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旧える天まるのブログ
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『リモート・ボナール』ジャズ

2020-09-29 10:45:43 | DQX リモート・ボナール

「官房長」

「諸君、デジタル侵略計画は進んでいるか?」

「それが地球人に配布したマスクの情報公開請求を求められてました」

「情報公開請求だと!」

「マスクを配布した文書を黒塗りにしてあるのは、政策の是非を議論できず不当だ!と」

「なに!」

「地球人が知りる権利だと言っています」

「提督にチャットを送ろう」

テイトク?チキュウジンガ(・・!メンドクサイコトヲ(--)

ソチニハカラエ(^^)

テイトク(==!

キョウカラキミガテイトクダ(^^)

「今日から提督になった」

「えー!」

「えッ!」

「キミじゃない。このワシじゃ」

「提督は病に倒れ、病後まだ不自由な体で、切り紙をはじめた」

「元提督」

「は、早や」

「グワッシュで…」

「楳図かずお?」

「それちょっと違う。グワッシ!だから」

「グワッシュで一色に塗りこめられた紙を鋏(はさみ)で切り抜いてゆき、別の紙に貼る。つまり、バビエ・コレ、またはコラージュである。全宇宙の構成にも、地球にも、よほど厳格なデッサン力と色彩感覚とかなければできない業だ!」

「宴じゃー」

≪アンリ・マティス/ジャズ≫

≪アンリ・マティス/ジャズ≫

「デッサンはやりなおしがきかないし、色紙は操作を許さない。全体を構成するめどがはじめから終わりまで決定されなければならない」

「いわば、必然と偶然とが出会って、完璧になるのよ」

「光も影もない、色だけのデッサンだといってもよい」

「カット!おつかれさまでしたー」

「ふう…」

「今回はSF要素を入れてミュージカル風にアンリ・マティスの設定で…」

「わたし大混乱よ」

『リモート・ボナール』白い下着の少女トルソ

 


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『リモート・ボナール』暖炉の前の少女

2020-09-24 04:04:06 | DQX リモート・ボナール

「よろしくおねがいしまーす」

「はいですー」

「暖炉の前でいくつかポーズきめてください」

「はいですー」

「こっちむいてください」

「はいですー」

「撮りまーす」

「はい」

「我考ふ、そこに我がある」

≪暖炉の前の少女・ボナール≫

「おつかれさまでした」

「はいですー。奥様は?」

「今日は職場に行ってる」

「そうですかー」

「ご協力ありがとう。いいのが撮れたよ」

「はいですー」

「にゃあーーー!!!」

「キャー!!猫ゾンビ!」

「にゃあーー!!」

「近づかないで、殺されちゃう!きっとUFOが死んだ猫を蘇らせたんだわ!」

「にゃー!!!」

「あそこに電話ボックスがあるわ!あの中なら!」

「にゃー!!」

「ドワを閉めてと…」

「にゃーー!!」

「カット!!」

「おつかれさまでしたー」

「これはどういった設定なの?」

「これは、ボナールとマルトがまだ結婚してないときのシーンで、マルトがある日、猫ゾンビに襲われるシーンを設定したんです。ホラー要素も入れようかと思いまして」

「ホラー要素って、もうめちゃくちゃじゃない」

「いや、これはホラーでもあり、ラブロマンスでもあるんです」

「なんで?」

「デジタル侵略により一度死んだものが蘇って人々を襲い、なりすましや詐欺が権力を握り、その権力者がUFOで死んだものまで操っている最中に、マルトは猫ゾンビに追いかけられ電話ボックスに逃げ込むんです」

「なぜに電話ボックス?」

「利用率がごく稀になって、次々撤去させてゆく電話ボックスですが、猫ゾンビに襲われたときには、過疎の町にはまだ電話ボックスが置いてあったんです」

「あ、ここは過疎地の設定だったのね。都会だと思ってたわ」

「電話ボックスに逃げたマルト。その電話ボックスは、ボナールがこっそり夜にいつもマルトに電話をかけてた電話ボックスだったんです。なんて運命的な出会いなんだ!哲学だー」

「ねえ、あなた?ど、どいうこと?」

「ボナールに会いに行く途中、スマホの電源が切れて、ボナールに連絡できずにいたマルトは、その電話ボックスからボナールに助けを呼んだのさ」

「ボナールは携帯もスマホもパソコンも持ってなかったの?」

「家電はあったけど親には恥ずかしくて、マルトへの連絡は電話ボックスからしてたのさ」

「哲学だー!」

「せめてUFOに破壊されて使えなかった。とかの設定にしなさいよ。ッたく」

『リモート・ボナール』ジャズ

 


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『リモート・ボナール』プロヴァンスの水差し

2020-09-10 16:40:21 | DQX リモート・ボナール

「果物はこれでいい?」

「パイナップルじゃないよ。オレンジが欲しいんだ」

「ごめんなさい。間違えちゃった」

「困ったな・・・」

「どうしたらいいのかしら?・・・」

「カットッ!!」

「おつかれさまでしたー」

「これはどういった経緯のシーンなの?。セリフは覚えやすかったけど」

「これは、ボナールがオレンジを描こうとしていて、」

≪オレンジ・ボナール≫

「妻のマルトが間違ってパイナップルを置いたシーンです」

「オレンジの絵?」

「なぜか、ボナールの≪オレンジ≫の絵には解説がないんです」

「そこはおそらく、ボナールは≪プロヴァンスの水差し≫を描くことにつながっていくんだと思うのです」

≪プロヴァンスの水差し・ボナール≫

「あの、頭を抱え何かを考えてるシーンを撮ったんです。まさに哲学だー」

「そうですか‥」

「≪人物のいる静物≫になると、17世紀オランダの親密な静物画が3世紀のにちフランスの感性を通じて、明るく優雅になった印象を受ける。≪オレンジ≫≪プロヴァンスの水差しでは、それがいよいよ簡略化され、不必要なものはまったく姿を消す。17世紀オランダの静物画は、一般にあまり現実に似ていて、ときにだまし絵に見えたり、超現実的要素をもって無気味な場合があるが、時代と場所、環境風土の変遷(へんせん)美術様式の推移などによって、画家の個性によって、暖かい親密さと明るさが増してくる。このあたりは、おそらくボナールの一つの頂点であろう。」

「哲学者さん、熱弁だったね」

「ボクが渡した本の内容をそのまま暗記して語ってたよ」

「そうなの?」

「うん」

「そっか」

「入浴剤、持ってきて」

「香りは?」

「ラベンダーにしようかな」

「ラベンダーね」

「うん」

「はい」

「ありがと、リラックスできるわ」

「あなたも入ったら?」

「うん」

「大麻で、また、捕まったひとがいたね」

「うん」

「あなたはどう思ってるの?」

「ボクたち運転免許もってるじゃん」

「それで?」

「覚えてる?キミとお酒を飲んで、ボクが自動車で送ったこと?」

「あの頃は若かった」

「お酒を飲んだあと自動車の運転は危険だと、何度も教習所のビデオで教わっただろ?」

「うん、よくビデオでその危険性を見せられたね…」

「運転はできないこともないけど、危ないのさ。治療が必要になることもある。あのとき、飲酒運転がみつからなかったから。もしあのとき事故を起こしてたり、警察に捕まってたら。ボクとキミは今、ここにふたりでいなかったかも…」

「みつからなかった、だけだったもんねー…」

「飲酒運転が合法できないことと、大麻が合法できないのと、ボク一緒だと思うんだ」

「さっき使った入浴剤だって、随時、チェックはうけてると思うのさ」

『リモート・ボナール』暖炉の前の少女

 


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『リモート・ボナール』風景

2020-09-03 00:46:25 | DQX リモート・ボナール

「ただいま」

「おかえり、マイナポイントもらえた?」

「それがチャージしても、買い物してもポイント付与してなかったの!」

「今月からだろ?」

「そうよねー、それがレシート見てもマイナポイントのポの字もなかったわ!」

「いくらチャージしたんだ?」

「試しに1000G。そこから25%マイナポイントがつくから、250ポイントは付与されてるかと思った!チャージするたびにと、書いてあったのに!」

「ボクもそうおもってた」

「買い物した額のマイナポイントかな?そう思ってたけど、レシートには何も変化なかったし、感染防止のためにキャッシュレス決済するようにしたのに、もうやんなっちゃう!」

「まあ、そんなに神経質になるなよ。時間差で付与されるんじゃないか」

(9月4日の時点でマイナポイントは反映されてます)

「お風呂入るわ!」

「ドンマイケル」

「ここのシーンこんな感じでいいの?時代考証観無視してない?」

「哲学者さんが率先して台本書いてくれたからさ。まあ、日常的な会話のやりとりでって説明したらこれが送られてきたから…」

「ボナールにもいくつか名言はあるんでしょ?」

「我考ふ、そこに我がある」

「そのセリフも、ちゃんと入れてもらうようにしないと」

「もともとボナールは、色彩に固有な性格を基調としていて、初期の分割主義に似ているとき、分割主義の影響を受けていたときでも、その点は変わってない『色彩は形態をゆずらない厳格な論理をもつ』というボナールの言葉は、画家にとっておそるべき言葉だよね」

「色彩云々というところも重要だね、あと主題歌できたの?」

「ああ、聴いてみる?」

「うん」

≪逆光の裸婦・ボナール≫

「部屋着の女にしたの?」

「部屋着の女は、ボナールが日本の浮世絵や掛軸の影響で、この頃のヨーロッパ人の日本美術に対する関心を示してるのさ」

≪部屋着の女・ボナール≫

「風景はどんな絵を書いてたの?」

≪サン・トロぺ風景≫

「サン・トロぺ風景とか、クロード・モネやルノワールの初期の外光、新印象派の分割主義などに従っているかに見えるけど、むしろルノワール後期の印象派時代の風景により近く、その頃、画家はすでに枠にはめない広がりと奥行きの中に画家がいて、見えるものもその中に自然に入ってゆくんだって。いわば、画家は眼前の風景だけでなく、背後の空間をも描いているんだ」

「ふーん。お腹すかない?」

「すいた」

『リモート・ボナール』プロヴァンスの水差し

 


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『リモート・ボナール』画家とモデル

2020-08-26 00:17:19 | DQX リモート・ボナール

<画家とモデル>

「衣装これなんかどうを?」

「リハ撮りしてみようか」

「うん」

「もうちょっと、こっちによって…」

「この辺?」

「写実主義のフェルメールっぽいね」

「フェルメール?」

「ボナールは本質的にはアンティームな作家なのさ。写実主義とは異なる印象派のボナールは室内の明るく静かな雰囲気のすわる女」

「すわる女?わたし立ってるけど…」

「ああ、作品のことさ、すわる女っていう」

「で?」

「そこでの光の親密さでは、17世紀オランダのフェルメール以来のものなんだって」

「へえー」

「フェルメールの光は一見、現実の光のようであるけど、実はまったく別のものであったように、ボナールの明るさも、普通考えられるような光によるものでもなく、印象派の外光でもないんだってさ」

「写実的印象派ってこと?」

「さぁね、フェルメール以来のことってあるけど、アンティームは親密派っていう意味でもあるんだってさ」

「すわってみる?」

「う、うん」

「こんな感じ?」

「ちょっとカメリハしてみる」

「そもそも、すわる女ってどんな絵なの?」

「ちょっと待って…」

「帽子かぶってるじゃん。帽子も用意しないと」

「リハだから。ただ、ボナールが描いてる姿を撮りたいんだよねー」

「メール来てたっけかな。ちょっとまって」

「妹から返信があった。コロモちゃんから、こっちのアカウント付きメールが送られてきたんだって」

「だれから?」

「あの哲学者さん。コロモちゃんにコンタクトしようとしたみたいで」

「あははは、どこまでも追っかけるんだね」

「わたしたちも知らない人じゃないから、まずは、テストで撮ってもらいましょうか」

「そうだね、ボクらも稽古しないといけないし」

「浴衣に着てくるわ」

「その間に連絡入れてチャットしてみるよ」

「やあー」

「わこつです」

「見えてますか?横からしか見えてないんだけど」

「こちらからは大丈夫です。キーボードが邪魔でカメラが前に置けなくて…」

「ボクらのカメラの位置はどう?」

「ふたりとも映ってます」

「描いてるシーンを撮ってくれます?」

「はい」

「ガンガン指図しちゃってくださいね」

「はい」

「じゃ、用意スタートみたいなこと、言ってください」

「はい」

「ようい、スタッ!」

「カットッ!」

≪マティス・画家とモデル≫

「おつかれさま。ご飯にしましょ」

「稽古しつつ、衣装も揃えつつだね」

「知識も入れつつだし、カメラワークも大変だろうな…」

「ツイッターでなにかある?」

「8月31日、21時からYouTubeプレミアム公開というのがあるよ。のんびりとみようか」

『リモート・ボナール』風景

 


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