沖縄の公認会計士佐藤晃史のブログ

沖縄で医療機関支援、事業承継、相続対策に強い会計事務所を経営している佐藤晃史のブログです

グループ企業2社の合併支援業務を受任しました

2015-11-11 16:12:08 | 法人税
私の事務所は、設立当初より、会社の合併、会社分割、株式交換、株式移転等のいわゆる「組織再編業務」に力を入れてきました。

沖縄県内には、お客様の経営課題の解決に合致した「組織再編スキーム」を検討し、提案し、実行支援し、実行後の税務申告を行うことができる、いわゆる組織再編のトータルサービスを提供できる会計事務所は、沖縄県内では私の事務所を含めても、3-4事務所程度ではないと思います。

中でも、私の事務所は、私自身が琉球銀行時代立ち上げた「コンサルティング営業部」での実務経験を含めると、軽く100件以上の組織再編スキームを考案し、提案・実行してきました。

組織再編実務は、経験がないと、非常のとっつきにくい業務ですが、ある程度の経験があれば、抑えるべき税務上のポイントは明確であるため、私自身は、他のコンサルティング業務に比べても、安心して取り組める業務であると考えています。

今回、受任した組織再編支援業務は、ある企業グループの兄弟会社2社の適格合併案件です。

兄弟会社の合併の場合は、2社ともに持株会社の100%子会社の場合は、合併対価を交付しない、いわゆる無対価合併が可能ですが、そうでない場合は、合併比率を計算して、合併消滅会社の株主に合併存続会社の株式を何株交付するか計算する必要があります。

また、今回の案件では、合併消滅会社に繰越欠損金があるため、この欠損金を兄弟会社に引き継ぐことができるか否かも、重要なポイントとなります。

さらに、今回の合併で、税制適格に該当するか否かを検討する必要もありますが、私の事務所では、グループ内合併について必ず、「税制適格合併要件」を満たすようなスキームを組みますので、この点は問題ないと思います。

事業再編、事業承継あるいは相続税節税対策等の目的で、合併、分割、株式交換を検討されるお客様は、組織再編支援業務に深い知見と豊富な経験を持つ会計事務所に相談されることをお勧めします。

税務調査を受ける可能性を減らすにはどうすればよいか

2015-06-11 11:18:56 | 法人税
本日、沖縄県内のある税務署から、「意見聴取結果についてのお知らせ」という文書が送られてきました。

この文書の趣旨は、「当事務所の顧問先の法人について、当該納税者に係る税務申告について、特に問題とすべき事項は認められないため、今回の税務調査は行わないことにした」という内容でした。

税務調査といえば、ある日突然に税務署から連絡があり、有無を言わせず、調査が行われるものというイメージがありますが、当事務所の顧問先については、このようなことはありません。
なぜでしょうか。

種明かしをすれば簡単なことで、当事務所の経験豊富な税理士が毎月顧問先を訪問し、記帳内容のチェックと経理指導を行い、月次試算表を完璧に仕上げているからです。
そして、顧問先の決算時には、確定申告書に当該顧問先の1年間の経理状況や税務相談内容、あるいは、前年度と比較して、増減率が高かった勘定科目についてその増減理由を詳しく記載した法定文書を添付しているからです。

確定申告書に税理士がこのような書類を添付した場合、仮に税務署が当該顧問先の申告内容について疑問点があり、調査を行いたいと思ったとしても、いきなり税務調査に入ることはできず、まず、顧問税理士に当該顧問先の申告内容の疑問点について「意見聴取」を行うことになります。

この「意見聴取」の結果、税務署が納得すれば、税務調査は行われません。

今回送られてきた文書は、当事務所に意見聴取した結果、納得したので、今回は税務調査を行いませんよ。という内容の文書なのです。

当事務所では、業務品質を上げることで、税務署からの信頼度を向上させ、その結果としてお客様の税務調査負担を軽減するべく、今後も努力していきたいと思っています。

同族会社株式の譲渡(法人・個人間)時の注意点

2012-11-13 16:38:21 | 法人税
同族会社の同族個人株主から、関係法人へ株式を譲渡する場合及び逆に関係法人から同族個人へ譲渡する場合における注意点は以下の通りです。

1.個人から法人へ譲渡する場合

(1)高額譲渡
 時価100、原価50、譲渡価額200の場合は以下のようになります。
 
 A.個人(役員の場合)
 譲渡所得の計算は譲渡価額と原価の差ではなく、時価100と原価50の差額50となります。
 加えて、譲渡価額と時価の差額100(200‐100)は給与所得となり、所得税等が課税されます。
 
 B.法人
 取得価額は譲受価額の200ではなく、時価の100となります。
 加えて、譲渡価額と時価の差額100(200‐100)は役員給与になります。この役員給与は全額損金不算入となりますので法人税等が課税されます。

(2)低額譲渡
 時価150、原価50、譲渡価額70の場合は以下のようになります。
 
 A.個人(役員の場合)
 譲渡所得の計算は譲渡価額と原価の差ではなく、時価150が譲渡価額とみなされて、時価150と原価50の差額100となります。
 なお、譲渡価額が時価の1/2以上であれば、みなし譲渡の適用はなく、通常通り、譲渡価額-原価が譲渡所得になります。
 
 B.法人
 取得価額は譲受価額の70ではなく、時価の150となります。
 加えて、譲渡価額と時価の差額80(150‐70)は受贈益となり、法人税等が課税されます。

2.法人から個人へ譲渡する場合

(1)高額譲渡
 時価100、原価50、譲渡価額200の場合は以下のようになります。
 
 A.個人(役員の場合)
 所得価額は譲受価額の200ではなく、時価の100となります。
  
 B.法人
 株式譲渡益は譲渡価額と原価の差額ではなく、時価100と原価50の差額である50となります。
 加えて、譲渡価額と時価の差額100(200‐100)は受贈益となり、法人税等が課税されます。

(2)低額譲渡
 時価150、原価50、譲渡価額70の場合は以下のようになります。
 
 A.個人(役員の場合)
 譲渡価額と時価の差額80(150‐70)が給与所得となり、所得税等が課税されます。
  
 B.法人
 株式譲渡益は譲渡価額と原価の差額ではなく、時価150と原価50の差額である100となります。
 加えて、譲渡価額と時価の差額180(150‐70)は役員給与となります。この役員給与は全額損金不算入となりますので法人税等が課税されます。

以上の通り、同族会社における法人・個人間の株式譲渡の税務は難しいため、譲渡を検討されている場合は、事前に顧問税理士にご相談されることをお勧めします。

役員社宅を活用していますか

2012-11-05 08:34:49 | 法人税
会社オーナーの自宅を新築する場合に、個人で建設して所得税の住宅ローン控除を受けた方が良いか、もしくは法人で建設して役員社宅として、社宅に係る経費を法人税上の損金にする方が良いかという相談を受けることがよくありますが、私は、法人で建設し、役員社宅とする方法をお勧めしています。

個人で資産を所有していないと不安だという会社オーナーの方も多いのですが、法人で社宅を所有して活用した方が明らかに税務メリットが大きいと考えられます。

個人で新築した場合、住宅借入金等特別控除は、各年の控除額が最大30万円で10年間の最大控除額は300万円になります。(住宅借入金等特別控除を利用した場合)

一方、法人で役員社宅用の住宅を新築した場合には、新築時に係る登記費用や不動産取得税が全額損金となるほか、毎年のコスト(固定資産税、保険料、減価償却費、修繕費等)が全額損金になります。

仮に5,000万円(土地2,000万円、建物3,000万円)の住宅を法人が新築し、社宅とした場合は、まず、建物の建築費3,000万円のほとんどを減価償却を通じて損金にできるだけでなく、その取得費と維持コストのすべてを損金にできることになります。社宅に係る損金総額を仮に4,000万円として、法人税等の実効税率を35%とした場合、法人税等の節税額は4,000万円×35%=1,400万円となります。

つまり、個人で新築した場合の節税額は最大300万円なのに比べ、法人で新築した場合の節税額は1,400万円になるのです。

以上の設例により、役員社宅の有利さはご理解いただけたと思いますが、役員社宅の場合は、その家賃設定に注意が必要です。

所得税基本通達36-40により、会社が役員から徴収すべき社宅の家賃が以下の金額を下回ると、当該金額が役員に対する現物給与とみなされてしまいます。

1.豪華な社宅
 賃貸料=その住宅が一般の賃貸住宅であるとした場合に授受される賃貸料の額

2.小規模社宅以外の社宅
 賃貸料=(その年度の家屋の固定資産税の課税標準額×12/100+その年度の敷地の固定資産税の標準課税学×6/100)/12
 ※ただし、木造以外の家屋(法定耐用年数が30年を超える住宅用建物)については、上記式の12/100部分を10/100とします

3.小規模な社宅(木造家屋は132㎡以下、木造家屋以外は99㎡以下のもの)
 賃貸料=その年度の家屋の固定資産税の課税標準額×2/1,000+12円×当該家屋の床面積/3.3+その年度の敷地の固定資産税の標準課税学×2.2/1,000

復興特別所得税の源泉徴収に注意

2012-10-16 10:44:43 | 法人税
復興特別所得税とは、平成25年1月1日から平成49年12月31日までの間に生じる所得について課税される所得税です。この復興特別所得税は、一見法人には関係のないように思えますが、法人が銀行から預金利息を受け取った場合等の源泉所得税に影響が出てきます。

仮に受け取った利息金額が79,685円だとすると、以下のような計算が必要になります。

1.受取利息金額の逆算
79,685円は、所得税15%、復興特別所得税15%×2.1%=0.315%、地方税=5%の合計20.315%が控除された金額です。
よって、求める受取利息金額をXとおくと、79,685円=X×(1-0.20315)となります。
よって、X=79,685円÷(1-0.20315)=100,00円となります。

つまり、源泉徴収後の手取金額から受取利息金額を逆算する計算式は以下のようになります。

受取利息金額=手取金額÷0.79685

2.受取利息の仕訳
以下のようになります。

(借方)                   
預金 79,685
法人税等(源泉所得税) 15,000
法人税等(復興特別所得税) 315
法人税等(利子割) 5,000

(貸方)
受取利息 100,000


役員退職金の分割支給に注意

2012-10-09 15:51:31 | 法人税
このほど、国税不服審判所が発表した裁決事例の中に、役員退職金の分割支給に係る事例があったので、紹介したいと思います。

<事例>
A社は役員Bの分掌変更(代表取締役→非常勤取締役)に伴い、取締役会で退職慰労金2億5,000万円の支給を決定し、分掌変更年度に7,500万円、翌事業年度に1億5,000万円を支給した。これら分割支給した金員について、各事業年度の退職給与としてそれぞれ損金算入した。

これに対して、課税庁は、2年目に支給した金員には退職給与ではなく、損金不算入となる役員給与にあたるとして、法人税の更生処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、源泉徴収に係る所得税の納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分を行った。


<審判所の判断>
まず、当該分掌変更は役員Bの報酬が半減していることや株式保有割合の減少状況などからして、その支給した給与は退職給与として取扱うことができる。また、退職給与は法人が実際に支払ったものに限られるが、資金繰りの都合など分掌の変更時に全額が支給されなかったことについて合理的な理由がある場合は、その限りではない。

本件について、その合理性について検討すると以下の理由により、認めることができないと判断した。
1.株主総会や取締役会で、どのような理由で分割支給するのか、その時期はいつで金額はいくらといった明確な議事が行われておらず、議事録も存在していない。
2.退職金計算書は存在するが、その内容は「分掌変更時7,500万円支給、翌事業年度以降3年以内に残額支給」とされ、残額について支給時期や支給金額を具体的に定めていない。
3.A社は対金融機関上、赤字決算を回避するため、分割支給している。このことから、本件分割支給の目的は、利益調整にあったことがうかがわれる。

<対策>
資金繰りの都合上、役員退職金を一括支給しない場合には、以下の点に注意することが必要です。
1.取締役会及び株主総会で、分割支給の合理的な理由を説明し、支給時期と金額を明確したうえで、議事録に作成する。
2.退職金計算書には、支給時期及び支給金額を明確に記載する。
3.赤字決算を避けるための分割支給は、合理的な理由にあたらない。資金繰りの都合であれば合理的な理由になる。

今後4年間の法人税率の違いを利用した節税策について

2012-03-10 11:45:25 | 法人税
法人税率の引下げと3年間限定の復興増税の2つの要因が重なり、今後4年間は毎年法人の実効税率が変化します。

3月決算法人の実効税率は平成24年3月期で40.69%ですが、平成25年3月期から平成27年3月期までは38.01%となり、平成28年3月期以降はは35.64%になります。

この実効税率の変化を利用した、節税策をご紹介します。

<基本的な考え方>
実効税率が高い時期は利益を抑え、税率が低い期間に利益を出すこと

<具体的な方法>
法人が今期決算前に50%又は100%損金タイプの生命保険(逓増定期等)に加入し、5年後以降に解約する

今期、年間保険料6,000万円の50%損金タイプの生命保険に加入した場合に、保険に加入したことより、本来払うべき法人税等を将来に繰り延べた金額は以下の通り。

24年3月期:3,000万円×40.69%=1,220.7万円
25年3月期:3,000万円×38.01%=1,140.3万円
26年3月期:3,000万円×38.01%=1,140.3万円
27年3月期:3,000万円×38.01%=1,140.3万円
28年3月期:3,000万円×35.64%=1,069.2万円
5年間の繰り延べ額合計     5,710.8万円①

仮に生命保険の5年後の解約返戻率を100%とすると、
5年後の解約時の解約返戻金は、6,000万円×5×100%=3億円となります。

解約時には、解約返戻金の50%の1億5千万円が収益となり、法人税等が課税されますが、
この時の法人の実効税率は35.64%であるため、解約返戻金受取時の法人税等は1億5千万円×35.64%=5,364万円②となります。

以上の計算から、本件では①5,710.8万円-②5,346万円=364.8万円の節税が可能になります。

通常、法人契約の生命保険(逓増定期など)は、生命保険加入時と解約時の実効税率が同じであれば、税金の支払時期を遅らせる効果しかありません。
それに対し、今回の場合のように、実効税率が変化する場合は、税率が高い時期に加入し、低くなったら解約するだけで、本当の意味での節税効果が得られます。

以上のような節税策は、どの生命保険を使っても得られるものではありません。
ぜひ、生命保険に詳しい当事務所にお問い合わせください。