イリアーデの言霊

  ★心に浮かぶ想いのピースのひとかけら★

虜は愛に身を焦がす

2008年01月16日 08時07分31秒 | 小説

 辱めに震える躰の底で、愛してると祈る。愛してる。

水の神の一族、睡蓮は、美貌に似合わぬ峻烈で真っ直ぐな気性ゆえ、一族を窮地に追いやった水月の国を憎んでいた。だが、一族を救うために降りた人間界で、水月の国の王、獰猛な瞳の泰山に狩られてしまう!水の触手で捕らえられた睡蓮は秘儀の生け贄とされ、無垢な体の奥まで淫欲を注ぎ込まれる。自ら生み出した宝玉で縛められ、性奴とされて、恥辱と法悦にまみれながらも心は堕ちまいとする睡蓮だが、仇である泰山に思いがけず命と心を救われ……。憎悪の狭間に芽生えた執愛の行方は!?

 凌辱をしでかす輩白夜書房&コアマガジン&角川文庫で出版された山藍紫姫子『アレキサンドライト』子宮のない不完全な両性具有の主人公シュリル・アロワージュ・エレオノールを監禁し凌辱を繰り返した挙げ句に無理遣りに結婚しようとした愛と征服欲を混同したラモン・ド・ゴールのように、そして、劇場アニメ版『妖獣都市』(劇場公開:1987年4月25日)魔界側の<闇ガード>麻紀絵(CV=藤田淑子)を自分の言いなりにしようとして凌辱した嘗ての恋人ジン(CV=戸谷公次)のように“体さえ奪えば心も手に入る”と錯覚しているタワケばかりです。プラチナ文庫あさひ木葉&樹要『虜は愛に身を焦がす』で主人公である月湖族の愛妃・睡蓮拉致監禁した水月の国の国王・泰山も最初はその一人でしかありませんでした。

 憎しみの応酬を繰り返してきた月湖族水月の国の王家ですが、私はどちらかというと人間側が…水月の王家が悪いと思います。 月湖の漣から生を受けた月湖族は、涙が結晶化して宝玉と化す《泪宝玉(るいほうぎょく)》を生む男ばかりの神族です。王侯貴族か商人を含めた庶民かは不明ですが、とにかく、月湖族が生み出す《泪宝玉(るいほうぎょく)》に目が眩んだ男が月湖族の若者を騙して殺したせいで“憎悪の連鎖”とそれによる悲劇が繰り返されてきたのです!つまり、水月の国の人間にこそ償うべき罪があるのですから!!自分たちの罪を遠い棚の彼方に放り投げて月湖族を恨むなんて筋違いにも程がある。 


少年陰陽師(5) 緋炎の槍の謎

2008年01月16日 08時07分01秒 | 小説
 武器を使う十二神将が、殆ど《天界》にいる十二神将を束ねる老将・天空に造って貰った武器を使っている中で、紅蓮だけは己自身の神気を長槍の形にして実体化させた“緋炎の槍”を使っています。怪我などで弱っている時に限ってなので殆ど出番はなく、もしも、使う必要がない場面で“緋炎の槍”を使うならば怪我をしているのです!紅蓮を表面しか見ていない青龍は自分やその他大勢を馬鹿にしていると思い込んでいますが。

少年陰陽師(4) 暦博士となよ竹のかぐや姫

2008年01月16日 08時01分05秒 | 小説

 10年の歳月が流れようとも、その衰えることを知らぬ輝ける美貌と求婚者たちの数が伝承や物語と同じ5人であったことから《なよ竹のかぐや姫》と謳われる美姫・篤子(すみこ)を妻(さい)としたのは『少年陰陽師』の主人公・安倍昌浩の14歳年長の長兄・成親(なりちか)でした。現在では数え年6歳(満5歳)の長男・国成(くにしげ)、数え年5歳(満4歳)の次男・忠基(ただもと)、生まれたばかりの長女<小姫>(これは呼称で、名前は不明)の二男一女を儲けて幸福な家庭を営んでいます。

 篤子がしつこい輩に言い寄られ困り果てていた時、二人は巡り逢いました。当時、男の身勝手さにすぎない“浮気は男の甲斐性”という言い訳を振りかざす不実な輩の中の一番のタワケに呪詛をかけられて篤子は苦しんでいて、他の女房(にょうぼう)や雑色(ぞうしき)どもは言い寄る輩に懐柔されて頼りにならず、味方は篤子の父・藤原為則(ふじわらのためのり)と篤子に絶対の忠節を尽くす女房の真砂(まさご)、そして、後に昌浩の加冠役を務め彼の後見人となる篤子の幼馴染の藤原行成(ふじわらのゆきなり)だけという、四面楚歌の苦境に陥っていたのです。