坂井宏朱さんが練習中の事故で亡くなりました。オートレースには興味はなく、坂井さんのことは過去に数回テレビ番組でOLから転身した女性レーサーとして見ただけです。女性がレーサーになることだけでも相当なハードルなのに、大学卒業後一般企業で勤務した後、20代半ばでのことです。並大抵の苦労ではなかったと思います。
実は気になっていたCMが2本ありました(首都圏限定の可能性あり)。
どちらも都市部の若い世代向けです。1本はトヨタ自動車の例のジャン・レノがドラえもんに扮する、いくら円高だからって「大スターに何させるねん?」と話題になったCM。もう1本はぐっとマイナーですが、タウンワークス(アルバイト情報サイト?)のCMです。
気になるのはドラえもんではなく、メッセージです。
「免許をとろう」
教習所ではなく、クルマのCMでは異色な感じがしました。“かっこいい”でも“環境に良い”でもなく「まずそこからなの!?」と。
そしてタウンワークスは「ジモト、ジモト」と連呼しています。「地元でバイトを見つけよう」というわけです。クルマどころか、電車にも乗せない(?)算段です。
先日、成人の日にあたって、どこかの会社が新成人が休日に何をしているかという調査をしていました。「寝ている」「インターネット」「家でのんびり」が男女とも上位3位までに入っていたと記憶しています。
もう何年も前から若い人のクルマ離れは顕著で、“ジモティ”という地元のつながりや地域を大事にして外に出たがらない若者を表す言葉もありました。地域や家族の絆を大事に、というと、東日本大震災後の世相(=良いこと)のように思えますが、裏を返せばは引きこもり傾向です。全否定するわけではありません。守るべき財産や仕事、守らなければならない家族がいて地元を選ぶのと、「変化したくない、チャレンジしたくない」と行動前からリスクを避けるのでは意味がちがいます。
みながみな、突破する力を失い、現状に甘んじていては、既に日本で社会問題ですらある「リーダー不在」にますます拍車がかかるだけです。
若年層の海外留学も旅行も減少傾向にあると言います。実際に若い人と話すと、外国どころか、国内でもあまり動かない人が増えていると実感します。日本のパスポートはほとんどの国でWelcome、国内の地域間移動も自由であるにもかかわらず、不自由な国の民が持つ渇望感も向上心も失っているのです。
日本が高齢化しているのは人口動態の問題だけでなく、多くの若い人の心も高齢化しているような気がします。そんな中で出る杭はやがて目立ちます。国内で競争が少ないので、若くして輝くチャンスも増えているということです。
坂井さんの事故は本当に残念でしたが、チャレンジし努力を続けた彼女の人生を尊敬します。同じ女性レーサーの佐藤摩弥さんに与えた衝撃と悲しみは計り知れませんが、レースを続けてほしいと思います。