沖縄の公認会計士佐藤晃史のブログ

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会社法制の見直しに関する要綱案について

2012-10-11 16:10:45 | 会社法
法制審議会は、8月1日に「会社法制の見直しに関する要綱案」を発表していますが、その中で、会社分割に関する改正が盛り込まれています。

主な内容は以下の2点です。

1.会社分割の差止請求
略式会社分割以外の会社分割(簡易会社分割の要件を満たすものを除く)が法令又は定款に違反する場合において、株主は、株式会社に対して、当該会社分割をやめることを請求できることになります。

なお、現行法では、株主の差止請求権の代わりに株式の買い取り請求が認められていますが、これだけでは不充分ということで、株主の権利強化が図られています。

ただし、この差止請求権が認められるのは、法令定款違反に限定されているため、株主総会の招集手続きの瑕疵や開示義務違反などのケースではOKですが、単なる反対というだけでは認められません。

2.会社分割等における債権者の保護
近年、分割会社に債務を残して、優良な事業を承継会社に移してしまうことを目的とする、いわゆる再生型会社分割がかなり広く実施されています。
このような分割では、残存債権者はキャッシュフローを生み出す優良資産が他社に移転してしまうため、債権の回収がおぼつかなくなります。

このような会社分割が債権者に及ぼす不利益を解消するため、残存債権者に不利益になることを知ったうえで、会社分割を行った場合には、残存債務者は承継会社に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求できることになります。

また、会社分割に異議を述べることができる債権者であって、個別の催告を受けなかったものは、分割会社及び承継会社の双方に対して債務の履行を請求できることになります。

なお、現行法では、詐害的な会社分割や分割会社に知られていない債権者の利益を守ることができなかったので、上記改正が実現すれば、より債権者保護が図られることになります。

個人的な感想としては、企業再生コンサルタントと称する連中が詐害的な会社分割を行うのを多数みてきたので、この改正はぜひ実現してほしいと思っています。