ペーパードリーム

夢見る頃はとうに過ぎ去り、幸せの記憶だけが掌に残る。
見果てぬ夢を追ってどこまで彷徨えるだろう。

画家メアリー・カサットの生き方

2016-09-09 23:06:55 | 美を巡る
160909.fri.

 



横浜美術館で開催中の「メアリー・カサット」展(〜11日)へ。
最後の金曜日ということで、やはりそれなりの混雑ぶり。



印象派の女性画家の中ではベルト・モリゾと並ぶ一人。
洗練された革新的なこの画家によって、
19世紀のブルジョワジーの女性たちが、いかに魅力的に描かれたか。
母子像も同様に、浮世絵の影響をうまく絵に取り込んで、一瞬の情愛を画面に留めた。
ということは周知のことだが、今回収穫だったのが版画。
エッチング、アクアチント、ドライポイント、
陰影の出し方も滑らかなラインも素晴らしい!
さすが、ドガの弟子。



コレクターのハブマイヤー夫人に語った言葉もカッコいい。

「私は自立している。
 一人で生きていくことができ、
 仕事を愛しているから。」

「画家が進む道は二つあります。
 一つは広くて平坦な道。
 もう一つは狭くて険しい道です。」

ウィリアム・イヴァンスへの手紙も。

「アーティストである喜びと比べられるものが、いったいあるというのかしら?」

続いて、「横浜美術館コレクションに見る女性の眼差し」という企画で、
明治期の画家・五姓田善松の妹、画家の渡辺幽香を知る。
これまた、男性画家顔負けの肖像画の数々。
ここにもいたんですね。

女性が自立するなど、まして職業画家になることなど難しかった時代に、
信念を貫いて絵筆をとった女性たち。洋の東西を問わず、
しなやかでたくましく生きた彼女たちには、ほんと、勇気をもらえます。