物欲大王

忘れないために。

三浦綾子「塩狩峠」

2012年09月18日 09時23分07秒 | 読書、書評
古本屋の100円コーナーで何気なく手に取った本書。
読了後、「やべえ。涙が止まらない」。
嘘です。泣きはしなかったが感動した。
思いがけず素晴らしい本に出会えたのは、
神様のお陰だろうか。いや、古本屋のお陰だろうか???

キリスト教信者の事を「ヤソ」と呼び、差別されていた時代。
永野信夫も最初は否定はしていたが、やがて導かれる様にキリスト教信者になる。
彼の真っ直ぐな心に惹かれ、周りに居た人たちも次々と信者になる。
そんな彼にも愛する人が居た。だが、彼女は病気を煩っていた。
医者も匙を投げ出す大病。必死に祈る信夫。
すると彼女の病気が良くなり、彼らは結婚する事になる。
幸せはそこまでだった。結納に向かう為に乗った列車が脱線。
信夫は迷わず車両の前に身を投げ出し、文字通り「体で停めた」のだった。

これが実話だという事に驚いた。
さらに、信夫の純真さに心を打たれた。
最近覚えた四字熟語「桃李成蹊」はまさに彼の事だろう。
心が本当に真っ直ぐすぎて、これが怪しい宗教だったら
見事にだまされる気がするのは俺だけか?
宗教問わず、「信じる事」とは何か?を教えてくれた1冊。
ありふれた自己啓発本より、本書を読む事をお薦めする。



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