旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

旅先での情報収集

2006年06月05日 | 旅行一般
旅先では日常のパターン化した生活が通用しない面が多く、これが旅を困難にするという事もできますし、裏返せば、旅を面白くしてくれる重要な要素という事もできます。

 情報がないといえば、私自身、数十年前にはパキスタンのカラチ滞在中、暴動に巻き込まれた事があります。テレビやラジオで情報が自然と流れてくる自国とは違い、こういった事態はいったいどうなっているのか情報がないので、真っ只中にいると逆にある意味呑気なもので、ただ、やたらと興奮した兵士達が殺気立って街にあふれていて、その兵士達がおっかなかった事を覚えています。そういえば、911テロ事件の際にも、アメリカ・セルフツーリング中のお客様の事を心配していたのですが、帰国したご本人に尋ねてみると、"帰る時に何だか、空港にやたらと人が多いなぁと思いました"とか、本人は意外と情報が把握できていない事も多いものです。

 少し話が逸れました。今回の話題はこういった特殊な情報ではなく、自分が行きたい場所への行き方とか、そういった情報の収集についてです。皆さんはどういった方法でこういった情報を集めるでしょうか。ガイドブックですか?インターネットですか?旅行会社ですか?

ガイドブックやインターネットが役に立つことは確かですが、これは必要不可欠なものではありません。もし、ずいぶん以前にも書いたと思いますが、ガイドブックを不可欠なものと位置付けてしまうと、ガイドブックが発行されていない場所へは行くことができないという足枷を自ら設定する事になります。

 旅行会社・・・それはちょっと無理かもしれません。私は多分、かなり多くの国を訪れた事がありますが、国によってはずいぶん昔話になりますし、興味の対象が違えば、情報も違ってきます。

 だから、旅行会社が皆さんにお知らせできる情報は、情報を獲得するための情報ですね。というわけで・・・。

 私の場合、一番多用する情報源は自分が宿泊しているホテルです。コンシェルジュがあるようなホテルなら、お勧めのレストランから訪れておきたい観光地、是非参加すべき現地ツアーなど、何でも教えてくれます。デュバイのマリオット・ホテルのコンシェルジュでは、"軟質プラスチックの板が買いたいんだけど"という私に、しばらく悩んだ後、的確な"文房具店"を紹介してくれました。(ラリーに使うバイクのゼッケンプレートに使いました。)たとえ、ガイドブックに記載されている情報でも、その記事が書かれてから後に状況が変わっているかもしれません。そのあたりの"裏を取る"ためにも一応、ホテルでもきいてみるのは良いかとおもいます。より良質な情報が得られる可能性もあります。その店は昔はよかったけれど、料理人が変ったから、いまは別の店の方が良いとか、あるいは、あたらしい鉄道路線ができたから、そちらで行った方が速いとか。

 こうやってホテルのスタッフとコミュニケーションを取っておく事は、情報の面だけでなく、自分自身を守る上でも役に立つ場合もあるのです。自分がそのホテルの宿泊客であることを覚えてもらう事によって、自分の名前を語って部屋の鍵を手に入れようとする輩を排除する事ができるかもしれません。私自身は、街でちょっとした揉め事に巻き込まれているところを、たまたま通りかかったホテルの従業員に救出された事があります。

 旅に完璧な準備や情報というのは基本的に手に入らないものです。基本的な情報で計画を立て、現地での情報に基いて柔軟に微調整を繰り返し、そしてできる限り多くの人とコミュニケーションをとって"味方"をつくっておくのがどこへ行ってもノホノンとしていられるコツの一つだとおもいます。


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