物欲大王

忘れないために。

Kバレエカンパニー「第9」

2008年03月16日 19時20分43秒 | クラシック
 昨年12月、Kバレエから1通のハガキが。
翌年3月に新しい公演を行う様だ。
演目は「ベートーヴェン交響曲第9番」。
ベートーヴェンの最高傑作でバレエを創るらしい。
何処へ行こうとしているんだ?熊川は。と思いつつもチケットをゲット。

ということで、今月の15日の公演に行ってきました。
会場は赤坂ACTシアター。商業施設「赤坂サカス」の1つとしてリニューアルした劇場である。
会場に入り、トイレを探していると指揮者の福田一雄氏発見!
思わず握手をねだってしまった。
「いつも素晴らしい演奏をありがとうございます」と俺。
すると「今日は私の弟子が振りますので、楽しんで下さい」と福田氏。
そう。15日の夜の指揮は「マエストロ井田」(勝手に命名)こと井田勝大。
弱冠26歳でありながら、堂々とした棒捌きを披露する素晴らしい指揮者である。
同世代の演奏家の中で彼が一番の大物になるであろう。
あの大曲に彼がどう立ち向かうのか?実に楽しみである。

キャストは以下の通り。
Kバレエカンパニーの皆さん。
指揮 井田勝大
ソプラノ 野田ヒロ子
メゾ・ソプラノ 森山京子
テノール 中鉢聡
バス 久保田真澄
合唱 藤原歌劇団合唱部の皆さん。
演奏 シアターオーケストラトーキョー

豪勢なメンツですな。これぞゴージャス。
妻はテノールの中鉢聡さんを生で観られると大喜び。
何気なくプログラムを眺めていると驚いた。
藤原歌劇団合唱部のメゾ・ソプラノに「大柴朋子」の名前が。
5年位前、師匠が開催したコンサートにて、透き通った歌声を披露してくれた。
当時、藤原歌劇団の研修生か準団員だった彼女。
その後、どうしているだろうか?選んだ道を進んでいるのだろうか?と不安だったが、今こうして再会できるとは。
彼女が私の事を覚えている訳がないだろうが、俺は嬉しかった。
本当に感激した。
ということで、皆さん藤原歌劇団の「大柴朋子」さんを応援宜しく。
彼女も大物になります。

そんなこんなで、開演の時間。
客席が暗くなると同時にステージの全貌が明らかに。
セットは巨大なアーチ。
オーケストラピットが無いと思っていたら、オケのみなさんはその上におりました。
ほう。なるほど。考えたなぁ。
舞台向けに造られた劇場で、ステージとの距離が近い。
アーティストとの一体感が味わえ、嬉しかったが妙に照れるのは何故だろう?
オーケストラの場所や新しいホールという影響もあり、音楽の残響音が聞こえないのが残念。
しかし、それはプレイヤーにとっては怖いホール。「音のごまかし」が効かないのだ。
出した音がそのまま聴衆に伝わってくるのである。
悪条件が重なった様に思えたが、先程述べたステージとの距離感もあり、心地良い緊張感を演出する事が出来た。

ベートーヴェン交響曲第九番の楽章それぞれに「大地の叫び」、「海からの創世」、「生命の誕生」、「母なる星」と4つのテーマがつけられていた。
物語を簡単に説明すると「地球の誕生から生命の誕生」まで。
コンテンポラリー(創作)ダンスなので、難解なのだろうとタカを括っていたが、実にわかりやすいストーリーだった。
第1楽章で地球が誕生し、第2楽章で海が生まれた。
火山の噴火の様な力強い踊りがあったと思えば、今度は触れたら壊れてしまうクリスタルの様な踊り。

第3楽章では「愛」が生まれた。
ていうか、このあたりから涙腺が緩みまくり。
なんだか涙が止まらない。
フルートが巧いし。

第4楽章では熊川哲也、ソリスト、合唱の皆さんそれぞれが登場。
熊川にとって復帰公演ではあったが、怪我を感じさせない素晴しい踊りだった。完全復帰だったなぁ。
そうかと思えば、ソリスト達の歌声が空から降ってくる。
そして合唱の歌声が真横から。
藤原合唱団恐るべし。すげえ巧いよ。
4楽章「母なる星」のストーリーを真実としてしまう程の威力がそこにはあった。
クライマックスに近づくにつれ、自分が何処かへ逝ってしまいそうな感覚になった。
バレエと音楽が完全に一体になった時、少し天国に行ったよ俺。
事実、漠然と抱いていた「死の恐怖」が無くなったし。
「明日死んでもいいや」って思ったよ。
だんだん胡散臭くなってきたけど凄いんだよ。
まさに
神のバレエ
いや、ホント。まぢで。
エンディングには熊川の鬼フェッテ。元気になって本当に良かった。

時間が許せば何回でも観に行きたい。
DVD発売してくれないかなぁ。頼むよ。

一旦、寝ます。




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2 コメント

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お久しぶりですね。 (愛理)
2008-06-16 09:51:05
こんなにお久しぶりになるとは
全く思っていませんでした。
第九見に行ったんですか。
うらやましいかぎりです。
熊川さんは復帰なされたんですね。
よかったです。
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返信遅くてごめんなさい。 (管理人)
2008-09-23 15:57:00
ご無沙汰しております。
復帰公演で泣きまくりでした。
でも、また怪我しやがって……
それについて書きます。記事を。
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