沖縄の公認会計士佐藤晃史のブログ

沖縄で医療機関支援、事業承継、相続対策に強い会計事務所を経営している佐藤晃史のブログです

個人開業医の法人なりのメリットとデメリット

2012-10-24 14:30:19 | ドクターの節税
診療所または歯科診療所のを営む個人開業医の方が、医療法人成りする場合のメリットとデメリットをまとめてみました。

1.メリット
(1)理事長(院長)をはじめ、その家族全体の節税効果が期待できる
院長が理事長に就任し、家族を理事に就けて役員給与を支給することにより、所得分散効果が得られる。
加えて、役員給与はその全額が所得になるのではなく、収入金額に応じた給与所得控除があるため、
課税所得金額が圧縮される。

(2)役員退職金の支給が可能
個人事業の場合は、院長先生に退職金を支払うことはできないが、法人化することで役員退職金を支給でき、
適正額であれば、全額が損金となる。

(3)生命保険料の損金算入
個人事業の場合、院長先生が支払う生命保険料は年額4万円しか所得控除されないが、法人で加入した場合は
掛け捨て保険なら保険料全額を、逓増定期保険や長期平準定期保険であれば、保険料の半分を損金とすること
ができます。

(4)事業承継に際して相続税が課税されない
現在、設立できる医療法人は出資持分なしの医療法人であるため、出資金を後継者に承継する場合に
相続税が課税されない。

(5)老健施設等の運営が可能になる
医療法人化することで、本来業務として老健施設を開設できるほか、附帯業務として以下の業務を行うことができる。
・訪問介護ステーション
・疾病予防運動施設・疾病予防温泉利用施設
・グループホーム
・有料老人ホーム
・サービス付高齢者住宅

(6)事業資金とプライベート資金の分離ができる

(7)社会保険診療報酬支払基金からの入金の際、源泉徴収されない
個人の場合は、源泉徴収されるが、法人化すると源泉徴収されないため、毎月の入金額が増加し、資金繰りがスムーズ
になる。

2.デメリット
(1)所得が分散するため、理事長個人の可処分所得は減少する
 
(2)持分のない医療法人が解散する場合は、残余財産が国等に帰属することになる

(3)小規模企業共済に加入している場合は脱退する必要がある

(4)交際費の一部が損金不算入となる
仮に年間交際費200万円とすると、以下の金額が損金にならない。
200×0.1=20万円 

(5)地方税の均等割負担が生じる
県民税5万円、市町村民税2万円の負担となる

(6)事業報告書等の作成負担が生じ、経営状況がオープンになる
医療法人は毎会計年度終了後2か月以内に事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書、その他省令で定める書類(事業報告書等)を
を作成し、3か月以内に監事の監査報告書を添付して県知事に提出しなければばらなくなる。
この事業報告書等は誰でも閲覧が可能であり、経営状況がオープンになってしまう。

(7)登記手続きが必要
医療法人は設立時はもちろん、その後の変更事項をすべて登記しなければならない。

(8)医療法人設立コスト
医療法人を設立する場合は、県知事に対し、設立認可申請をしなければならいないが、そのほかにも、税務署、法務局、保健所、
地方厚生局、県税事務所、市町村、年金事務所、その他への手続きが必要である。これらの手続きを専門家に依頼する場合、相応
のコストがかかる

4年落ちの中古車を購入して節税する

2012-09-26 21:36:17 | ドクターの節税
4年落ちの中古車を購入して、節税する方法をご紹介します。

中古資産を購入した場合の減価償却費を計算するには、今後の使用期間を見積もって耐用年数とすることが原則ですが、今後の使用期間を見積もることが困難な場合には、下記の計算によることができます。

<計算例>

法定耐用年数が6年で、経過年数が4年の中古車を購入した場合の見積耐用年数

(計算)

(1)法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数
 6年-4年=2年

(2)経過年数10年の20%に相当する年数
 4年×20%=0.8年

(3)耐用年数
 2年+0.8年=2.8→2年(1年未満切り捨て)

つまり、新車で購入した場合の耐用年数は6年で、4年落ちの中古車の耐用年数は2年となります。

次に、決算期9月の医療法人が平成24年10月1日に500万円の車を購入した場合の償却費を計算してみます。

1.新車
減価償却費=500万円×0.333(耐用年数6年の償却率)=1,665,000円

2.中古車(4年落ち)
減価償却費=500万円×1(耐用年数2年の償却率)=500万円

以上の計算でわかるように、同じ価格の車を買った場合でも、中古車の方が新車より、損金にできる金額が3倍も大きいことがわかります。
この計算式のポイントは、定率法で償却する場合、耐用年数2年の資産は1年で償却できるという点です。

この節税方法を利用する場合に注意するポイントは以下の通りです。

1.決算期の翌月に購入する
減価償却費は、当該資産の使用期間に対応する分が損金になりますので、取得金額全額を損金にするには、決算月の翌月の末日までに使用を開始する必要があります。

2.新車登録後3年10か月以上経過した中古車を購入する
中古車の場合、登録後3年10か月経過すると、見積耐用年数が2年となるため、取得額全額が損金となります。

開業医のみなさん、旅費規定を整備していますか

2012-04-27 13:41:43 | ドクターの節税
開業されているドクターのみなさんは、学会や研修などで、国内外への出張の機会が多いと思いますが、出張旅費の他に日当を受け取っていらっしゃいますか。

学会等に出席するために必要な旅費や日当は、医師としての業務を遂行するために必要と認められている費用です。

出張に必要な経費(交通費、宿泊費)は、通常、実費精算しますので、特に旅費規定を作成していなくても、必要経費とすることに問題はありませんが、日当を支給するには、旅費規定を整備しておく必要があります。

旅費規定には、例えば、医療法人の理事長が国内に出張する場合、交通費は実費精算、宿泊費は15,000円/泊、日当10,000円/日などと記載します。

こうすることで、2泊3日で国内学会に出張する場合、宿泊費15,000円×2=30,000円、日当10,000円×3日=30,000円を医療法人から理事長に支給することができ、この経費は医療法人側では損金になるとともに、理事長側でも原則として給与課税されません。さらに細かく、朝7時以前に自宅を出て、夜8時過ぎに帰宅するような出張であれば、早朝加算や夜間加算も可能です。

沖縄はどこに行くにも、出張費がかさみますので、旅費規定を作成して、少しでも節税したいものです。

なお、国内外を問わず、出張に観光をプラスしたり、家族を同伴したりした場合は、観光に係る費用部分や家族の旅費部分は損金にはなりません。

観光をプラスしたり、家族を同伴する場合は、損金になる学会部分の旅費とそれ以外の部分を明確に区分できる資料を保存整理しておくことが必要です。

開業医のみなさん、小規模企業共済に加入していますか

2012-04-24 10:26:42 | ドクターの節税
当事務所では、開業医のお客様の節税策として。「小規模企業共済」をお勧めしています。

小規模企業共済は、経営者(個人事業主、会社経営者)が加入できる退職金積立制度で、以下のような特徴を備えています。

1.掛金は毎月1,000円~70,000円の範囲内で自由に決めることができ、全額が所得控除になるため、節税対策として有効です。

2.退職時に受け取る共済金は「退職所得」又は「公的年金等の雑所得扱い」となるため、受取時の税金も優遇されます。

3.納付した掛金合計額の範囲内で事業資金貸付制度を受けることができます。

4.本共済制度は、国が全額出資している中小企業基盤整備機構が運営しているため、安心・確実です。

同じような商品特性を持つ民間保険会社の「個人年金」については、年間保険料をいくら支払っても、毎年所得控除限度額は4万円です。
一方、小規模企業共済では、毎月制度上限の7万円をかければ、年間84万円の所得控除を受けることができるのですが、その差は歴然です。

ただし、加入できるのは、従業員5人以下の場合に限られますので、もし、クリニックの従業員が5人を超える場合は、MS法人又は資産管理会社を設立することで加入可能になります。

<節税例>
診療報酬7,000万円、課税所得2,000万円の開業医のお客様の場合、「小規模企業共済」に加入し、掛金を年間84万円支払うことで、毎年42万円の節税となります。
さらに、掛金の84万円は、掛け捨てではなく積立であるので、退職時に掛金+αで受け取ることができます。

当事務所では、ドクターのお客様向けにの総合的なファイナンシャルプランを提案しています。初回ご相談は無料ですので、どうぞお気軽にお問い合わせ下さい。