KAWAGANI DQX 紙芝居magNET【TOP】

旧える天まるのブログ
株式会社スクウェア・エニックスを代表とする共同著作者が権利を所有する画像を利用しております。

浮気ホリデー<NIPPON>

2018-06-18 02:16:03 | 浮気ホリデー
前回
浮気ホリデー<本能>





「これは僕が最初に始めたんだ」
「即席で世に出すスタイル」

 タチバナモトハル、ナツコの子供。幼少期から詩を書くことが好きで、そして音楽にも目覚め、音楽の知識を生かしたDJと作詞家を目指して海外留学をしている。



「モトハル、そろそろ出番だぞ」

 スノ、芸能プロデューサー。担当していたラジオ番組で、モトハルの投稿に目を付け、モトハルを海外留学に誘った。スノは海外マネジメントでモトハルとともに仕事を行っていた。



「スノさん、仕事のスケジュールが次々あって彼女とデートができないっす」
「それから、僕の書いた詩、いつ曲になるんですか?」

「近いうちにレコーディングして売り出す」
「それまではまず、顔を売っておくんだ」

「もうすでに僕の出したいのも出ちゃってますよ」
「次の新ネタも早く作らないといけないっす」

「出来たら教えてくれ」
「そしたらレコーディングに入る」
「今日の仕事、まずは頑張ってくれ」

(モトハルさん、入りまーす)



「タイガー」



「タイガー」



「魔法瓶タイガー」

(もう一回よろしいですか?)

「はい」



NIPPON
クリエーター情報なし
UNIVERSAL MUSIC LLC






「よかったよ、サマー」

 サマー、スノがプロデュースしている歌手。歌唱力が抜群でスノの恋人でもある。



「愛してるわ」

「きみの歌声に僕はメロメロさ」

「うれしい」



「仕事が終わったら、家でゆっくりと過ごそう」

「愛してる、あなた」



「あなたの好きな、だだちゃ豆煮てるね」

「あー・・・・」



 フユヒコ。ナツコの旦那、アキオの学生時代の後輩。卒業後は通信会社に勤めている。



 主人が出張から帰るまで、少しの間待って居られますか?

「はいだっち」

「なんならこちらにどうぞ」

「はいだっち」



「本格的ですだっちな」

「格好はわたしの趣味だけど」

「以前は主人の書斎でしたのよ」
「それをこのように改造して」
「夫婦で嗜むお部屋にしましてね」
「応接間としても使えるかしら?」
「主人の昔からのお知り合いですもんね」
「ゆっくりと寛いでいただけたらいいわ」

「アキオ先輩とは、大学のサークルでお世話になっただっち」

「主人はたしか、マウンテンサークルでしたよね?」

「登山とはちがって、山を眺め、麓を歩き、山菜やキノコなども見つけたりもしただっち」
「先輩はそれを日記に書いたり、小説にしてただっち」

「へー、主人はその頃から書くのが好きだったのね」

「わっちは、みんなより鈍間だっちから、トランシーバーを持ってもらってだっち」
「夢中になって遠くに行っても、連絡がとれるようにするのが役目だったっち」
「その後、通信会社に就職しただっち」



「でも、わっちの事業部は終了することになっただっち」

「あら、お気の毒ね」
「ちょっとお酒でも飲みながら、わたしにも話してくださいよ」

「わっちの事業部は、PHSという新型機種を開発して」
「小型でポケットサイズの携帯電話を世に出しただっち」
「ピッチ、ピッチと、もてはやされ、人気ブランドになっただっち」
「文字を送信する機能もいち早く始めただっち」
「他が10文字程度のものを、100文字以上送信することもいち早く出しただっち」
「携帯サイトも写メも初めに出したのは、わっちの事業部からだっち」
「遠く離れた場所から、いち早く携帯で文通が出来るようになっただっち」
「スマートフォンをいち早く世に出したのも、わっちの事業部だっち」

「そうなの、今はスマホが主流ですもんね」
「携帯が普及し始めた頃から、援助交際も流行したわよね?」

「音声だけの頃は、直接会うことしかできなかっただっち」
「昔のような文通なら、すぐに会わなくてもすんだだっち」
「だから、メールを送れるようにいち早く取り組んだだっち」
「それまで、パソコンをもってる人々しかできなかったことをだっち」
「パソコンを持たなくても文通ができるようにしただっち」

「そのフユヒコさんの会社の事業が終了するの?」

「開発も改良もしただっち」
「でもだっち」
「すぐに追随する企業にシェアを拡大されただっち」
「低価格で挑んでもだっち、シェアの差は拡げられる一方だっただっち」
「そして、二年後にPHS事業は終了するだっち」
「PHSはいつも肩身が狭かっただっち」
「肩身の狭さがいいように扱われただっち」
「流行したピッチも死語になるだっち」

「そのことをうちの主人に告げに来たの?フユヒコさん」

「わっちの身分がまだあるうちに」
「先輩と肩を並べて話したかっただっち」

「飲んで飲んで、ここでは無料ですから」

「10分おきに飲むだっち」

続く

次回
浮気ホリデー 丸ノ内サディスティック

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ブログトップ

える天まるのブログ