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「サルトル集」 ジャン・ポール・サルトル 世界文学全集64    筑摩書房

2005年12月02日 | ’05年読書日記
フランスの哲学者・文学者であるサルトルの短編集です。
最初に告白しますが、全部は読んでいません。なので、読んだところだけ感想書きたいと思います。


@この本に収録されている作品@

①壁 …「死刑」を明日に控えた主人公の内面

②部屋…進行性の精神病にかかった夫に尽くすエヴ、離婚しなさいとエヴを説得したいがうまく行かないエヴの父親 

③エロストラート… ある晩「人間どもを撃ってやろう」と決心した主人公。それを実行に移し、追われる身に。

④水いらず …不能の夫に見切りをつけて別れようとするリュリュ。リュリュをしつこく追いかける夫。

⑤出口なし…あるホテルの1室に集められた3人の男女。3人とも知らぬもの同士だったが、ある時点で3人の共通点が明かされる。3人の共通点とは…「既に亡くなっていて、地獄行きが決定している」という事。3人でいる事自体が地獄であった。

⑥恭しき娼婦 …口のうまい客(アメリカのお偉いさんの坊ちゃん)にいいようにだまされ、手玉に取られる娼婦と黒人。

⑦狂気と天才…イギリスの人気舞台俳優が、頭のいい女性とであって、これまでのうんざりするような生活から抜けだす。

⑧アルトナの幽閉者(途中までしか読んでいません)

⑨トロイアの女たち (全く読んでいません)

①~④までの作品は、小説形式で書かれています。
⑤~⑨までは、戯曲形式で書かれた作品です。
全部読みたかったんですけど、一回貸し出し期間延長しても読めなかったので諦めました。



こう、あらすじを書いてみると、けっこう重いですね。暗いというか。
この記事で書きましたが、私は学生時代哲学の授業がとっても嫌いでしたし、サルトルが唱えたという「実存主義」っていうのが一体どんな考え方なのかも全然知りませんが、哲学者であるサルトルが書いた小説は好きです。
なんで好きなのか、さあ考えてみよう!…とか思いましたが…よく分らないなぁ、何でだろう。
…小説を読んでいると、たまにですが、「この作者の、人間に対する考えかたって浅くてつまんないな」…などとクソ生意気な事を考えてしまうんですが(正直、日本の女性作家が多い)サルトルのそれは深い。深い深い深い、もう、どこまで深いの~???と不思議になるくらい深いなぁ~とか思うわけです。
人間の欲とか体裁とか、本能とか或いは愛情とか悪いものから美しい(といわれる)ものまですべてお見通しで、「こんな人と付き合っていたら、全部心の中見透かされてしまいそうで怖いな」などと思います。

8年ほどまえに新潮社文庫の「水いらず」を読んだ時に、「こんな小説書く人はきっと、いい男に違いない!」…などと勝手に想像していましたが、写真のサルトルは~少年時代はとっても可愛いですが~たいしていい男ではありませんでした。
シモーヌ・ド・ボーヴォアールとは一生恋人関係だったそうですが。
ボーヴォアールの「第二の性」とかいう論文みたいな作品を8年位前に読みましたが、その本では、「ガリガリのフェミニスト」という印象でした。

「実存主義は、戦後衰退の一途をたどる…」などと、どこかの何かで読みましたが、その実存主義を唱えたサルトルの「文学作品」の方は、戦後60年経っても、こうして田舎の一主婦の心を感動させたりするわけです。


この本の中では、「出口なし」が、意外な結末?展開?を見せていてとくに面白く思いました。





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