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テレビジョン ジャン=フィリップ トゥーサン  Jean‐Philippe Toussaint

2007年12月11日 | 読書記録
主人公は、大学の先生で、ひと夏を家族(4歳の息子、妊娠中の妻)から離れて、研究に専念するためベルリンで過ごすことに決めた。
ある日、主人公は今後一切テレビを見ることをやめる、と言う決心をし…。

ひと夏を研究のために…といいつつも、この主人公、割とだらだらと過ごしていてあまり仕事に精を出していない…、と思うのは私が日本人だからですか。
友達とお茶したり(そのくらいはまあいいにしても)知り合いの人の操縦で、ヘリでベルリンの空の旅なんかしている。

しかし、それ〈仕事〉よりも、テレビについていろいろと思うをめぐらせているところが良かった。

「テレビの特徴のひとつとは、テレビを見ていないときでも電源さえ入れればそこで何かが起こっているかもしれない(・・・)と思わせることなのだ。だがもちろんそうした期待はむなしく、常に裏切られる。なぜならテレビを介していかなる大惨事や慶事に立ち会えたとしても、われわれ個人の暮らしに生ずる些細な出来事のほうが、われわれにとっていつだってより重要なものだからだ」

特に最後のほうの文、われわれ個人の暮らしに生ずる出来事のほうが大事、って言うところ、特にテレビ好きなうちの家族の人に、声を大にして言いたいわぁ~…。
本当にそのとおりだと思いましたので。

あと、この主人公、アパートの隣人〈老夫妻〉にバカンスに出かけるから、その間、植物の世話をお願いね、と言われ、しぶしぶ引き受けているがほんとに何にもしていない。
ほったらかしで枯らしまくっている。
まぁ、世話を頼んだほうも隣人愛に期待しすぎだと思うけど…。
その中でも寝室においてある立派なシダ、これも枯らしそうになって慌ててショック療法なんか施している。
それを、バカンスから帰ってきた夫妻に見つかりそうになりあたふたしているところが面白くて笑ってしまいました。

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