会社オーナーが自身が保有する自社の株式を後継者に渡したいと考えたときにまず最初に問題になるのは、税法上の自社株の評価額がどのくらいになるかということでしょう。
30年前に資本金1,000万円(発行済株式数1,000株を全株オーナーが所有)で設立した会社の株式を子供に贈与する事例で具体的に考えてみましょう。
1.現在の株価・・・10万円/株
2.子供が支払う贈与税・・・4,720万円
(計算過程)
(10万円×1,000株-110万円)×50%-225万円=4,720万円
上記の事例では、単純にオーナーが所有する自社株式全部を一度に子供に贈与すると、とんでもない金額の贈与税が課税されることがわかります。
このように多額の贈与税が課税されるのは、当初1株1万円であった自社株が、贈与時には10万円と10倍にも上昇していたことが原因です。
そこで、税負担を軽減するには、株価を引き下げればよいことがお分かりいただけるかと存じますが、今回は、株価を引き下げる方法をいくつか
ご紹介したいと思います。
1.利益を引き下げることで株価を引き下げる方法
株式を上場していないオーナー企業の株価は、利益、配当、純資産の3要素で決定されますが、中でも利益の影響力が他の2要素よりも圧倒的に高いため、一時的に利益を引き下げることで、株価自体を引き下げることが可能です。
具体的には、以下のような方策により、利益圧縮を行います。
(1)役員退職金の支給
オーナー社長が退任すると同時に、退職金を支給することにより、株価を引き下げることが可能です。
ただし、オーナー企業では、オーナー社長が実際に退職してしまうと、企業経営に支障をきたすケースがほとんどですので、オーナー社長がよほど高齢でかつ後継者が十分に成熟している状況でなければ、実際の活用は難しいと思います。
そこで、実務では、以下で説明する役員生命保険がよく利用されています。
(2)役員生命保険を活用する方法
オーナー社長が現在は退職できないが、10年後であれば可能であろうと想定される場合に、10年後に解約返戻金がピークを迎える逓増定期保険等(保険料の1/2損金が損金になり、解約返戻率も高い生命保険)に加入します。
10年後に2億円の役員退職金の支給をしたい場合には、年間保険料2,000万円の逓増定期に加入します。この保険加入により、10年間で保険料支払い合計額は2億円となり、解約返戻金を仮に2億円とすれば、まず、役員退職金の支給原資の確保ができることになります。
次に毎年支払う保険料2,000万円の1/2は法人の損金となりますので、毎年の利益を1,000万円押し下げるため、株価を引き下げる効果を発揮します。さらに、法人の貸借対照表上、10年間で合計2億円の預金が減少し、保険積立金が増加しますが、保険積立金の評価額は保険料支払累計額を下回りますので、純資産が減少し、さらなる株価引き下げ効果を発揮することになります。
なお、10年後にこの保険を解約し、オーナーに役員退職金を支給すると保険解約益1億円が発生しますが、役員退職金支給額2億円が全額損金となりますので、保険解約による税金支払いはありません。
なお、利益引下げによる株価引き下げ方法には、以下の方法もあるが、長くなるため、次回のブログで説明したいとおもいます。
(3)オペレーティングリースを活用する方法
(4)有価証券や不動産の含み損を活用する方法
(5)即時償却や特別償却を活用する方法
30年前に資本金1,000万円(発行済株式数1,000株を全株オーナーが所有)で設立した会社の株式を子供に贈与する事例で具体的に考えてみましょう。
1.現在の株価・・・10万円/株
2.子供が支払う贈与税・・・4,720万円
(計算過程)
(10万円×1,000株-110万円)×50%-225万円=4,720万円
上記の事例では、単純にオーナーが所有する自社株式全部を一度に子供に贈与すると、とんでもない金額の贈与税が課税されることがわかります。
このように多額の贈与税が課税されるのは、当初1株1万円であった自社株が、贈与時には10万円と10倍にも上昇していたことが原因です。
そこで、税負担を軽減するには、株価を引き下げればよいことがお分かりいただけるかと存じますが、今回は、株価を引き下げる方法をいくつか
ご紹介したいと思います。
1.利益を引き下げることで株価を引き下げる方法
株式を上場していないオーナー企業の株価は、利益、配当、純資産の3要素で決定されますが、中でも利益の影響力が他の2要素よりも圧倒的に高いため、一時的に利益を引き下げることで、株価自体を引き下げることが可能です。
具体的には、以下のような方策により、利益圧縮を行います。
(1)役員退職金の支給
オーナー社長が退任すると同時に、退職金を支給することにより、株価を引き下げることが可能です。
ただし、オーナー企業では、オーナー社長が実際に退職してしまうと、企業経営に支障をきたすケースがほとんどですので、オーナー社長がよほど高齢でかつ後継者が十分に成熟している状況でなければ、実際の活用は難しいと思います。
そこで、実務では、以下で説明する役員生命保険がよく利用されています。
(2)役員生命保険を活用する方法
オーナー社長が現在は退職できないが、10年後であれば可能であろうと想定される場合に、10年後に解約返戻金がピークを迎える逓増定期保険等(保険料の1/2損金が損金になり、解約返戻率も高い生命保険)に加入します。
10年後に2億円の役員退職金の支給をしたい場合には、年間保険料2,000万円の逓増定期に加入します。この保険加入により、10年間で保険料支払い合計額は2億円となり、解約返戻金を仮に2億円とすれば、まず、役員退職金の支給原資の確保ができることになります。
次に毎年支払う保険料2,000万円の1/2は法人の損金となりますので、毎年の利益を1,000万円押し下げるため、株価を引き下げる効果を発揮します。さらに、法人の貸借対照表上、10年間で合計2億円の預金が減少し、保険積立金が増加しますが、保険積立金の評価額は保険料支払累計額を下回りますので、純資産が減少し、さらなる株価引き下げ効果を発揮することになります。
なお、10年後にこの保険を解約し、オーナーに役員退職金を支給すると保険解約益1億円が発生しますが、役員退職金支給額2億円が全額損金となりますので、保険解約による税金支払いはありません。
なお、利益引下げによる株価引き下げ方法には、以下の方法もあるが、長くなるため、次回のブログで説明したいとおもいます。
(3)オペレーティングリースを活用する方法
(4)有価証券や不動産の含み損を活用する方法
(5)即時償却や特別償却を活用する方法