イリアーデの言霊

  ★心に浮かぶ想いのピースのひとかけら★

少年陰陽師(3) 十二神将は人間ごときよりも格上の存在だ

2008年01月14日 21時54分13秒 | 小説
 天狐編の第2巻(天狐編本編)『光の導を指し示せ』で、紅蓮は昌浩の《見鬼》をどうにかしてあげたくて、疫病神でもあり大嫌いだけれど貴船の龍神《高淤(たかお)の神》<高龗神(たかおかみのかみ)>に、その術を尋ねて神将ふぜいがと罵詈雑言の嵐を叩きつけられました!何故なのか。

 精霊のような存在で、十二神将としての生は…現在の姿形と性状は人間たちが思い描くイメージを具現化して与えられたから人間を親とするとはいえ、その十二神将としての形よりも前に紅蓮たち自身は人間とは無関係の末端とはいえ神なのです!人間ごときより格下に描く結城先生の神経を疑いますね。何故、人間ごときに及ばぬ底の浅い存在みたいな非難をされなければならないの?昌浩や晴明は紅蓮たちよりも心の深みが浅くて、愚かなのに。

 日本でも五指に入る高龗神から見れば十二神将は神とはいえ末端の下の下だからって酷すます。愛する者のために出来ることがあれば何でもしたいと思うのは当然なのに、何故、罵倒されねばならないのか?

少年陰陽師(2) 精神的弱者の神将たち

2008年01月14日 21時42分28秒 | 小説

 バトル重視で精神攻撃には為す術もなく屈服してしまう呆れた設定の『少年陰陽師』なのでガッカリです。十二神将最強にして最凶の闘神たる《煉獄の将》紅蓮(騰蛇)ですが、心も戦闘力も強いという設定がどうして結城先生は出来ないのか?

 魂を消滅させられ、肉体を黄泉の屍鬼に乗っ取られ、紅蓮の心無き肉体は屍鬼の魂と共に昌浩が討ち果たすという風音編のラストは悲劇で盛り上がった人が多かったようですが、紅蓮を為す術もなく消滅したキャラに貶められたことに気づかないおバカばかりなのね。 


少年陰陽師(1) それでも…信じて欲しかった

2008年01月14日 14時39分38秒 | 小説

 第1部「窮奇編」の問題点『少年陰陽師』主人公・安倍昌浩(あべのまさひろ)の育ての親であり、もう1人の主人公である十二神将最強にして最凶の闘将たる《煉獄の将》紅蓮(騰蛇)に、昌浩と彼の祖父であり紅蓮の現在の主・晴明が結託して隠し事をしたことです。信頼というモノを結城光流(ゆうき・みつる)先生はあまり重要視していないように思わざるをえないくらい、なし崩しに物語を進めてしまっていますね。

 第1部の完結巻『鏡の檻をつき破れ』P.171“昌浩の気持ちは痛いほどよくわかる。だが紅蓮は、その想いよりも何よりも、昌浩自身が大切だった。そして昌浩は、貴船の件でそれを痛感していた。紅蓮は、他の何を捨てても昌浩を選ぶ。彰子の呪詛を昌浩が受けたと知れば、その術を破って彰子に呪詛の全てを返すことくらいやってのけるだろう。昌浩のためになら、どんな犠牲も紅蓮は厭わないのだ。それがわかるから、紅蓮にだけは知られたくなかった。”とあるように、昌浩紅蓮をまったく信じていません。自他共に紅蓮を信頼しているかのように錯覚していますが、昌浩紅蓮をカケラも信じてはいないのです!肝心な時に信じないでは何の意味もありません。

 出来れば、やらない方がいいけれど昌浩は彰子の呪詛を肩代わりして形代になりたいと晴明に懇願し、密かに呪詛の形代になりました。それ自体はあまり問題はなかったのです!本当に問題だったのは紅蓮に隠蔽したことです!!もしも、自分が彰子にかけられた窮奇の呪詛を我が身に移して形代になったことを紅蓮が知れば、術を破り彰子に呪詛を返して殺してでも昌浩を守ろうとする、と全身全霊で尽くし我が身を盾に守ってくれる紅蓮を騙したのです。

 未来永劫、昌浩に恨まれても彼の恋する少女を殺し守ろうとしたに違いないと知った上で、それでも紅蓮を信じてこその信頼ではないでしょうか?昌浩のために世界を破壊し、全ての人間を殺してまでも愛してくれるなんてこれ以上の至福はありません。そこまで一途に愛し守られて何が不満なのか!

 主である晴明までもが隠した方が良いと判断して紅蓮の心を踏み躙ってしまった。本来ならば、“昌浩や。紅蓮の力のみを頼り、その心を信じぬのか?確かに、お前に恨まれ永遠に赦されずとも彰子様を殺してでもお前を守ろうとするかもしれんが、それを知った上で…そんな紅蓮を丸ごと信じてこそ真の信頼ではないのかな?紅蓮は心をこめて助力を請えば、必ずや応えてくれるぞ。”晴明は呪詛の形代になる時に昌浩の愚を諭すべきだったのに、逆に結託して己自身までもが紅蓮を信じなかったのです。

 七十路に至っても未だに精進が足りないタワケですね。紅蓮たち十二神将を《朋友(とも)》と思うとか口では言いながら、晴明自身が《朋友》失格です。嗚呼、情けなや。