物欲大王

忘れないために。

石巻日日新聞社編「6枚の壁新聞」

2012年03月23日 14時29分56秒 | 読書、書評
2011年3月11日。
未曾有の大地震が起こり、日本中がパニックに陥った。
テレビに映る津波の映像。「映画か?」と我が目を疑った。
あっという間に全てが無くなっていった。
自然の力には対抗出来ない無力な人間。
神様ってむごい事をする。そう思った。
この怒りをどこにぶつければよいのだろうか。

宮城県にある地方紙「石巻日日新聞」では、輪転機が水没。
「記事は書けるが、伝える手段が無い」。
悩んだ挙句、彼らは思い立つ。
「ペンと紙があればいけるんじゃね?」
そう。壁新聞だ。学校で作った手書きの新聞。
きれいなレイアウトで無くてよい。
「伝える事」が報道の使命である。

この記事を新聞で読んだときには涙が止まらなかった。
被災者であり、家族の安否も気がかりだっただろう。
「死ぬかもしれない」という記者もいたそうだ。
しかし、彼らの根底にあったのは「伝える事」。
名前だけで、中身が伴わないジャーナリストが多い中、
彼らが本当の「報道人」であるだろう。

本書では震災直後の混乱の中、奮闘する7日間をまとめてある。
読了後、津波に襲われる夢を見てしまった。
評価5★★★★★(5段階)

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