんて、してやれてないのに、あそこまで追い詰めて、一体何がしたいのかと思う。離した手は震えている。
魔導器に爪を立てて、増していく痛みに耐える夜はもう少なくない。決意もできないこの出来損ないの心臓を抱えて、どこまで行けるというのだろうか。良心の叱責、大人の卑怯さ、焦燥。胸が痛むのはそれだけが原因じゃない事ぐらい、とっくに解っている。

「……ちゃんと、愛してた。忘れない」

けれど、この胸の痛みは決して彼女にはくれてやらない。これはレイヴンが生きていた証、そしてシュヴァーンが存在していた罪。愛しい人を守りたいと思うのは、間違った感情などではない。この痛みが、全てを忘れない傷跡になればいいと、ただ漠然と思う。
愛しい人を、死人になど渡さない。

―――
(尚早へ、焦燥)

※尚早=時期が早いこと。
まだ彼女は幼いから。何もしないよ、できないよ。ごめんね、何もしたくないわけじゃ、ないんだけど。という話。


後半からだんだんgdgdしてくる様にご注目(文章が)。

もしも大好きな人が悪い男に引っ掛かってたら、自分の気持ちを抜きにしても、「やめろよ」って言いたくなりますよね。例えばそう言えなくて、好きな人が泣いていたら、その男、殴り飛ばしてやりたくなりますよね。いくら好きな人が、その男を好きだからって、引き離したくなりますよね。…なりません?女性に訊くのはアレですが。誰が見てるか知りませんが。そして私も女ですが。だから男性の気持ちはよくわかりませんが。
その「悪い男」が自分だったらというだけの、客観的な男の話です。
そしてリタをどう呼ばせるか迷った挙句「彼女」。レイヴンきめえ。

あとリタはちょっとヤンデレになりかけただけです。そんだけです。
好きだから殺した、っていう殺人事件がたまにありますけど、あれの一歩手前みたいな感じ。もちろん、研究者でたった18(三年後の話なので)の女の自分が、元騎士で現役のギルド員の男の首を折れるだとか、締め殺せるだとか、そんな馬鹿なことは考えてません。離れて行かれるくらいだったら自分から、というレイヴンとはまた別の考えで、離れて行かれるくらいだったら"いっそ縛り付けてやる"。いっそこの手で、ってなったらもうヤンデレですけどね。一歩手前一歩手前。相手が無理矢理なくらい強引でいてくれれば、それを受け入れる覚悟はあるのに、自分から強引に行くのは怖くて、「あんたは黙って~」も、精一杯の強がりでしかなかった。
だからあんたなんか嫌いだって、死んでしまえって、好きだと泣きながら首を絞める。死んでしまったらもう、どこに行かれることもなくて、不安になることもなくて、けれどそうしたら二度と、愛しているとは言ってもらえない。
そんな不器用な女の話。あとこのリタ最初の段階では裸だった。まじすんません切腹します。

前置きと更新遅延の言い訳(自分に対して)

2009-07-24 15:37:48 | Weblog
だんだん恥ずかしくなってきた…

レイヴンにシュールな事ばっか言わせてたら
現実的に考えるようになってきちゃって、
だんだん映像が頭に綺麗に浮かぶようになっちゃって、

\(^O^)/

リ…リタやめなさいうわあああああああああ!
恥ずかしくて内容を思いっきり改ざんしたわ!!orz
矛盾があったらそのせいです!!リタごめんね!!

いくら三年後の話だからといってリタはリタで
俺の可愛いリタなわけであってうわあああああ!



ところで三年後のおっさんのイメージが変わらない件。
服とかもずっとそのままなイメージなのは俺だけか。

リタはもう少し背とか髪の毛とか伸びれば萌える(俺が)。
貧にryから脱してるといいね!
あと少女時代の服が大変けしからんので着替えようね!


それだけですさーせん

触れた指先、疑心の道化

2009-07-21 23:10:26 | テイルズ
結んで開いて、近づいては離れてく。そんな関係。

「あたしが好きだって言ってるのよ。いい歳してビビッてないで、黙って傍に居ればいいの!わかった?!余計なことは何にも、考えないでいいのよ!」ずっとしり込みしていた俺に決意をさせたのは、とても18の少女とは思えない強気で、でも彼女らしい台詞だった。こんなプロポーズをされたら、年頃の女の子ならば多少はぐらっと来るのかもしれない。けれど生憎俺は男で、結構に歳を取っていたから、心を持っていかれるところまでは行かなかった。ただ、漠然と好きだと自覚しただけ。ただ、それだけ。それがどんなに大きな分岐点かなんて、彼女は知らないんだろう。

「なに、かんがえてるの」

数歩離れて歩いていたその距離を振り向いて、手を引きちぎろうとしているかのように思い切り掴み青い瞳が覗き込んでくる。不満を露にした表情で、不器用な思いをぶつけて来るところが愛おしいと思う。今も昔も、真っ直ぐ視線を捕らえて離さない。逸らせば不機嫌にすることはずっと前に学んだから、もう二度としない。一方的に握られていた手を握り返して、へらりと馬鹿みたいに笑って見せた。

「リタっちのこと考えてたわよ。情熱的な告白だったわよねえ」

見る間に目を見開いて動揺していく彼女にまだ幼げな印象を覚えて、ついけらけらと笑った。はっと口を押さえたがもう聞こえてしまったのだ、振り上げられた手に身構える。

「…そうね、自分でもそう思う。もうしない」

ひやりとした手が頬に触れた。てっきり罵倒と暴力が待っていると思っていたので、拍子抜けして目を瞬いてしまう。しばらくそうしていると、「何よ、その顔」と彼女は馬鹿にしたように、少しばかり可笑しそうに笑った。
こういう笑みを見ると、本当にたった数年で見違えるほどに大人しく、大人っぽくなったと実感する。置いていかれている気がして怖い。前に進めないまま、まだ立ち止まっている気がして、いつか少女の背が見えなくなるのかと思うと、底知れない恐怖が湧き上る。握った手が、自分自身を嘲笑うように、微かに震えた。やっぱり少し、怖い。

「あんた、ホントに馬鹿ね。どうしようもない」

ふと、彼女がぴしゃりと打ち捨てるように言った。考えを見透かされたように思えて、空いた手で心臓魔導器を押さえてみる。大丈夫まだ生きられる、まだ死ななくていい。当たり前の事を実感して安堵する感覚が、どこか現実離れしていた。
一瞬の沈黙を守りながら彼女の方を見やると、不適な笑みを浮かべている。疑問を持つ前に胸倉を掴み上げられて、もう成長することの無い俺は、成長真っ盛りの彼女に易々と眼前を許した。以前は飛び跳ねても届かなかった目線が、今は僅かな背伸びだけで、絡んでしまう。挑戦的で、悪戯っぽい、年頃の少女の目がこちらをのぞきこむ。

「余計なことは考えなくていいって言ったじゃない。好きじゃないから言わないんじゃないわ、好きだから言わないの。あたし、おっさ…レイヴンを手放す気はないし、他の人に移り気するような女じゃないから」

だから、そんな顔しなくても平気なの。わかった?
有無を言わさない発言に、ぱちくりと数度現実を確かめてから、思考との齟齬を考えた。ちがう、彼女の言っていることは、どう考えても自分の考えを見透かされたのではない。不安を打ち消してくれたわけでも、希望を与えてくれたわけでもない。なのに、なのにどうしようもなく。

「なにあんた、真っ赤。緩みすぎ」

なのにどうしてこうも、頬が緩んでしまうのだろうか。さすがに真っ赤とまでは自覚できない、言われてから気恥ずかしくなって、長い袖で顔を覆って見えなくした。いい年してこんな少女の言葉に惑わされるなんて全く、どうかしてる。けれど彼女の言葉にどうしようもなく高揚したのは紛いようの無い事実で、だからこそひたかくしにするしか方法が考え付かなかった。考えれば考えるほど、穴があったら飛び込んで、二度と出て行きたくない気持ちになる。

「ちょ、ちょお、見ないで見ないで。おっさん照れちゃうよ」
「…ばかっぽい」

冷たい台詞だったけれど、それでもやはり頬が緩む。胸倉から手を離すと、鼻に掛かった笑いを零し、満足したように彼女はコートを翻して先へ行ってしまった。袖のせいで表情は見えなかったものの、クリティアの少女に似た余裕の笑みで笑っているだろうことが容易に想像できる。
置いて行かれないように、華奢なままで確実に成長していく背中を追いかけた。いつか、本当にこの背に置いて行かれる日が来るのだろうか。繋がれたままの手に、そっと力を込める。せめて、こちらから手を離したりはしない。

―――
(触れた指先、疑心の道化)


最初は忘れない傷跡だったのが甘くなってきたので没。
リタはすぐ大人になるよ!だってあの子の妹だもんね!
つるぺたなのだって今のうちだけry(強制終了)



追記:結んで開いて=おててにぎにぎ。にげにげ。
後から読んでみるとおっさんが乙女で地味にイラッとくる。
あと口調が私が書いたせいで若干といわず完全なまでに
レイヴンじゃなくてシュヴァーンじゃねーか(問題発言)

関係なくなってるけど「忘れない傷跡」は
「忘れられない」んじゃなくて故意に「忘れない」という。
いや、それが言いたかっただけでry

忘れない傷跡/過去に生く人、未来に逝く人

2009-07-21 12:03:59 | テイルズ
「嬢ちゃん、泣いてたわよ」
「おっさん」

エステルが走り去るのと入れ替わりに、いつもの衣装を緩く纏ったレイヴンがこちらへ向かってきた。エステルとすれ違いざま普段見せないような驚きの目をしていたのがわかって、微かに笑えてくる。こんなにも心から乾いた笑いを零したのは騎士団を辞めたあの日以来で、懐かしく苦々しい感情が毒の様に広がった。
レイヴンは仕方が無い、とでも言うような顔をしながら無遠慮に隣へ腰掛けて、こちらを哀れむような視線で見ていた。

「どうしてそこまで我慢するかね。おっさんには理解できんわ」

たはは、と情けない笑い声を零して、レイヴンは自分のつま先に視線を落とす。横顔を見ていると何故か殴りたくなるのは、おそらく出会いが悪かったせいだ。
我慢。そう聞いても、どうもしっくりと来ない。何かを押し殺しているつもりはないし、ましてや先程は自分の気持ちを誤魔化したわけじゃない。自分のやったことは間違っているとわかっているし、ほとんど開き直っている。良心の叱責やら現実との齟齬で苦しんでいる事は、ないはずなのに。この男の目には、自分はどう映っているのだろうか。
遠くを見つめて、そのまま帰って来なさそうなレイヴンに、声を投げかけてみる。

「…おっさんは、わかるだろ。俺みたいな人間の手は、汚れてる」
「汚したくなくて笑ってて欲しくて、…でも結局、そういう気遣いが傷付けることになるのよね」

責め立てるような声色だった。その相手はレイヴン自身か、俺なのか。横目で見やられてどきりとする、どこまで、見透かされているのだろうか。ないしはかまを掛けられているのかもしれない。本当は知らないと、無用心な事を言えば笑われるような気がする。けれど頭はおかしいほどに冷静で、神殿で笑ったレイヴンはこんな気持ちだったのだろうかと思いを馳せてみた。

「わかってんじゃねえか」
「まあね、おっさんにも色々あるのよ」
「手を出しちゃいけないって思う事がか?」

今度は、こっちから訊いてみる。すれ違ったエステルを見たような目をしてから、レイヴンは鼻にかかった笑いを零した。「ほんと、若人には敵わないねえ」と、限定もせず呟かれる。俺じゃない誰かに向かっても言っているような声色で、諦めた表情をしていた。
おそらくレイヴンが心の中で話しかけた相手が誰なのか、俺は知っている。けれど相手を口にしてはきっとレイヴンは逃げ出すだろう、だから何も言わない。あいつはきっと、それを望まない。答えを出すのは、苦しみながらもだえ休む、このおっさんだ。見ているだけで何もしない俺は、ずるい。

「そうね。けど、おっさんはもう決めたわよ。せっかく生きてるんだから、立ち止まってちゃ勿体無いでしょうよ」

そう言ってレイヴンは、勢いをつけて立ち上がった。レイヴンは、俺のことに対して何も言わない。いっそ蹴り飛ばして馬鹿野郎と言ってくれるフレンの方が、こういう時は楽だ。俺の代わりに俺を責めてくれる、何の遠慮も無い罰が欲しかったのかもしれない。誰も許さないで欲しい、後悔はしたくなった。後に引けなくなるような、そんな確証が欲しい。けれど、レイヴンは、決して何も、言わない。

「…おっさんは先に行くわ。青年も早く、追いついといで」

後ろ手に手を振りながら不埒に歩き去る背中を、呆然と見た。先に行く。俺も早く先へ。それは、許されることなのだろうか。殺めた人間を忘れて、この先自分が幸せになるなんて事が、許されてもいいのだろうか。罪を背負って一度死んだレイヴンとは似て異なる罪がずっと、足元に絡み付いて離れない。
そろそろ離してくれよ、なあ。憎々しげに歪んだ表情をする、いつかの死に顔に語りかけてみた。俺はきっとあの日から、一歩も動けちゃいないのだろう。

―――
(過去に生く人、未来に逝く人)
かこにいくひと、さきにゆくひと


自分語りが多すぎて気持ち悪い。なんだこれ。
過去に生く人がユーリ、未来に逝く人がレイヴン。
文中のレイヴンの呼び名をおっさんにするかどうか
ちょっとばかし悩んだが結局レイヴンにした。

忘れない傷跡/翻る流れ星

2009-07-21 10:27:46 | テイルズ
「好きです」

星屑に向かって、ぽつりと呟いた。風もなく鳥も居ない、魔物の気配もないこの場所で、けれど聞こえていなければいいと微かに思う。聞いて欲しくて言ったのに、その答えを聞くのは怖い。
もう一度、声には出さないで言ってみる。すきです。ユーリ、すきです。星から目を離して隣に座るユーリに視線を落とすと、とても困ったように笑っていた。それでもじっと視線を逸らさず見つめていると観念したのか面倒になったのか、不意に顔を逸らされてしまう。

「…俺も、好きだぜ」

平坦な、愛想の様になぞる言葉。好きという響きはどうしようもなく鼓動を跳ねさせたけれど、求めた意味で言われているのではないという事ぐらい、いくら私でもわかってしまった。口惜しさに指先を握り締めて、大声で叫びだしてしまいそうなのを必死に堪える。唇が震えているのが、わかった。

「ユーリの言っている好きと私の好きは、全然ちがいます」

拗ねた声色で、訴えかけるように言う。「そうだな」小さな声で相槌が返ってきたのに、さっきからずっと独り言を言っている気分になる。ユーリの隣は落ち着く。けれどそれと同じくらい、苦しくなる。握り締めた手が痛い。
泣きそうになるくらい募った思いは、たとえばゆっくりと伝えていくべきもので、一度にぶつけたら、ユーリは逃げてしまうのかもしれなかった。いつだってそう、私のわがままにユーリは何も言わない。何も言わずに受け入れてくれるから、時折錯覚しそうになる。本当はユーリなんて人は居なくて、私は一人きりで、何もかも、夢だったんじゃないかなんて、考えることがある。それくらい、ユーリは冷たい人だ。

「なあ、エステリーゼ様。俺はただの下町育ちで、あんまり褒められた事はしてねーんだ。だから俺なんて好きになるなよ、俺より、フレンみたいな男を選んだ方がいい」
「嫌です!!」

大声を上げた私に驚いたのか、ユーリは目を丸くして少し身を引いていた。フレンが嫌いなわけではないけれど、だからといって、私はフレンの事を、ユーリに対するように好きなわけでもない。もどかしくて涙が浮かぶから、落とさないように瞬きもせずユーリをしっかり見ていなければならない。少しの表情の変化でも、わかってしまう。

「…っはは、フレンも嫌われたもんだな」

また困ったように笑って、見当違いなことを言う。誤魔化しているのか、それとも触れないようにしているのか。どちらにしろ悪い想像しかできなくて、本当に、違う。ユーリには何も、伝わっていないのだと、悲しくなった。

「ちがいます。…下町とか、そんなの、どうでもいいんです。大好きなんです、ユーリ…」

物語の中の恋愛はもっと甘くて、苦しいことなんて何もなくて、ただ、幸せなだけの世界。独り言として呟くと、もう何も言われることはなかった。好きな人が自分自身を好きになってくれる確率なんて、きっとこの手に流れ星が落ちるくらい少ないのだろう。ユーリは笑っていて、私は泣いていて。凛々の明星が煌くそんな夜。苦くて甘い、恋をした。

―――
(翻る流れ星)

三年後くらいで。エステルが20?ユーリが24。
リタは18歳でおっさんがさんじゅうは、なんでもない←

それにしても今日のはひどすぎる\(^O^)/

忘れない傷跡

2009-07-21 01:37:43 | ネタ張
誰も報われないヴェスペリアが書きたくなった衝動的に←
自分の体験を元に書いてみたくなったあー。
つまり全部自分(きもちわるい)

エステル→ユーリとリタ→←おっさんで、
ユーリは公式通りエステルに恋愛感情はない。
好かれてると気付いてて知らないふりしてる。
おっさんはおっさんで好きっちゃ好きだけど
将来ある子供に死人が手ェ出しちゃいかんと。

ユーリの恋愛観が物凄い特殊で、基本的に誰も好きじゃない。
先入観なんてものはなくて、だから好きって言われないと、
そういう対象として人間を見ることすらしようとしない。
なんか、フレンの方がエステルには似合うんじゃないかとか、
本人の意思とか関係なしに、勝手なことばっか言ってる人。
それにエステルの事は関係性とか立場とか、罪とかで色々あって、
それが邪魔をして絶対に好きになることはないと思い込んでる。
だから、実際に好きかどうかなんて誰にもわからない。
エステルが、ユーリを好きなのを忘れてしまうまで、待ってる。

エステルは、もう盲目的にユーリの事が好き。
ユーリに気持ちがバレているのに気付いているけれど、
何の反応もしてくれないユーリが歯がゆくてたまに頑張ってみる。
でもその度に軽くかわされてしまっていて、苦しい思いをしてる。
そのうち政略結婚が決まって、ユーリが好きなまま結婚して、
そう遠くない頃に、「ああ、あの人のことが大好きだった」と、
泣きそうになってみたりする。そんな未来。

リタは憧れと興味と、嫌いと好きの区別がつけられない。
追いかければ追いかけるほどバックステップで逃げていくから、
またダッシュで追いかける。でもやっぱり、逃げられる。
ツンデレ特有のあのあからさまな好意の漏れだしがあるから、
おっさんには気付かれてるけど、リタは気付けるほど余裕がない。
たまに「あれ?」と思うことはあるのに、大人はずるいから、
その度に笑って誤魔化す。へらへらしてばかみたいだと思ってる。
ようやく思いが通じ合ったとしても、やっぱり大人はずるくて、
自分を守る為に気遣うフリをして、痛いのも苦しいのも我慢して、
子供には何も言わないで、勝手に逃げてっちゃう。
守られて守られて守られて、結局守る腕に傷つけられる女の子。

おっさんは漸く人を好きになれたのに、それが20歳も下っていう。
自分はもう死んでいて、ものすごく年上で、不埒で、裏切り者で、
一度好きな子を傷つけたことがある。だから、あんまりだろうと。
好かれてるのもわかるけど、やっぱり受け止めてあげられない。
でもやっぱり好きで傍に居ることにしても、手を出したりとかは、
絶対にだめだと自制して、リタを不安にさせたり、泣かせたり。
そのうち「未来のある子供に何をやってるんだ」と現実に戻っちゃって、
リタはそのままのおっさんでいいと言うけれど、勝手に思いつめて、
心臓魔導器の不調を言わないままにして、ある日一人でいなくなる。
リタの未来を残すふりをして、全部もったまま逃げちゃう。
忘れないでよって言えないから、傷付けて、泣きながら、笑ってよっていう。
最後まで"ふり"ばっかりしてるずるい大人。



おっさんが一番長い件。それにしても私の妄想は相変わらずネガティブゲイトだな。むしろネガティブ・ネストだな。ブラッディハウリングもいけそうだっていう。なんか、出せるんじゃね?!小説音読したら、魔術出るんじゃね?!←

SOW再びみたいな…

2009-07-21 00:48:38 | ネタ張
映画じゃない。こわい映画じゃなくて。

ほぼ考えだけで終わった「Sacrifice of World」のことです。ブログ検索すればきっと引っ掛かる。TOSのパラレル世界のSOW。妄想が行き過ぎてて残念なことになってるけど^q^ww

サイト巡りしてたらふっと「レイヴンがリタに短剣を突きつけて脅してる図(!)」が浮かんで、そこから色々考えた結果シュールな話が浮かび上がったというだけの話。
つまりTOVのパラレル←


人魔戦争は終わったけど、今度は帝国とギルドの戦争が起ってる空想上のテルカ・リュミレース。人魔戦争の時、エルシフルを殺されたたのがきっかけで、デュークがギルド側に傾いて(ほんの一瞬)、その後始祖の隷長の方へと行ってしまった。
けれど帝国としてはそれはもう好都合で、ギルドは元々目障り。デュークがギルドに傾いてくれたおかげで「反抗の意思」という言いがかりをつけて、戦争を始めることができた。
デイドン砦から上は中立都市だったのが、戦争のせいでイキリア大陸(帝都のある大陸)は帝国の傘下に収められることになる。ただしアスピオには抜け道や隠れ家的な場所が多く、一部の魔導師は密かにギルド側に肩入れしている。
トルビキア大陸は半ば(本編中でのヘリオード)まで帝国の領土になっていて、カルボグラムでは帝国の武器開発が行われている(敵に攻め落とされたとしても自爆でき、万が一爆発が起きても帝国には何の被害も無い位置にあるため)。対しギルドは一歩も引くことなくダングレストに根城を置き、ドンもそこに居座っている。ギルドもトルビキア大陸南に兵器としての塔をつくっている(ガスファロスト)。
デズエール大陸は完全にギルドの傘下であり、いざという時のためにベリウスが備えている。マンタイクより先は「未知の領域とされている(本編とは違う)」。
ウェケア大陸はエンテレケイアの棲家とされ、どの種族もそこを侵してはいけないとされている。
ユルゾレア大陸は十年前に滅んだと言われる種族、クリティアが棲んでいるという伝説があるが、誰も確かめた者はいない。うわさでは、そこには古代の技術で発展した都市があるらしい(本編には存在しない)。
そしてピピオニア大陸にはオルニオンという中立"っぽい"街がある。栄えてはいるが、人によって帝国へ肩入れしていたり、ギルドに肩入れしていたりする。だがお互いに不干渉を貫いている自由都市のため、争い事はなく今のところどこにも侵略されていない。

また、人魔戦争の傷跡も残っている。
エルシフルを殺す任務を負った小隊があり、その隊のうち十二名は任務中に死亡。残り三十八名のうち三十六名は帝国が証拠隠滅のために出した追っ手(ザギ)により殺害、うち二名(言うまでもなくユーリとフレン)が行方不明となり、その隊の隊長は極秘任務達成の功により出世、今では騎士団長主席の位置についている(シュヴァーン)。

ユーリはオルニオンに住む「罪人」。
フレンはオルニオンの自警団を率いている。
エステルは帝都に住むもの知らずの皇女様。
カロルはギルド側の人間として、あまり戦争の激しくない地区に派遣されたりしている。つまり幼いながらも兵士(ナン・ティソンや魔狩りの剣首領も同じく)。
リタはアスピオの地下(洞窟の地下に掘られた隠し砦)に住む、ギルド側に肩入れしている(と思われる)魔導師。物語序盤で誘拐される。
レイヴンはシュヴァーン(そんだけ←)。
ジュディスは人魔戦争で帝国に滅ぼされたクリティアの遺志を継ぎ、帝国への復讐のためにアスピオのある魔導師と繋がっている。だが表向きは帝国騎士団の遊撃手であり、度々ユーリの行く手を阻む。


…とかいう物語をものすごい考えてた。すみませんでした。



追記:テイルズオブヴェスペリアのキャッチコピー考えた
叶わない年の差恋愛に悶えるRPG

すんませんでしt(メテオスォーム