2018/5/18
・ハイツ櫻の園の住人たちが、建物内に残る「ゴミ」の存在を気にしながら、色々あっても日常を続けようとする話。
・話の三分の二が「彼に振られた」とか「犬を飼いたい」とか「結婚したい」とか、他所の人から見れば心底どうでもいい話なのに、各パートの演者たちがその腕で爆笑話に仕立てている。
・実際ゲラゲラ笑いながら見たけど、間とか体勢とか声量とか細かい部分がちょっとズレたら笑えないスレスレのところで勝負しているので、影響受けた人が下手にまねると大怪我しそう。
・次から次へと強打者、クセ者が出てきて、いつまでたっても攻撃が終わらない。相手の投手よりも打者同士で競い合っている感じ。
・各パートの演者以外の役者さんは、退出せずに舞台端でそのときの演者を見守る方式。
・応援しているようにも見えるし、普通に楽しんでいるようにも、「負けねえぞ」と思っているようにも見える。ほんとに野球のベンチ(攻撃側)のよう。
・そしてベンチの選手が全員出てきて全体演技になると完全にチームプレイ。点を取りにいく攻めの演技ではなくて、ミスは許されない協調性高めの守備の演技。
・攻撃も守備もとても洗練されている名門野球部のような作品。フライヤーのスタッフ欄を見ると「バッティングコーチ」の方もいらっしゃる。
・各々の個人技が見どころだけど、それも作・演出のイトウワカナさんの用意した頑丈かつポップな世界観があってこそ。
・一見、シンプルな舞台装置も美しくて、ちょっとトリックアートのような奥行きや、倒錯している柱も、話の題材に合っている。
・後半の不条理展開も好み。
・ブスが超かわいい。振り幅がすごい。
・チェーホフに詳しい人がいたら、『櫻の園』との関連性も語ってほしい。
・「わたし~」の感想のときにも書いたけど、フライヤーなどにある「札幌演劇の奥のほう」って、つまり「最先端」のことだと、あらためて思った。
・浴びる感覚で楽しんだ。