旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

偶然の出会い

2011年08月18日 | ライフスタイル
例えば本を買う時のお話。

今、とある作家にはまっていて、その作家の本をもっと他にも読んでみたいと考えた場合、インターネット上の書店はとても便利。書店の店頭であるのか無いのかわからない本を探すのと比べれば作家の名前で検索すればおよそ現行で出版されている本をひとまとめに見て選ぶことが出来ます。

しかし、本を読む際、そこまで明確に買うべき本が決まっているとは限りません。上の話と連携する話としては、その、はまっている”ある作家”との最初の出会いはインターネット上ではなかなか難しい、目的も原因も無い偶然に起因することが多いのではありませんか。

たとえば、少し空いた時間に書店をぶらぶらしていて、平積みの表紙のデザインになんとなく惹かれて手に取ってみたとか、題名の中の言葉に惹かれたとか、あるいは昔話題になっていたことを思い出したとか、そういう偶然の出会いがスタートラインになる事が多々あるわけです。

音楽が好きな人なら、レコードやCDの”ジャケ買い”という言葉もあります。こういうとても感覚的な事には、”あなたへおススメの商品”などのシステムがいくら進んでも越えられない壁があるように思えますし、おそらくリアル店舗は”偶然の出会い”の場として永遠に存在し続けるのだと思います。

人と人との出会いというのも、例えば就職するという目的で面接官と会うとか、営業目的で取引先の担当者と会うとか、打ち合わせで同僚と会うとか、そういう目的がはっきりした出会いの他に、時々訪れる飲食店で何度か顔を合わせるうちに知り合ったり、旅先での出会いや、あるいはたまたま職場が一緒というような偶然の出会いの機会もあります。

電車で同じ車両に乗り合わせたなんていうのも、場合によっては偶然の出会いになり得ますから、家から一歩外に出れば偶然の出会いの可能性は沢山あると言えます。

最近、考えさせられるのは、”偶然の出会い”に対してとても消極的な人が増えたのかなという事。例えば”婚活”なんていう言葉が使われるようになりましたが、”婚活中”という話を聞いてしまうと、私の場合、その人が異性であれば、一緒に食事をしたりする事は少し重量感がありすぎて少し腰が引けます。相手が自分の事を結婚する相手として判定しようとしている場に立つような状況ですから、気楽にはなれませんね。

ところが、ある視点に立てば、婚活同士であれば、お互いが”結婚相手”として判定しているという事が明確ですから、目的をもって人と出会う事にのみ慣れた人には気楽なのかなとも考えさせられます。

”婚活”の是非はそれぞれの感性だと思いますが、人との出会いを常に明確な目的をもってしか出来ないとしたらそれは寂しい話だと思うのです。出かけた先で知り合った人となんでもない言葉を交わしてみるような感覚を失ってしまわないようにしたいものではありませんか。

何もかもに目的意識や理由付けなんて必要ないと思うのであります。


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