沖縄の公認会計士佐藤晃史のブログ

沖縄で医療機関支援、事業承継、相続対策に強い会計事務所を経営している佐藤晃史のブログです

国税庁がタワーマンション節税に注意喚起

2015-11-09 11:51:53 | 相続税・贈与税
先日開催された政府税制調査会において、タワーマンション節税に関する指摘がされたことを受けて、国税庁がタワーマンション節税に関する注意喚起を行いました。

内容としては、実質的な租税負担の公平の観点から看過しがたい事態がある場合は、財産評価基本通達6項を適用するということです。

「財産評価基本通達6項」とは、以下のような通達です。

「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。」

つまり、たとえ、財産評価基本通達に定められた方法によって、タワーマンションを評価しても、それが著しく不適当と認められれば、否認するこということです。

私の事務所では、これまでも相続税節税目的ONLYのタワーマンションの短期所有には、慎重な立場をとっていました。

ただ、沖縄のお客様が、大学生のご子息の東京での住居として、タワーマンションを購入し、ご子息に住まわせるような利用の仕方(長期保有前提)ではあれば、合理的な目的がある不動産の取得に
あたりますので、なんら問題ないものと思います。

この例のように、タワーマンション取得の時期と理由に合理性があり、結果として相続税の節税になるものではあれば、いたずらに、否認を恐れるものでもないと思います。

今後は、「国税庁が考える著しく不適当と認められる財産の評価」の事例を検証し、万が一にも、私の事務所のお客様が不利益を被ることがないように、研究を重ねていきたいと思っています。

一般社団法人を資産管理会社や持株会社として活用する手法

2015-10-13 16:08:06 | 相続税・贈与税
相続税対策及び事業承継対策として、資産管理会社を活用する方が増えており、私どもの事務所のお客様でも、相当数のお客様が資産管理会社もしくは持株会社を設立し、活用されています。これまでは、資産管理会社というと、株式会社か合同会社を設立していましたが、最近では、一般社団法人を選択される方も増えてきています。

一般社団法人とは、どのような法人でしょうか。
一般社団法人とは、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に基づいて設立された法人のことで、一定の目的で社員が集まった団体であり、設立の登記を行うだけで誰でも簡単設立することができます。

一般社団法人の一番の特徴は、持分のない法人であるということです。一般社団法人は持分がないため、法人が持っている財産に相続税が課税されないという大きなメリットがあります。そのため、一般社団法人を親族内で支配し、そこに財産を所有させていれば、それらの財産が相続税の課税対象から外れることになります。

また、一般社団法人は、持株会社として利用すると、事業承継対策としてとても有効です。
現オーナーが保有する自社株式を一般社団法人に譲渡すると、譲渡の際には20%の税金(所得税+住民税)が発生しますが、一度、一般社団法人に自社株式を譲渡してしまえば、それ以降、自社の株主は100%一般社団法人になります。つまり、自分の会社には個人株主がいなくなるので、事業承継を何回行っても、相続税が課税されることはなくなるわけです。

事業承継時は、単に一般社団法人の社員としての地位を交代するだけで完了してしまうのです。

一般社団法人を活用した事業承継は、比較的伝統のある株価の高い会社で、今後も何十年にわたって、親族で事業を承継していこうと考えている企業オーナーにはとても有効なスキームです。

沖縄県内で、一般社団法人を活用した相続、事業承継対策を検討したいとお考えの企業オーナーの方は、ぜひ、お問い合わせください。

相続財産は法人化で残しなさい

2012-04-23 16:33:44 | 相続税・贈与税


国税OBの税理士であり、相続を専門にされている阿藤芳明先生が書かれた「相続財産は法人化で残しなさい」(幻冬舎・経営者新書)を週末に読んでみました。

所有財産のほとんどが不動産である資産家の方が、不動産管理会社を設立・運営する場合の注意点が、税務書OBの視点から、より具体的にコメントされている点がとても参考になりました。

不動産管理会社の類型には、「不動産管理型法人」と「不動産所有型法人の」の2種類がありますが、「管理型法人」は既に過去の遺物であり、現在では「所有型法人」を作ることが相続対策上、効果的であるというのが、この本の著者の主張です。

「不動産所有型法人」を作る場合には、将来被相続人となる親ではなく、相続人となる子供が出資をして、親から収益物件の建物のみを購入し、収益物件から入る収入を子供たちに分配するスキームを推奨しています。

このスキームでは、譲渡する個人側の譲渡所得税と取得する法人側の不動産取得税と登録免許税が問題になりますが、譲渡益が出ず、かつ不動産取得税と登録免許税が安い建物のみを譲渡することがポイントになっています。

この方法は、何も当該著者が考えたスキームではなく、相続対策を行っている会計事務所では、普通に行っているものですが、このスキームを国税側から見た場合、どのようにうつるのかというポイントが書かれているため、大変興味深く読むことができました。

本書は全159ページの新書であり、専門家であれば、1-2時間で読んでしまう程度の内容です。一般の方が読んだ場合でも、一部難しい箇所もありますが、1-2日で読破可能であると思います。

当事務所では、相続対策が必要なお客様に対して、オーダーメイド型のスキームを構築し、実施の支援を行っています。初回ご相談は無料ですので、気軽にお問い合わせください。


贈与税改正の動向

2012-02-29 13:05:29 | 相続税・贈与税
本日は、「社会保障・税一体改革大綱」の中から、贈与税に係る改正部分について取り上げます。

贈与税については、高齢者が保有している金融資産を消費性向の高い若年世代に早めに移転させることで、需要を喚起することを目的として、平成27年1月1日以後の贈与から、以下の2つの改正が行われる見込みです。
1.贈与税の税率構造の見直し
20歳以上の者が直系尊属(父母、祖父母)から贈与を受けた財産については減税となります。
これまでであれば、1,000万円超の贈与を受けると、1,000万円超部分については50%の税率が適用されていました。
改正されると、50%税率が適用となるのは、3,000万円超からであり、相当程度、減税となっています。
以下500万円、1,000万円、1,500万円の3パターンについて、贈与税額を試算しましたのでご参考にどうぞ。

贈与財産500万円の場合→53万円から48.5万円へ4.5万円減税
贈与財産1,000万円の場合→231万円から157万円へ74万円減税
贈与財産1,500万円の場合→470万円から333.6万円へ136.4万円の減税

上記以外贈与財産に係る贈与についても税率構造が改正となります。
上記以外の贈与では、これまで、1,000万円超の金額について税率は50%だったのですが、これが緩和されて、1,500万円以下は45%、1,500万円超3,000万円以下は50%となります。しかしながら、3,000万円超の金額については55%と増税となるので、注意が必要です。

2.相続時精算課税制度の適用要件の緩和
受贈者の範囲について、20歳以上の孫(現行は推定相続人)が追加されます。

贈与者の年齢要件が60歳以上(現行は65歳以上)に引き下げられます。

上記の改正により、60歳以上の親から、20歳以上の孫に対する贈与について、2,500万円までは贈与税負担なし、2,500万円超については超過分について20%の贈与税を支払うことで(相続時に精算は必要)に贈与できることになります。

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相続税改正の動向

2012-02-28 16:47:58 | 相続税・贈与税
「社会保障・税一体改革大綱」2月17日に閣議決定されました。
消費税の税率の引き上げや相続税・贈与税の見直しなどの改正事項が、税制抜本改革関連法案として、いよいよ法案として国会審議入りすることになります。

今回の改正は多くの重要事項を含んでいるため、何回かに分けて、税目別に解説していきたいと思います。

本日は相続税です。

相続税の改正のうち、納税者にとって影響が最も大きいのは基礎控除の縮小です。基礎控除については、平成27年1月以降、40%縮小される見込みです。法定相続人3人の場合は、非課税ラインが8,000万円から4,800万円まで下がります。2千万円程度の金融資産と自宅のみが相続財産という場合は、これまでは相続税の心配はありませんでしたが、今後は地価の高い場所に自宅を所有している方は相続税の心配が必要になりそうです。

さらに、死亡保険に係る非課税限度についても、見直しが予定されています。これまでは500万円×法定相続人分だけ非課税枠がありましたが、今後は500万円×(法定相続人のうち未成年者、障害者又は相続開始直前に被相続人と生計を一にしていた者の数)になります。つまり、独立して別生計になっている子供についてはカウントしないということになります。
現在、死亡保険金の非課税枠を前提として生命保険に加入されている方は、この機会に見直しをしましょう。

加えて、相続税の税率構造も改訂が予定されています。課税財産が2億円まではこれまでと同様ですが、2億円を超えると税率がアップし、最高税率(6億円以上55%)もこれまでの50%から5%アップになります。相続財産2億円超と見込まれる方につきましては、節税対策を検討したほうがよいでしょう。

民主党政権は、資産家向け課税を強化することで、所得の再配分を強化することを明確に打ち出してきています。

数多くの資産家向け節税コンサルティング及び事業承継対策コンサルティングの経験をもつ当事務所と一緒に、早め、早めに対応策を打つことで、増税の波を乗り切っていきましょう。

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