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遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

baghdad cafe'『会いたくて会えなさすぎるあなたたちへ』

2017-02-06 20:41:21 | 観劇三昧:手のひら演劇フェスティバル

観劇三昧:baghdad cafe'『会いたくて会えなさすぎるあなたたちへ』(有料)

2017/2/6

脚本・演出が失踪してしまった劇団が、それでも公演をやり切ろうとする話。

一般的な舞台中継とは異なり、おそらく手持ちのカメラで撮影されているので、映像がドキュメンタリーっぽく妙に生々しい。

特にオープニングの、劇団の飲み会シーン。

演劇の「稽古場」で飲み会をしたことのある人なら、誰もが苦笑する映像が撮れていた。

中心人物不在の稽古場は、それなりに実績にある劇団とは思えない混沌の極みだった。

その場にいる人全員が心を病みすぎている。

部外者目線だと「そんなになるんだったら、やめちゃいなさいよ」と思うし、当事者目線だと「公演中止にしたらどのくらい赤が出るのかな。劇場費は?チケット払い戻しは?」と考えてしまった。

進むに進めない、引くに引けないどうにもならない様子は、映画の『八甲田山』の惨事に通じるものがあった。

演劇を上演することは恐ろしいという結論。

 

================メモ================

「芸術賞」に投票

上演時間 01:51:23

公演時期:2015/12/25

作者・演出:泉寛介


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坂口修一『身体からいろんなモノを出す男』(観フェス2017)

2017-02-06 12:12:56 | 観劇三昧:手のひら演劇フェスティバル

観劇三昧:坂口修一『身体からいろんなモノを出す男』(有料)地域:関西

2017/2/5

坂口修一さんが韓国人手品師に扮して行うパフォーマンス。

1年間の連続企画の1話ということだけど、作品は独立しているので、本作だけ観ても困ることはない。

セリフはなく、ひたすら手品と踊りで見せる。

下袖に突っ込んだ手が右袖から出てくるみたいなドリフっぽい一人コントもある。

表面上の物語はない。

とにかく膨大な量の仕込を惜しみなく消化していくので、小道具のリストがものすごいことになっていそう。

この量の小道具をしっかり仕込んでいつどこに何をどのように落とすのかという段取り地獄を完璧に管理しているのがすごい。

役者の修行方法に決まったやり方はないとは言うけども、一回、この演目を1週間でも1ヶ月でも集中して稽古して、客前で上演したら、確実にステップアップにつながると思う。

============メモ============

観劇ビギナー賞に投票

上演時間 00:47:16

公演時期:2008/02/05

作者・構成・演出:ウォーリー木下

2007年〜2008年の一年間、毎週火曜日に上演された坂口修一ひとり芝居「火曜日のシュウイチ」の月替わり作品のひとつ。
セリフのないノンバーバル作品。
(観劇三昧・オススメポイントより)

2007.4.3→2008.3.25
・完結するのに1年間かかる芝居なんて無謀だ!
・完結までに50話の超ロングランストーリー!
・役者馬鹿"坂口修一"が劇場「インディペンデントシアター」の
 全面協力の下に挑む、超短編連続ドラマ!!
・毎週毎週、あっと驚く展開。坂口修一が演じるキャラクターは
 なんと100人以上!?
 一人芝居の可能性が全てココにある!
(作中内テロップ)

 

※最初の9分は前説なので、実質36分くらい。

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カムカムミニキーナ『クママーク』(観フェス2017)

2017-02-05 14:32:46 | 観劇三昧:手のひら演劇フェスティバル

観劇三昧:カムカムミニキーナ『クママーク』(有料)地域:関東

2017/2/5

熊野の山村が滅ぶ過程を日本神話的な世界観で描いた話。

死後の世界、極端な子沢山、蛇の化身、八咫烏などなど、それっぽい登場人物や設定が次々と出てくる。

一方で、生きることの原罪、箱舟、復活なんかも出てくるのでキリスト教的な考え方にユーモアも少し混ざって、新しい長大な神話に再構築されている。

それが早い語り口でどんどん進むので、ちょっと油断すると、すぐに話についていけなくなる。

中心人物の松村明さんを始めとして、役者陣の語りのスピードと正確さがものすごい。

そんななかのクママークという、それこそベルマークみたいな語感の印が重要な意味を持っている。

日本神話的な世界観なので違和感強いけど、そのネーミングにも何か由来があるんだと思う(たぶん説明はなかった)。

 

================メモ================

「芸術賞」に投票

上演時間 01:52:10

公演時期:2013/10/31

作者・演出:松村武

【CAST】

淵沢 (フチザワ) 松村武
八十女(ヤソメ)  八嶋智人
南無吉(ナムキチ) 山崎樹範
清美 (キヨミ)  藤田記子
葺音 (フキネ)  未来
熊飼 (クマガイ) 小林類
須勢理(スセリ)  田原靖子
石押子(イワオシコ)佐藤恭子
熊野部千代定(クマノベチヨサダ)中島栄治郎
井氷鹿(イヒカ)  田端玲実
志木 (シキ)   長谷部洋子
八十猛(ヤソタケル)吉田晋一
浅見校長 亀岡孝洋
聖(ヒジリ)・亜業イン 元尾裕介
八十翔(ヤソカケル) 篠崎祐樹
おお・とつ 藍山彩
八十中(ヤソアタル) 中野大地
八十渡(ヤソワタル) 正木航平

 (映像内エンドロールより)

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宮川サキ一人芝居短編『モダンtimes』(観フェス2017)

2017-02-04 23:07:29 | 観劇三昧:手のひら演劇フェスティバル

観劇三昧:宮川サキ一人芝居短編『モダンtimes』(有料)地域:関西

2017/2/4

社会の片隅でひっそり生きているようなおばあさんが客人(?)をもてなす話。一人芝居。

関西弁の人懐っこいタイプのおばあさん。

話し方は、言葉なのかうめき声なのかよくわからないし、動きもだいぶくたびれた感じだけど、いちいちかわいらしい。

かわいらしいというか、いとおしい。

昔通った駄菓子屋のおばあちゃんとか、離れて住んでいる母親とか、いろいろ思い出す。

タバコのエピソードをちょっと自慢げに話すところとか、うまくないおもちゃのピアノの演奏とか、集中して聞いていると、おばあちゃんの人生の断片がとても強い実在感で立ち現れてくる。

ちゃんと話の内容や役者さんの演技が、一人の登場人物に奉仕しているのが成功している理由なんだと思う。

最後の客を送り出すところは、あきらめなのか優しさなのか、いろいろ混ざった複雑な気持ちを抱いてしまった。

================メモ================

「感動賞」に投票

上演時間 00:20:16

公演時期:2014/05/20

作者・演出:宮川サキ

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春のロングラン&ツアー公演『ロクな死にかた』(風姿花伝版)(観フェス2017)

2017-02-04 02:02:49 | 観劇三昧:手のひら演劇フェスティバル

観劇三昧:春のロングラン&ツアー公演『ロクな死にかた』(風姿花伝版)(有料)

2017/2/3

管理人の死後も更新され続けるブログに振り回される人々を描いた話(使いまわし)。

一般論として、時間というものは残酷で、良い記憶でも悪い記憶でもどんなに印象的な出来事があっても、どんどん風化させてしまう。

身近な人の死も同じで、程度の差はあっても、失った直後と何年も先では、悲しみの量も質も変わってしまう。

本作では、死んだ男の周辺の人々が、とにかくその事実に抗っている。

死んで自身の時間が止まってしまった者さえ、ブログの更新を友人に託すことで存在し続ける。

要するに、本作は時間を克服しようとした人たちの物語であり、その試みは幸福に失敗するいうという結論になっている。

そういう話なので、時間の抽象表現としてのダンスがよく馴染んでいる。

初演に比べてやたらキレが増していた。かっこいい。

================メモ================

「感動賞」に投票

上演時間 01:47:39

公演時期:2016/04/27

作者・演出:広田淳一

(配役)
鞠井 石本政晶
水野チサト 榊菜津美
水野ハルカ 一川幸恵
母  笠井里美
生方 秋本雄基
武田 渡邉圭介
白井 遠藤杜洋
みい 中野智恵梨
村瀬 石井双葉
たっくん 沼田星麻
一平     糸山和則
看病される女 石井葉月

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池シタアツ子の美カモト響『久しぶりのはじめまして』(観フェス2017)

2017-02-02 18:10:31 | 観劇三昧:手のひら演劇フェスティバル

観劇三昧:池シタアツ子の美カモト響『久しぶりのはじめまして』(無料)地域:関西

2017/2/2

女性二人によるコント集。

未来の私が過去の私に会いに来るところから始まって、短いコントをつなぎ合わせながら大きなテーマにまとめていく構成。

30分で10本なので相当早い。

飽きさせる隙間を作らない。

最初の6本のシチュエーションはバラバラだけど、後半4本で全部繋がってくる。

こういう構成自体はよく見かけるけど、何か名前はついていないんだろうか。

定番のシチュエーションを使ってミスリードを誘うやり方がうまい。

特に最初のコントと、中盤の給水所の話がキレていた。

「爆笑」とは違う軸で勝負している感じ。

最終的には「人生何があるかわからないから自分は自分らしく前向きに生きよう」くらいのまとめになるんだけど、各話の連携がきれいで、よくある構成のなかでも完成度が高い。

気持ちよく観るこができた。

================メモ================

「観劇ビギナー賞」に投票

上演時間:00:30:46

公演時期:2016/08/20

作者・演出:野村有志

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アトミック☆グース『SPAMリマインダー』(観フェス2017)

2017-02-02 02:48:54 | 観劇三昧:手のひら演劇フェスティバル

観劇三昧:アトミック☆グース『SPAMリマインダー』(無料)地域:東海

2017/2/1

スパムらしきメールで呼び出された見知らぬ男女8人が、本当にお金を貰えるのかどうか、何のために集められたのか、お互いにお互いを詮索しあう話。

オープニングの出演者紹介がかっこいい。

役者さんの体と発声のキレがすばらしい。

全員が最初から最後まで出入りなく、100分間ずっと話し合いを続ける。

掛け合いはかなり早いテンポで進むけど、終始リズムは乱れない。

常に動けるので雰囲気が停滞しにくい。聞いていて気持ちいい。

各々のキャラクターもしっかりしているので、序盤から誰が誰だかわからなくなるようなこともない。

話の進め方自体は結構強引だと思うけど、演者の強さでだいぶ中和していたと思う。強い。

あと、円形劇場にあわせてあつらえた舞台装置がシンプルでかっこいい。


================メモ================

「エンタメ賞」に投票

上演時間:01:40:00

公演時期:2013/10/04

作者・演出:西田正也

出演:

女1(ライター):鈴村鳴海
男1(リーダー):森浩晃
男2(リョウ):川瀬邦成(劇団AandA DASH)
男3(ボランチ):小栗久史(座うたざ)
男4(暴力):宮谷達也(演劇組織KIMYO)
女2(チョモラ):七瀬京子(演劇組織KIMYO)
女3(奥さん):市谷もめん
男5(イトイ):下郷鍵


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柿喰う客『天邪鬼』

2017-01-07 13:36:05 | 観劇三昧:手のひら演劇フェスティバル

観劇三昧:『天邪鬼』

2017/1/1

昔話を具現化する超能力を持った子どもたちが、戦場で孤立する話。

「まだ開演時間ではありません」で始まり、「携帯電話の電源はお切りくださらなくて結構です」を繰り返す前説。

逆張りでプレッシャーをかけつつ、笑いも織り交ぜ、期待感を高める。

想像力を信じる話だと考えると、演劇の得意分野という感じ。

ただ、どう解釈しても爆弾には役に立たないので、「想像力」を過大評価しすぎているような。

昔話を利用して「想像力の話」っぽく見せているけど、やっぱりそれは単なる「超能力の話」なんじゃないかと思ってしまう。

赤いプロセミアムアーチ風の装置がステキ。

語りの圧は相変わらず。個々の役者さんはみんな強い。

「想像を具現化する」「信用できない語り手」という設定の組み合わせでうまく煙にまかれてしまったような印象。


================メモ================

上演時間 01:36:40

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