物欲大王

忘れないために。

3月20日錦織健プロデュース・オペラ「愛の妙薬」

2009年06月21日 11時26分13秒 | クラシック
 ウチの会社は土日祝が休日の完全週休2日制。
が他社同様、繁忙期だと休日出勤の場合もある。
なので、観劇を鑑賞する時には必ず1ヶ月前位に「休日出勤不可」の連絡をしておくのだ。
その日は祝日ではあったが、我々のチームは締切に追われていた。
前日の19日には終了する予定だった作業が終わらない。
本来ならば、責任者である俺も休日出勤し、職務を遂行せざるを得ないのだが、その日は出られない。

俺「悪い!やっぱり明日も出てくれ!俺、明日は出られないんだ」
後輩「大丈夫っすよ。ちゃんとやっておきますんで、安心して出掛けてください。
   ところで、どちらへお出かけですか?」
俺「オペラ観に行くんだよ。オペラ」
後輩「オペラッすか?まじっすか?」
俺「そうよ。オペラだよ。森麻季が出るんだよ。知ってるか?森麻季」
後悔「いや、知らないッス。誰ですか「モリマキ」って?」
俺「おめぇ、知らねぇのか?森麻季を!知らねぇなんて日本人の恥だぞ!おい!」
まるで
呑み屋の会話
嫌いではないが。

翌日も使える仕事だが、ある程度まで進めておき、ある程度メドがついたので後輩達を一旦帰宅させたのが、午前7時頃。
なんかすいません。

で、残りの作業をこなし、引き継ぎの為の資料を作成。
完全に終了したのが、午前8時30分頃。
いつも起きる時間ですが何か?

午前9時30分始業なので、23時間勤務。完全に寝不足である。
普段なら、帰宅しそのままベットへ直行し、夕方まで寝れば良いのだが……
その日は違った。楽しみだったオペラを観に行かなくては。
しかも、開演は午後2時。因みに自宅は小田原。

気持ちよく送り出してくれた後輩達の為にも楽しまなくてはならない。
いや、楽しむのは簡単だ。オペラだ。つまらない訳がない。
問題は睡眠不足。人生最大の障害である。
睡眠不足+オペラ。最強の組み合わせである。
まるでゴルゴ13に核爆弾を持たせる様なものである。
だが、戦わなければならない。ゴルゴ13もとい、睡眠不足と。
頑張れ俺。後輩達の為にも。

帰宅し、起床したての妻と軽く作戦会議。
結論は「なるべく睡眠を摂る」。それだけ。実に単純。
とりあえずベッドへ直行。少しでも睡眠を摂らなければ。
11時頃、妻に起こされる。その後、シャワーへ直行。
身を綺麗にし、家を出発。そして電車に乗る。
ラッキー。席が空いている。座り、目を閉じる。
すぐに睡魔が襲ってきた。
品川駅を通り過ぎた所で妻に起こされる。東京駅で山の手線に乗り換え、上野駅へ。

会場は東京文化会館。短い睡眠を摂ったお陰で目が覚めたが、体は重い。
ま、仕方がない。根性だ。気合いだぁ!
つか、気合いでオペラ鑑賞ってどうよ?人として。

今回、鑑賞するのはテノール歌手の錦織健がプロデュースするオペラシリーズの第4弾。
2004年に第2弾の「セヴィリアの理髪師」を観に事がある。
弱冠こじんまりとしたオペラだが、とてもコミカルで楽しい舞台だった。
今回はソプラノにあの森麻季が登場するのだ。気合い十分なのは、それが理由なのである。

軽くその森麻季の解説を。
東京芸術大学卒業、同大学院修了。
文化庁オペラ研修所終了後、ミラノとミュンヘンに留学。
ドミンゴ世界オペラコンテスト優勝を筆頭に数多くのコンクールで入賞を果たす。
ワシントン・ナショナル・オペラでアメリカデビュー以来、多くのオペラに出演。
2007年にはドレスデン国立歌劇場の「ばらの騎士」のゾフィー役でデビューするなど
輝かしい活動を行っている。※以下、プログラムより転載。

そんなこんなで開演。客席が暗くなり、指揮者が登場。
さぁ、夢の始まりである。いや、夢は観てはいけない。寝るな俺。

睡魔に負けるかと思えば、意外と大丈夫だった。
コミカルなオペラで楽しく観られたのが勝因。
ソリストと合唱やソリスト同士の掛け合いがオペラの魅力なのだが、やはり生で聴くと全然違う。
高揚してくるのだ。もう、テンションアゲアゲ(死語?)
錦織健が演じるのは、ネモリーノという若者。
気弱な青年で、森麻季演じる富農の娘アディーナに片思いをしているが、なかなか告白出来ないという役柄。
う~ん。彼にぴったりだね。
なぜなら予習として観たDVDのキャストが悪かった。
アディーナはキャスリーン・バトルなのだが、ネモリーノがルチアーノ・パバロッティ。
どう見てもメタボなおっさんである。片思いなんて随分昔の話だろう。
「ああ!この気持ちどう伝えたらいいのだろう!」なんて歌っているけど、説得力が無い。
まぁ、オペラは歌唱力が優先されるので「娘役がどうみてもおばさん」でも許されるし、逆にそれが楽しかったりするのだが。
今回は錦織健と森麻季。これほどドンピシャな配役は珍しい。
しかも、あたりまえだが2人とも歌が上手い。
錦織は演じる若者らしく、透き通った歌声で実にみずみずしい。
一方の相手役の森麻季はというとまるで、声楽の教科書の様。
ビジュアルはもちろんのこと、声が美しい。
本人を持ち帰り、仕事中ず~~と側で歌わせたいと思ってしまった。
オペラはソロに入る前のセリフ部分も歌で演じるのだが、それもまた美しい。
本人の魅力であるコロラトゥーラ(コロコロ歌うアレ)もまた美しい。
それがず~~と続くものだから、おじさん聴きながら少女の様に
ステキ♪って。
目がハートでした。キモイね。ごめんね。
少人数なので、音量抑えて歌っていたので、逆にそれが娘らしさを余計引き立てられて。
いや、もう、とにかく最高。生で聴けて良かった。
お持ち帰り出来ないんですか?
ipodと交換で。

そんな訳で睡魔VSオペラの対決はオペラの完勝でした。
小さい舞台でいかに観客を楽しませるかと、細かい所にアクセントが加えられていたので、
笑いぱなしで寝るヒマなんてなかった。
やっぱりオペラも最高。また観に行きたいです。
今度は睡眠を十分摂って。

あぁ!思い出した!後半でのネモリーノの有名なアリアの時でしたが、その時
軽く落ちました。
すいません。お詫び申し上げます。

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